ワークライフバランスとは? 推進のメリットと取組み例 | Talknote Magazine

ワークライフバランスとは? 推進のメリットと取組み例

近年、多様な働き方の推進により、仕事と私生活を調和させる「ワークライフバランス」がより重視されるようになりました。しかし、ワークライフバランスとは言っても、具体的に何をすれば良いのかわからないといった方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ワークライフバランスについて、以下を解説します。

  • ワークライフバランスの考え方や必要とされる背景
  • ワークライフバランスを推進するメリット
  • ワークライフバランスを実現するために必要なこと

「ワークライフバランスを保つ働き方について知りたい」「ワークライフバランスを保つために必要なことは何か知りたい」という方は、ぜひ本記事を参考にして多様な働き方を実現してください。

ワークライフバランスとは

ワークライフバランスとは、仕事と私生活を調和させることです。単純に「仕事とプライベートの時間配分が適当な状況」といったイメージを持たれがちですが、実際にはもう一歩踏み込んだ意味があります。

例えば、忙しい業務期間の後に有給休暇を取得し、プライベートを充実させるのは良いことです。しかし、それだけでワークライフバランスが果たされているとは言えません。ワークライフバランスとは、「仕事と私生活がともにうまくいっており、お互いに好影響を与えるサイクルを生み出す」ことを指します。

ここで大切なのは、「仕事とプライベートの双方が良い状態」となっていることです。そのため、片方がもう一方のマイナスを補うという意味でありません。仕事とプライベートのどちらも充実感があり、それぞれの環境で自分らしく生きられていると感じられることが大切なのです。

企業としても、これらを念頭に置きながら取り組む必要があります。

参考:仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章|内閣府

ワークライフバランスが必要とされる背景

ワークライフバランスが必要とされる背景として、以下の3点が挙げられます。

  • 人材不足が深刻化しているため
  • 女性の労働参加に対応するため
  • 多様な働き方に対応するため

コロナ禍以後、テレワークやハイブリッドワークなどの多様な働き方が社会に広まり、働き手のニーズが多様化しています。この多様化したニーズに対応するには、以前よりもプライベートと仕事の調和を重視することが必要です。

また、企業にとっては少子高齢化や人口減少による人材不足の解消が大きな課題であり、ワークライフバランスの実現によって、人材の確保や離職率の低下などにつなげたいという狙いもあります。

以下、ワークライフバランスが必要な背景について解説します。

人材不足が深刻化しているため

少子高齢化や人口減少による人手不足が深刻化し、経営状態が黒字でも人手不足によって倒産する「人手不足倒産」も起こるようになりました。

労働力が足りていない環境だと、経営側は社員に過剰な業務や長時間労働を要求しがちになり、退職したり病気になったりする社員が増加します。

人材が確保できないといったことも起こりえる可能性があり、社員が仕事と家庭の両立が難しくなって離職するケースもありえます。

ワークライフバランスを実現する具体的な施策としては、業務の効率化を図ったり、部分的にアルバイトなどを雇ったりするといった方法があります。ワークライフバランスを保てれば人材の定着にもつながりやすくなるので、人手不足の解消にもなるでしょう。

女性の労働参加に対応するため

ワークライフバランスが重視される理由の1つには、女性の社会進出による経済的自立が当たり前になっていることが挙げられます。

総務省の「男女共同参画白書(2020)」では、共働き世帯数が年々増加していることが示されています。共働き世帯数は、1997年に専業主婦世帯の数を上回り、2019年には共働き世帯数が専業主夫世帯数の2倍以上に増加しました。

現在では共働き世帯が一般化しており、仕事と育児の両立がより重視される環境が必要なのです。

女性が自分のキャリアプランを豊かにし、希望した職業に就きやすい社会は以前に比べてより求められています。

参考:内閣府男女共同参画局「令和2年版 男女共同参画白書(概要)|厚生労働省

多様な働き方に対応するため

働き方が多様化したことも、ワークライフバランスが重視される背景の1つです。

2019年に「働き方改革」が実施され、個人の人生観やライフステージに合った生き方や働き方を選択できる社会が求められるようになりました。特にコロナ禍以後は、柔軟な働き方の必要性がより高まっています。

例えば、子育てや介護と両立しながら働きたい、自分の好きな時間や場所で働きたい、複数の仕事をしたいといったニーズへの対応は急務となっているのです。

また、長時間労働などの就労環境を見直し、社員が健康的な生活を送れる環境を整備するという意味もあります。プライベートの充実が仕事に良い影響を与えると考えられるので、ワークライフバランスの実現が重視されるのです。

ワークライフバランス推進のメリット4つ

ワークライフバランスを推進することには、以下の4つのメリットが存在します。

  1. 社員のモチベーションアップ
  2. 生産性の向上
  3. 組織定着率の向上
  4. 企業のイメージアップ

特に社員の仕事に対するモチベーションアップや生産性向上は、企業の業績アップや離職率の低下につながる要素の1つです。

慢性的な人手不足の解消のためには、社員の定着率を上げて人材の流動性を低下させる必要があります。ワークライフバランスの重視は、そのための効果的な施策だと言えるでしょう。

