クリティカルシンキングとは? 実践方法や鍛え方のコツを解説 | Talknote Magazine

クリティカルシンキングとは? 実践方法や鍛え方のコツを解説

クリティカルシンキングとは、日本語で「批判的思考」と訳される言葉であり、物事の前提に対して疑うことで真実や結論を見極めようとする思考法のことを言います。

クリティカルシンキングを実践することで、問題を解決する力や物事を分析する力、周囲との円滑なコミュニケーションを実現する力へとつながります。

しかし、具体的にどのような方法でクリティカルシンキングを身につければ良いかが、わからない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、以下のような方に向けてクリティカルシンキングの概要や必要性などについて解説します。

  • クリティカルシンキングの詳しい意味を知りたい
  • クリティカルシンキングの考え方を知りたい
  • クリティカルシンキングを鍛える方法が知りたい

クリティカルシンキングの実践方法や鍛え方、特徴についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

クリティカルシンキングとは?

クリティカルシンキングとは、直訳すると批判的思考と表現される思考法です。「批判」という言葉から、ある事柄を否定的に思考する、欠点を追求する、粗探しをするなどと捉えられやすいですが、そうではありません。

デジタル大辞泉によると、「物事や情報を無批判に受け入れるのではなく、多様な角度から検討し、論理的・客観的に理解すること。批判的思考法。」と定義されています。

物事や情報に対してそのまま受け入れるのではなく、さまざまな角度から検討・理解するというのがクリティカルシンキングです。例えば、「近頃顧客からのクレームが増えている」という主張があったとして、そのまま受け取ると「クレームが多いから担当者の対応を見直そう」となるでしょう。

クリティカルシンキングは、どのようなクレームか、どのくらいの頻度か、過去と比べるとどうかなど、多角的に事柄を検討します。そうすると、担当者の対応ではなく商品・サービスに改善点が見つかったり、過去と比べるとそれほど件数が多くなかったりするなど、本質が見えてくるでしょう。このように、情報や主張を精査し、背景や本当の課題を見つけるために、クリティカルシンキングは重要な思考法です。

クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違い

クリティカルシンキングと並んでポピュラーな思考法に、ロジカルシンキングがあります。類似するビジネス用語であるため、しばしば混同して理解しがちです。

クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いは、物事に対する考え方の流れに違いがあります。

違いをわかりやすく理解するために、マーケティングにおける同じ事柄を設定しましょう。

  • 広告Aに25万円、広告Bに25万円の費用がかかった
  • 広告Aからの応募が70人、広告Bからの応募が30人だった

クリティカルシンキングは前提を疑うのがポイントで、そもそも営業も含めて50万円の広告費は妥当か、100人の応募は十分か、広告を出した求人媒体は適切だったか、広告以外の方法ではどうだったのかなどを考えます。

一方、ロジカルシンキングは、ある事柄の要素を細かく分けて思考し、筋道を立てて結果を導く思考法です。そのため、上記の事柄に対しては、同じ費用をかけた広告Aと広告Bを比べると、広告Aからの応募が多いことから、広告Aに50万円の費用をかけるべきという答えになります。

クリティカルシンキングの場合は、議論の結果、求人媒体や広告を変えたり、異なる方法を開発してアプローチしたりするなど、手法自体が変更される可能性があります。一方、ロジカルシンキングでは、同じ手法の中でより適切な運用に改善することになるでしょう。

相反する思考法と理解しがちですが、考え方の違いから結果も異なるため、まったく違う思考法と言えます。
この2つの思考法を組み合わせることでお互いを補完し合い、問題の理由を見極め、解決のために効果的な思考を巡らせることが可能です。

クリティカルシンキングはなぜ必要なのか?

