「エフィカシー」とは? 高い人の特徴、組織への影響について解説 | Talknote Magazine

「エフィカシー」とは? 高い人の特徴、組織への影響について解説

こんにちは。社内コミュニケーションツール「Talknote」Magazineチームです。

組織の成果や能力を高めるためには個の力も重要になりますが、個の育成に行き詰っている企業も多いのではないでしょうか。そのようなときに重要な考え方として、エフィカシーという言葉が注目されています。

この記事では、エフィカシーが高い人の特徴や高める方法を解説します。エフィカシーの概要や組織に与える影響、タイプなども詳しく触れているので、エフィカシーについてまず知りたい人もぜひ参考にしてください。

エフィカシーとは?

エフィカシーとは、セルフエフィカシーとも呼ばれる心理学の言葉で、自己効力感または自尊心などと日本語では表現されます。

初めてエフィカシーを提唱したのは、現代の社会学習理論の基礎をつくったとされるアルバート・バンデューラです。著書『激動社会の中の自己効力』では、エフィカシーを「非常に困難な問題を解決しなければならないという状況下にあっても積極的に取り組もうという意欲」と表現しています。

「自分が役に立つことができる」「自分なら達成できる」という意思がある人は、エフィカシーが高いといえるでしょう。一方、「自分のスキルでは難しい」「この問題を解決するのは無理だ」と考える人は、エフィカシーが低いと考えることができます。

エフィカシーという概念は、ビジネスでの心理マネジメントはもちろん、スポーツにおいてもメンタル強化の一貫として取り組まれることもあるのです。

エフィカシーと自己肯定感の違い

自己効力感と訳されるエフィカシーは、自己肯定感と文字の印象や意味合いで似ている部分が多く、混同されるケースがあります。実際には、エフィカシーと自己肯定感には違いがあるので、まずは両者の定義から見ていきましょう。

エフィカシー:
自分がある状況において適切な行動を遂行できるかどうかの認知、求められる行動を遂行する能力を持ち合わせていることへの自信

自己肯定感:
自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する語。 自己否定の感情と対をなす感情とされる。

参照:Weblio辞書「セルフエフィカシー」「自己肯定感」

どちらも自分への自信や肯定を表す言葉ですが、どの時点の自分に対するものかが異なります。エフィカシーは、ある状況や課題に対する自分への自信であり、未来に対する考え方です。一方で、自己肯定感は自分のあり方や存在価値など、過去・現在の自分を対象にしています。

その点から、これから自分が取り組むことに対する自信や能力への認知をエフィカシーと捉えるのです。

エフィカシーが組織に与える影響

エフィカシーは、組織に対してポジティブな影響を与えることができます。ただし、エフィカシーの質によっては、ネガティブな影響を与える場合もあるので、注意が必要です。ここでは、エフィカシーが組織に与える影響を見ていきましょう。

業績が高まる

個人のエフィカシーが高まることによって、困難な課題やプロジェクトに対しても最後までやり遂げられる組織になります。チャレンジングな目標を設定してもやり切る姿勢があり、達成できたときに大きな成果を得られる可能性が高いです。

その結果、企業としての業績にも良い影響を与え、人と組織が一緒に成長することを期待できます。

モチベーションが向上する

エフィカシーが高まると、個人は前向きになり、課題にも立ち向かうモチベーションが生まれます。個人のモチベーションは、組織にも広がっていくのがエフィカシーの良い影響です。

やる気のあるメンバーに触発されて、周りのメンバーも「自分も貢献したい」「自分も目標を達成したい」とモチベーションが高まっていきます。上述した業績の向上はもちろん、人間関係の構築や定着率の上昇など、様々な効果を期待できるでしょう。

エフィカシーのタイプ

エフィカシーは、3つのタイプに分けることができます。

  • 自己統制的自己効力感
  • 社会的自己効力感
  • 学業的自己効力感

それぞれのタイプを詳しく理解して、自分自身や社員がどれに当てはまるか考えてみましょう。

自己統制的自己効力感

自己統制的自己効力感は、自分の能力を正しく理解し、発揮するエフィカシーのタイプです。能力でできることとできないことを理解しているため、課題や物事に対してすばやく判断できます。日常的にも発揮される自己効力感で、自分を理解しているからこそ自信を持つことができるのです。

社会的自己効力感

社会的自己効力感とは、対人関係におけるエフィカシーです。コミュニケーション能力や関係を構築する力に対する自己評価が高く、自信を持って人と接することができます。円滑な人間関係をつくる力を持ち、ビジネスや生活など様々なシーンで発揮されます。

学業的自己効力感

学業的自己効力感は、学習に対する自己効力感です。小学校から大学までの学習において、できることや詳しいことなどに自信を持ちます。自己効力感が高いと、モチベーションを維持して勉強に取り組み、成績アップや知識の探求など実現を可能です。