以下、ワークライフバランスを推進するメリットについて解説します。

1.社員のモチベーションアップ

休日出勤や労働時間が長い状態が続くと、気持ちが休まらず仕事に対するモチベーションは低下しがちです。特に長時間労働は心身を疲れさせ、離職につながる可能性があります。

ワークライフバランスの重視により、仕事とプライベートの両立を促せば、社員は時間や気持ちに余裕ができるでしょう。結果、仕事に対するモチベーションがアップします。

2.生産性の向上

ワークライフバランスで誤解されがちなのが、「プライベートの時間を多くすれば良い」という考え方です。例えば、退社時間を早めて見かけのプライベート時間を増やしても、仕事を持ち帰るようであれば、単に残業と置き換わったに過ぎません。

オンとオフの区切りを明確にして業務とは完全に切り離し、解放されたプライベートをつくることで「ライフ」の充実が期待されます。生活にメリハリがつけば、気持ちが切り替えやすくなり、業務に対して前向きに取り組めるでしょう。満たされた気持ちからは、活力が生まれ、生産性の向上に貢献します。

3.組織定着率の向上

2020年に厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)」によると、2017年3月に卒業した新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者で39.5%、新規大卒就職者が32.8%と非常に高い数値でした。

社会的な労働力不足の中で、長きにわたる採用活動の末に獲得した人材に短期間で離職されるのは、企業にとっての大きなダメージです。また、熟練した社員が、家庭の事情で職場を離れざるを得ないケースも少なくありません。いずれにしても、離職は企業の戦力を失うマイナス要因です。

ワークライフバランスは、どの世代の社員に対しても、離職防止の有効策となるでしょう。内閣府が公表している「平成30年版子供・若者白書」によると、仕事よりも家庭・プライベート(私生活)を優先すると回答した人は、63.7%(2017年)でした。2011年調査時は、52.9%だったため、数年でかなり上昇したと言えます。

企業を選ぶ際に、ワークライフバランスは外せない条件の1つになっているといっても過言ではありません。転職に対しての抵抗感も少なく、思うような働き方ができなければ離職の可能性が高まります。

逆に、仕事とプライベートのバランスを自身で決められるような働き方ができれば、これまで離職を余儀なくされていた働き盛りの世代を引き止められるでしょう。ワークライフバランスを無視していては、企業への定着率の向上が難しくなります。

4.企業のイメージアップ

ワークライフバランスを実現している企業は、「社会に対して従業員一人ひとりの生活を考えている」「健全で優良なホワイト会社」というイメージを与えられます。社員が元気な会社は、自社が成長できるだけではなく、社会的な貢献も果たしていけるでしょう。

安定した企業経営、および社会的責任の遂行は、魅力的な企業としてのイメージアップとなり、優秀な人材の獲得にもつながります。企業にとってのワークライフバランスのねらいや、期待される効果は、ワークライフバランスでもたらされる企業の成長と経営の存続です。

しかし、企業によっては、ワークライフバランスそのものが目的となっているケースも見られます。ワークライフバランスを叶えた先に、企業が得るものを常に意識していなければ、小手先の施策となってしまうでしょう。つまり、単純に「労働時間が短ければ良い」「休暇が取りやすければ良い」ということではないのです。

「社員にとって何がワークライフバランスとなるのか」「それが果たされた時にどんな副産物を生み出せるのか」をあらかじめ想定かつ推進していくことが求められます。

ワークライフバランスを推進するための取組み例

ワークライフバランスを推進し、雇用の増大や社員全体が働きやすい環境を整備するために企業が行っている取り組みは、多岐にわたります。

以下では、実際に企業が実践すべき以下の施策や取り組みについて、具体的に確認していきましょう。

1.育児休暇や介護休暇など

育児や介護は仕事との両立が難しく、離職の大きな原因となる要素です。職場で働き続けたいにも関わらず、家族との時間と仕事の両立が困難であることから、仕事を辞めるしかないケースもあります。

その解決のためには、産休や育休、介護休暇といった制度を整備しましょう。育児や介護は男女を問わず行うことなので、男女ともに育児休暇や介護休暇を取得しやすい環境整備が必要です。