クリティカルシンキングは、スピード感の増したビジネス環境に必要な思考法です。顧客のニーズは目まぐるしく変化し、新しい技術が日々登場しています。今日は需要の高いものでも、明日は他のものがとって代わっているかもしれません。

そのようなビジネス環境において、目に見える結果や情報だけで状況を読み取っていると、社会や競合他社に取り残される可能性があります。クリティカルシンキングによって、そもそもやり方が合っているのかなど、これまでとは違った角度で深く考察する必要が出てきたのです。

クリティカルシンキングの5つのメリット

クリティカルシンキングを取り入れることによって、主に以下の5つのメリットを得られます。

  1. 物事の本質を見極められる
  2. 問題解決や意思決定の質が高まる
  3. 新たな発想を見つけられる
  4. 円滑なコミュニケーションができるようになる
  5. リスクを回避しやすくなる

以下、クリティカルシンキングを導入する5つのメリットについて、詳細に説明していきましょう。

1.物事の本質を見極められる

クリティカルシンキングは、前提から思考していくため、答えに近づく過程で余計な部分が削ぎ落されていきます。そのため、最終的な答えが導き出された時に、本質を見極めることが可能です。

物事の本質がわかるようになれば、手法自体を再検討したり、異なる方法を提案したりするなど、根本から改善を図ることができます。

2.問題解決や意思決定の質が高まる

物事をそのまま受け入れている状態では、矛盾や漏れに気づかないケースもあります。十分に検討しないまま進行してしまえば、防げたミスやトラブルが起きるかもしれません。

クリティカルシンキングは、多角的に物事を考察し、矛盾や漏れが出ないように深堀りする思考法です。本質的な課題に気づいたり、さまざまな視点からの考察で誤りを発見したりすることによって、問題解決や意思決定の質が高まります。

3.新たな発想を見つけられる

クリティカルシンキングに取り組む過程で、新たな発想や視点を見つけられることもあります。例えば、人員が不足しているという主張に対して、そのまま受け入れると「人員を補充しよう」という発想になるでしょう。

実際は、人員が足りないのではなく、人員に対する仕事量や働き方の効率に問題がある可能性もあります。

そこでクリティカルシンキングを行うと、仕事量を適切に調整しよう、システムを導入して効率化を図ろうなど、異なる角度でアプローチできます。さまざまな発想を比較することによって、より効果的な対策を講じることができるでしょう。

4.円滑なコミュニケーションができるようになる

クリティカルシンキングを実践することで、従業員同士の円滑なコミュニケーションの実現につながります。お互いの感情や無理にテーマを交えて討論するのではなく、事実に沿って議論を進めていくので、スムーズにコミュニケーションをとれるのです。

従業員同士のスムーズなコミュニケーションが実現されることで、問題を解決するまでのプロセスが短縮できる可能性が高まるというメリットもあります。多くの課題を抱えている場合は、クリティカルシンキングの実践が重要性を増すでしょう。

ただし、熟議を重ねることで解決策が見える問題もあります。解決スピードを上げることに目を向けず、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングを交え、効果的な解決策を見出すことを主眼に置きましょう。

5.リスクを回避しやすくなる

クリティカルシンキングは、従来では気づかなかった問題を発見し、リスクを未然に防ぐためにも効果的です。

今まで見つけられなかったリスクを発見できれば、人事や行動規範の見直し等によってプロジェクトの成功率を底上げすることや、混迷する時代における企業の事業継続計画の改善などにも役立ちます。

本当に重要な問題のみを取り上げて集中できるので、その解決に向けた取り組みやマネジメントもより具体的になるでしょう。1つの対応策しかないと思える問題に新しい解決策を示せれば、選択肢ごとに比較し、より望ましい結果を導くこともできるでしょう。

クリティカルシンキングを実践する4つのステップ

クリティカルシンキングは、4つのステップに分かれています。それぞれで重要なポイントを押さえて、クリティカルシンキングを実践しましょう。

  • 【ステップ1】思考する目的を決める
  • 【ステップ2】現状を分析する
  • 【ステップ3】課題を発見する
  • 【ステップ4】解決に向けたアクションを検討する

