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これからの時代に求められる「イクボス」とは?
イクボス宣言やイクボス10か条を解説

企業を経営したり、チームをまとめたりするためには、従業員への様々な配慮が必要です。その中でも、育児はどの従業員にも関わる可能性があり、育児と仕事を両立できる環境を整える必要があります。育児への配慮ができる上司のことをイクボスと言い、今注目されている存在です。

この記事では、イクボスとは何かに加えて、イクボス宣言やイクボス10か条、取り組むメリットを詳しく解説します。

イクボスとは?

イクボスとは、育児とボスを組み合わせた言葉で、部下の子育てと仕事の両立をサポートする上司のことです。

出産を控える部下、パートナーとともに育児をしたい部下の気持ちを尊重するのは当たり前のように感じますが、現状はそう上手くいっていません。育児休業取得率は令和2年度雇用均等基本調査によると、女性は81.6%、男性は12.7%と推移しています。男性の育休取得率は2011年2.6%であったため、ここ約10年で向上しているものの、まだ十分ではないでしょう。育児に理解を示す上司も増えていると思われますが、依然として仕事を優先すべきという雰囲気が残っていると言えるのではないでしょうか。

そのような背景から2014年にスタートしたのが、厚生労働省イクボスアワードです。育児と仕事の両立を支援する上司や経営者を募集・表彰するもので、徐々にイクボスという言葉が認知されるようになりました。

同年に発足したイクボスプロジェクトは、NPO法人ファザーリング・ジャパンが運営しています。主な活動内容は、夫婦への子育て・家事支援、ママの働き方支援、管理職養成事業、育休取得推進、子育てパパ力検定などです。ホームページで活動内容を詳しく紹介しているので、企業の方や子育て中の方はぜひチェックしてみてください。

導入の手順・ポイント

イクボスに関する取り組みは、上司全員がイクボスを目指すこと、イクボスプロジェクトを始めることを周知するところから始まります。そもそもイクボスを知らない人もまだ多いため、言葉を知り何に取り組むかを理解してもらうことがファーストステップです。

理解を得られたら、イクボスの導入を進められます。イクボスに関わる記載を就業規則に盛り込み、制度化することが推進に効果的です。まだイクボスの事例は多くないため、対象者を広げすぎず、数名の対象者を選定し、事例をつくりましょう。プロジェクトを開始した後は、従業員の意見を聞いたり、育休取得状況を確認したりして、結果の検証とプロジェクトの検討を繰り返すのが成功のポイントです。

イクボス宣言とは?

イクボス宣言とは、イクボスを目指すこと、それに向けた取り組みをすることを意思表示するものです。イクメンプロジェクトがイクボス宣言を受け付けており、必要項目を入力し、審査に通った場合にはイクボス宣言をした企業・団体として掲載されます。

厚生労働省が公開しているイクボス宣言では、以下のような方が掲載されています。

  • Jリーグトップ 村井チェアマン
  • 損害保険ジャパン日本興亜(株)伊東取締役常務執行役員
  • AIGジャパン・ホールディングス(株) 松尾CHRO(最高人事責任者)
  • あいおいニッセイ同和損害保険(株) 長島代表取締役副社長執行役員
  • (株)ファミリーマート 澤田代表取締役社長
  • アサヒ工業(株) 實重代表取締役
  • (株)日立ソリューションズクリエイト 西條取締役社長
  • 北海道テレビ(株) 樋泉代表取締役社長
  • アクセンチュア(株) 江川社長
  • しゅふJOB総研 川上所長
  • 環境省 関副大臣
  • 土木学会会長、鹿島建設副社長 田代さん
  • 山梨県北杜市 渡辺市長
  • 外務省 岸副大臣
  • 財務省 木原副大臣
  • 総務省 あかま副大臣
  • 防衛省 若宮副大臣
  • 佐賀県武雄市 小松市長
  • 岩手県大船渡市 戸田市長

イクボス宣言をすることは、求職者からの印象が良くなったり、優秀な人材が定着しやすくなったりするなどのメリットがあります。ただし、宣言をするだけで具体的な行動を行わなければ表向きの宣言と見られ、かえって印象を下げてしまうでしょう。宣言と取り組みをセットで行うことが大前提です。

イクボス10か条について

イクボス10か条は、以下の通りです。

  1. 理解
  2. ダイバーシティ
  3. 知識
  4. 組織浸透
  5. 業務
  6. 時間捻出
  7. 配慮
  8. 提言
  9. 有言実行
  10. 隗(かい)より始めよ