また、有給を取りやすい環境にすれば、上記に該当しないケース(結婚祝いや授業参観など)にも対応できます。結果、多様な人材の確保につながることが期待できます。

2.時短勤務やフレックスタイム制

時短勤務やフレックスタイム制の導入など、柔軟な労働時間の確保を可能とする制度を整備することも必要です。

勤務時間を社員が自分で選べるようにすれば、介護や育児で時間を取られて勤務が難しい人も仕事ができたり、業務負担の軽減につながったりします。

3.長時間労働の削減

例えば、ノー残業デーやノー残業ウィークの設置、従業員の労働時間の平準化の実施などが具体的な取り組みとして挙げられるでしょう。

従業員が残業をしたい場合に備えて事前承認制度を導入し、従業員が無理しない環境や企業側が時間外労働を促さない仕組みの整備を進めましょう。

4.テレワークや在宅勤務

新型コロナウイルスの流行をきっかけとし、さまざまな企業でテレワークを含めた在宅勤務の導入が進んでいます。

在宅勤務の導入は育児をしながら働く従業員や、満員電車による通勤時のストレスを抱える従業員などを支える施策となります。

5.福利厚生の充実

福利厚生の充実もワークライフバランスの実現に重要なポイントです。

例えば、資格取得時や出産時などの経済的支援や相談窓口の設置、施設利用時の特典制度などが該当します。

他にも、家事代行サービスや食事の宅配サービス、会社内保育施設やベビーシッター費用の補助などを福利厚生の制度に組み込んでも良いでしょう。これらを制度に組み込むことで、育児に忙しい社員の支援につながります。

また、従業員が自らキャリア形成ができるよう、社内におけるキャリア形成の支援や業務上必要な能力の開発サポート制度も整備しましょう。

6.職場におけるストレスケア

職場におけるストレスケアは、企業のリスク管理において重要な項目の1つです。

仕事の内容や将来設計などに、強い不安や過度のストレスなどを感じる従業員が増えたことで、ストレスケアの重要性は増しています。

職場におけるメンタルヘルスや過重労働対策として、平成27年12月から労働者数50人以上の事業場で、以下のようなストレスチェック制度が義務付けられています。

  • 従業員のストレスを定期的に検査する
  • 検査結果を通知して自覚を促す
  • 従業員のメンタルヘルスの不調によるリスク低減
  • 集団分析を行って職場環境の改善をする

参考:ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等|厚生労働省

ワークライフバランスを実現するために必要なこと

ワークライフバランスを実現するためには、以下の2つの要素が重要です。

  • 従業員に対する深い理解
  • 従業員の働き方管理

経営者側が従業員のことを理解し、働き方を適切に管理することでワークライフバランス実現ができます。以下、具体的に解説します。

従業員に対する深い理解

経営側は、企業としての利益や事業存続のための目標に気を取られがちです。しかし、ワークライフバランスの実現には、社員個人の目標についても理解している必要があります。

従業員がどのような未来を望んでいるのかにより、企業が提供できるサポートが変わってくるでしょう。仕事面においての方向性を決める上でも、従業員の目標をしっかりと把握しておきましょう。

一人の社員にとって、会社生活は人生の大きな部分を占めています。人生の目標に到達するためには、「会社で成すべきこと」「実現すべきこと」があるはずです。

そのため、その社員が「仕事においてどのような希望を抱いているのか」「どうなりたいと考えているのか」を確認しておきましょう。

経営側が個人の目標に対する努力を認めて評価するのは、社員にとっての大きなモチベーションとなります。仕事においての充実感を満たす要素にもなるでしょう。ただし、公平性を失わないためにも、客観的な指標を明確に設定し、適切に努力に報いる必要があります。

従業員の働き方管理

社員の人生の目標に対して、達成可能と思われる業務内容でなければ、仕事への意欲が失われます。ワークライフバランスの実現には、能力と業務のバランスも重要なポイントです。

管理側は、社員の目標を把握し、時には軌道修正へのアドバイスを与えることも必要です。現状の取り組み方で成功できるのかは、客観的な立場であるほうが良くわかります。目標に向かう気持ちを維持させるためにも、正しい方向へと導いていきましょう。

ワークライフバランス実現のためには、過度な負担の可能性を排除していかなければなりません。たとえ、本人からの申告がなくても管理側が配慮し、無理なく働いていける環境を整備することが必要です。

個人によって許容される働き方や、目標に対しての姿勢が異なるため、まずは経営側が個人を理解することが大切となります。個々の社員の業務的なパフォーマンスに対して、支援や管理がしっかりとできていることこそが、ワークライフバランスの実現につながるでしょう。

単純に業務時間を短くしたり、休みを多くしたりするだけがワークライフバランスを高めるわけではありません。日ごろから従業員の気持ちや考えを図るために、密なコミュニケーションを取り、理解に努める姿勢が重要です。

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従業員のワークライフバランス実現を促進し、働きやすい企業を形成するための一助となるでしょう。

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まとめ

ワークライフバランスの実現は今後の企業運営に大きな影響を与えます。しかし、ワークライフバランスを正しく理解していないと、残業時間を減らすことばかりにこだわるなど、逆に社員へ負担を強いる結果ともなりかねません。

現場の声に耳を傾け、社員個人の働き方への考えを把握しながら、具体的な施策を推進していきましょう。

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