【ステップ1】思考する目的を決める

クリティカルシンキングを始める前に、思考する目的・ゴールを決めましょう。思考の結果、何をどのくらいのレベルで求めるのか、いつまでに達成するのかを明確に決めることが大切です。

このステップで目的が曖昧になると、クリティカルシンキングの効果が薄くなってしまいます。目標設定から明確に行うことが最終的な結果を決定づけるとも言えるでしょう。

【ステップ2】現状を分析する

次に、目的に対して現状を分析します。ある状況に対して、現在がどうなのかを考えることはもちろん、調査も行い細部まで把握することがポイントです。

現状分析を丁寧に行えば行うほど、課題の発見や効果的な問いをしやすくなります。

【ステップ3】課題を発見する

現状分析の次は、課題を発見するステップに進みます。ここでは、目的に対して現状はどのくらい開きがあるのか、どのような部分が不足しているのかを考えましょう。

多角的に思考する必要があるので、一人ではなく、複数のメンバーで議論する方が効果的です。思考の癖を補いながら、クリティカルシンキングを進めましょう。

【ステップ4】解決に向けたアクションを検討する

発見した課題を踏まえて、解決に向けたアクションを検討しましょう。アクションを決定する際は、誰が・何を・いつまでに・どこで・どのようになどを具体的に決めることが大切です。

アクションを実行した後は、それで満足するのではなく、結果の分析と課題を見つめ続けましょう。クリティカルシンキングを継続することで、課題解決を実現しやすくなります。

クリティカルシンキングを鍛える5つのコツ

クリティカルシンキングを鍛えるためには、普段の物事に対する思考を見直すことが重要です。物事の分析と解決策を導き出すプロセスを改めることによって、クリティカルシンキングを着実に鍛えられます。

ここでは、クリティカルシンキングを鍛える際に意識したい5つのポイントをチェックしていきましょう。

  • 前提を疑う
  • 目的を常に意識する
  • 常に問い続ける
  • 思考の癖があることを理解する
  • 正しい情報を収集する

1.前提を疑う

クリティカルシンキングでまず大切になるのが、前提を疑う姿勢です。曖昧な言葉や抽象的な言葉に注目し、具体的にどうなのかを問うことによって思考が鍛えられていきます。

例えば、「繁忙期には、現在の人員では上手くいきません」という主張があった時に、繁忙期とは具体的にどのくらい忙しいのか、「上手くいきません」とは具体的にどのような状態かなどを考えましょう。

疑った前提に対して、具体的な内容を調べたり、根拠を考えたりすることによって、よりクリティカルシンキングの質が高まっていきます。

2.目的を常に意識する

クリティカルシンキングを実践する時は、何のために考えるのかという目的を常に意識しましょう。ただ考えるのではなく、目的を達成するために考えるのがクリティカルシンキングです。

まず目的を細部まで設定し、それに向かって思考を続けましょう。そうすることによって、ただの批判になってしまったり、無駄な議論をしたりすることを防げます。

3.常に問い続ける

クリティカルシンキングでは、常に問い続ける姿勢が重要です。すぐに答えが出たからといって問うことをやめてしまうと、そこで思考は止まってしまいます。

問い続け、考え抜くことがクリティカルシンキングをものにする近道です。MECE(ミーシー)という用語があり、「もれなくだぶりなく」という意味があります。ある事柄について、前提や言葉の意味などを細かく考察し、MECEの状態になるまで考え続けるトレーニングをしましょう。

4.思考の癖があることを理解する

人それぞれ性格や価値観が異なり、思考にも癖があります。思考の偏りを理解していないと、どのような事柄でも似た答えを導いてしまうでしょう。

そのため、自分がどのように考えることが多いかを理解し、思考の幅を広げるトレーニングが必要です。ある事柄に対して、答えの質を問わず、さまざまな角度から自問することによって、癖から脱却した思考ができるようになります。