それぞれの項目について、詳しく理解していきましょう。

理解

1か条目の「理解」は、部下に理解を示すことを表しています。育児に時間を割いていること、現代の子育て事情などを理解し、それらに合わせた働きかけをすることが大切です。部下によって育児に関わる状況は異なり、子育ての考え方は日々変化していきます。一人ひとりの状況や時代の変化を見逃さずに、適切に理解を示しましょう。

ダイバーシティ

ダイバーシティとは、多様性という意味がある言葉です。これまでは、仕事が最優先で育児や介護などに取り組む従業員を冷遇することも少なくありませんでした。イクボスに求められるのは、育児に取り組む社員に理解を示し、平等に接することです。とはいえ、そのような社員を特別視して、他の社員に負担をかけてはいけません。多様性を認め、全員に対等な経営を進めることが重要です。

知識

部下に育休や産休などを取ってもらうためには、イクボス自身が制度を知らなくてはいけません。育児や介護などに関する制度・法律の知識をしっかり身につけ、必要な支援を提案できるようになりましょう。

組織浸透

育児に関わっている社員だけではなく、組織にも働きかける必要があります。育児参加の大切さなどをイクボスが積極的に発信し、育児への理解を組織に浸透させることが可能です。組織全体で育児と仕事の両立をサポートでき、本人も心置きなく育児に参加できるでしょう。

配慮

育休を取得する本人、周りの社員に対して、最大限の配慮をすることが大切です。労働時間や出張、転勤など育児に関わる要素を見直し、できるところから配慮しましょう。周りの社員への負担が大きくならないように、業務のバランスを整えることも必要です。

情報共有

育休を取得する社員が出ても、業務が円滑に進むように情報共有に取り組む必要があります。穴を埋められるチームワークづくり、テレワークの仕組みづくり、データのクラウド化など、適切な手段を取り入れることが大切です。

時間捻出

育児をする時間を確保するためには、時間を捻出しなくてはいけません。無駄な業務が多かったり、効率が悪かったりすると、育児の時間をつくれないケースがあります。業務の無駄を見直し、育児と仕事を両立できる環境を整えましょう。

提言

イクボスが中心になって、積極的にライフを重視した経営を提言することが大切です。他部署に取り組みを伝える、メディアでPRするなど、できるところからイクボスプロジェクトを広めていきましょう。

有言実行

イクボスプロジェクトによって成果を出すことが一番の周知になります。業績アップや業務効率の向上などの成果は自社でとどめずに、社外に積極的に伝え、イクボスの普及に取り組みましょう。

隗(かい)より始めよ

「隗より始めよ」は故事成語のひとつで、物事はまず言い出した者から実行せよという意味があります。イクボスを導入するなら、ボス自身がワークライフバランスを実現する、育児に参加するなど、率先して取り組む姿勢が大切です。

イクボスに取り組むメリット

イクボスに取り組むメリットは、以下の通りです。

  • ワークライフバランスを実現できる
  • 人材の定着率を向上できる
  • 企業イメージが向上し人材を獲得しやすくなる

従業員へのメリットだけではなく、企業のイメージアップにもつながります。メリットを把握して、自社への導入を前向きに検討してみましょう。

ワークライフバランスを実現できる

イクボスが部下の育休を積極的に認めたり、フレキシブルな働き方に理解を示したりすることで、仕事や育児、生活を両立できるようになります。現代では、収入よりもやりがいやワークライフバランスを重視する傾向があり、育児と仕事の両立は従業員にとって嬉しいことです。

生活を充実させることによって、仕事への活力が湧いたり、企業への愛着が高まったりするなど、多くの副産物を期待できます。

人材の定着率を向上できる

人生の大きな出来事である育児は、多くの人が関わりたいことであるはずです。育休が取れない、長時間労働で育児に携われない状態であれば、柔軟に働き方ができる企業に流出してしまうでしょう。

育児に積極的に参加できる環境づくりは、人材の定着率アップにつながる可能性があります。上司が率先して育児と仕事の両立を推奨すれば、長くこの職場で働きたいと思ってもらえるのではないでしょうか。

企業イメージが向上し人材を獲得しやすくなる

イクボス宣言を行い、精力的に取り組んでいる企業は、社外にも育児に協力的なイメージが伝わりやすくなります。将来家族を持ちたい人や現在育児に取り組んでいる人にとっては、働きたい職場の候補になるはずです。

人材不足が叫ばれる現代ですが、イクボスによってイメージが良くなり、優秀な人材を獲得しやすくなるでしょう。

まとめ

イクボスは、ワークライフバランスが重要視される現代で取り組むべき事柄です。上司が率先して部下の育児と仕事の両立を支援することで、人材の定着率向上やイメージアップなど様々なメリットを期待できます。イクボス宣言をするだけではなく、具体的な取り組みを行い、社内でイクボスプロジェクトを推進しましょう。

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