エフィカシーが高い人の特徴

エフィカシーが高い人には、いくつかの共通点があります。特徴を理解することで、エフィカシーを高めようとするときの指標がわかりやすくなります。

主な特徴は、以下の4つです。

  • ポジティブ
  • 責任感が強い
  • 成功体験が多い
  • ストレスに強い

ポジティブ

エフィカシーの高い人は、ポジティブな考え方を持っている場合が多いです。考え方は行動や習慣に影響を及ぼすため、前向きな思考や姿勢はエフィカシーに大きく関わります。

一筋縄では達成できない目標でも、ポジティブであれば「やりがいがある仕事だ」「成功すれば必ず成長できる」などと考え、課題に立ち向かっていけるでしょう。

責任感が強い

エフィカシーが高いと、目標や課題を達成する圧倒的な自信があります。自信だけではなく、自分自身の行動が目標達成に欠かせないといった責任感や当事者意識があるのが特徴です。

成功体験が多い

エフィカシーを高めるためには、根拠のない自信を持つだけでは十分ではありません。未知の課題に対して立ち向かう姿勢も大切ですが、成功体験がエフィカシーを高めていきます。

エフィカシーが高い人は、大小問わず成功体験が多く、経験によって困難にも挑戦する思考や姿勢を身につけていくのです。

ストレスに強い

難易度の高い目標を達成するためには、上手くいかない場面を乗り越えなければなりません。その過程で停滞やミスなどが起き、時にはストレスを抱えるでしょう。

エフィカシーが高い人はストレスに耐性があり、少しのストレスではめげません。ストレスへの捉え方が異なり、上手くいかないことも前向きに捉える気概を持っています。

エフィカシーを高めるには?

エフィカシーを高めることによって、個人や組織に良い影響を与えられますが、どのように高めればよいのでしょうか。

ここでは、エフィカシーを高める方法を5つ解説します。

  • 小さな成功体験を積む
  • 目標達成のプロセスをサポート、フィードバックする
  • ポジティブな働きかけを行う
  • 自己研鑽を促す
  • 見本となる人材を見つける

小さな成功体験を積む

エフィカシーを高めるためには、未来への自信につながる成功体験を積むことが大切です。成功体験の大小は意識せず、小さな成功を積み重ねるところから始めましょう。

例え、小さな目標でも継続して達成できたこと、多くの成功を経験したことによって、次第に自信が芽生えていきます。大きな目標へとステップアップし達成できれば、自分の限界がより高い位置まで引き上げられるでしょう。

個人としては積極的に課題に取り組むこと、組織としては様々な経験をする機会をつくることが重要です。

目標達成のプロセスをサポート、フィードバックする

誰にでも不安や弱気な部分があり、思うようにエフィカシーを高められない人材もいます。そのような人材に対しては、面談やミーティングなどでサポートしましょう。

目標達成に対する悩みを聞いたり、話し合って目標を再設定したりすることによって、成功体験を得やすくなります。

また、目標達成後にプロセスや取り組みへの評価をフィードバックすることで、自分の強みや改善点が明らかになり、成長を促すことが可能です。

ポジティブな働きかけを行う

社員へのポジティブな働きかけは、エフィカシーを育てる効果的な方法です。社員自身がポジティブな思考を意識することも大切ですが、周囲からポジティブな声かけや評価をすることによって、ポジティブに行動しても良いという安心感が生まれます。

達成できなかった事柄にも、「よくやった!改善点を見直して次は成功させよう」と伝えれば、やる気が湧くでしょう。

ただし、社員との信頼関係を築かないと、声かけの効果は薄れてしまいます。社員は温度差を感じ、上司の言葉に耳を傾けにくくなるので、まずは信頼関係や人間関係を構築することが大切です。

自己研鑽を促す

エフィカシーを高めるためには、成功体験や周囲からの働きかけだけではなく、自分自身を高める努力も必要です。

スキルアップのために資格の勉強をしたり、すき間時間で英語を学習したり、毎朝新聞を読んだりすることによって、スキルや知識が磨かれます。能力が高まると自信も持ちやすくなるので、成功体験との相乗効果でエフィカシーの向上を期待できます。

見本となる人材を見つける

エフィカシーが高い上司や先輩を見本とし、間接的に成功体験をするのも効果的です。似た状況の人材を見本にすれば、自分に照らし合わせて考えることができます。

「自分にもできる」「あの人を参考にやってみよう」という気持ちが生まれれば、挑戦を促し、エフィカシーを高められるでしょう。

まとめ

エフィカシーとは自己効力感と訳される心理学の用語で、未来の自分に対する自信を持ち、困難な課題にも前向きに立ち向かうことを言います。

エフィカシーの高い人には、ポジティブ、責任感の強さ、成功体験の豊富さ、ストレスへの強さなどの特徴があります。

エフィカシーは個人にも組織にも良い影響があるので、高める方法を実践して、組織としてエフィカシーを向上していきましょう。

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