5.正しい情報を収集する

クリティカルシンキングのためには、知識や情報がなくてはいけません。引き出しがないと疑うことが難しく、そのまま受け入れてしまいがちであるからです。

知識や情報はただ知っているのではなく、思考や仕事に使えるものでなくてはいけません。読書や動画コンテンツなどで学び、他の人と意見を交流したり、フィードバックをもらったりすることが大切です。

仕事においてクリティカルシンキングを身につける方法

普段の仕事において、従業員が説得力のあるクリティカルシンキングを身につけるためには、以下の3つのポイントを抑えることが大切です。

  1. 常に第三者視点を意識する
  2. 実践・検証を行い、他者からフィードバックを受ける
  3. 研修を実施する

以下、クリティカルシンキングを身につけるためのポイントを確認していきましょう。

1.常に第三者視点を意識する

まず、第三者視点で物事を捉えましょう。第三者視点とは、自分が知っている物事や行っている事柄に対し、過不足がないかを判断することを言います。

例えば、自分が作成した資料や続けている仕事に対し、第三者視点を活かせば「もう少し工夫できるのではないか」「他にもっと効率的なやり方があるはずだ」と気づけます。つまり、物事の前提に対して疑いを持ち、さらに良い方法や内容を求める姿勢のことを言います。

第三者視点で物事を見ることは、クリティカルシンキングの習得につなげられるので、普段の業務内容や更新日を経たニュースなど、さまざまな事柄に対して行っていきましょう。

2.実践・検証を行い、他者からフィードバックを受ける

次に、クリティカルシンキングの実践と検証を行い、自身の考えに対するフィードバックをもらいましょう。事実をもとに発言することは重要ですが、そのデータに信憑性や確かな根拠がなければ意味がありません。

そのため、正しい情報を集めるための能力を向上させていきましょう。例えば、インターネット上や本などの情報をニュートラルに捉え、情報の典拠まで遡って事実を確認するといった癖をつけていくなどです。

また、それと同時に普段からさまざまな物事の主張や根拠に対し疑問を持ち、反論したり、仮説を立てて検証したりしましょう。その際に第三者からフィードバックをもらえば、より捉え方を洗練させられるでしょう。

3.研修を実施する

クリティカルシンキングを身につけるための研修を開催し、スキルや考え方を習得するという方法もあります。例えば、客観的な視点を持つための研修であれば、論点の設定方法や物事の検証方法などについて学べます。

入社したばかりの新人や中堅の管理職などの研修対象者や、習得したい事柄に応じて研修会を選んでも良いでしょう。複数の専門的な研修会を定期的に開いている研修会社もあるので、人材育成目的でそれらの会社を調べてあたってみることも1つの方法です。

まとめ

クリティカルシンキングは物事の前提に対して疑い、事実を見極めようとする思考方法であり、物事の本質を見極めることや、問題解決の質を高めたりすることに役立てられます。また、組織の意思決定の質向上や新たな発想を見つけるためにも活かせます。

効果的にクリティカルシンキングを実践するためには、物事の前提とされている事柄を疑い、常に問い続けることが大切です。

具体的な実践方法として、簡単に使用できるビジネスチャットツールを駆使し、クリティカルシンキングの内容を従業員同士でフィードバックするのはいかがでしょうか。

おすすめのチャットツールはTalknoteです。業務の経緯や背景などを蓄積して共有できるノート機能が特徴的で、さまざまな業務事例を蓄積し、お互いにクリティカルシンキングをフィードバックしあう場としても最適です。

他にも、互いに感謝・称賛を伝え合えるサンクス機能、スピード感のあるメッセージ機能など、従業員同士のコミュニケーションを活性化させる機能が充実しています。
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今回記事中で触れたロジカルシンキングとの違いや4つのステップも参考にし、クリティカルシンキングを実践していきましょう。

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