働き方改革はなぜ重要? 定義・背景・導入手順を解説します
こんにちは。社内コミュニケーションツール「Talknote」Magazineチームです。
- 働き方改革とは結局何なのか、具体的な内容を知りたい
- 企業における働き方改革の取り組みについて知りたい
- 働き方改革を進める上で、何から始めれば良いのか知りたい
このように考えている人に向けて、実際に企業で実施されている働き方改革関連の施策を8つ紹介します。また、働き方改革の導入手順とポイントについて詳しく解説します。働き方改革をどのように進めるべきかわからない企業は、ぜひ参考にしてください。
働き方改革の基礎知識
ここでは、働き方改革の基礎知識として、以下の内容について解説します。
- 働き方改革の定義とは
- 働き方改革の目的とは
- ポイントとなる3つの柱とは
まずは基礎的な知識について理解を深めることで、自社に適した施策を選びやすくなるでしょう。
働き方改革の定義とは
働き方改革とは、厚生労働省によって推し進められている活動で、「働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で“選択”できるようにするための改革」と定義づけられています。
育児をしている・介護をしている・高齢なため長時間働けない、といった具合に働き手の状況は一人ひとり異なります。そんな中で、それぞれの事情を踏まえて幅広い働き方ができる社会にすることが、働き方改革の目的です。
政府としては、働き方改革の実施によって働き手を増やし出生率を向上させて、労働生産性を高めようとしています。
働き方改革の目的とは
働き方改革とは、日本政府が掲げる一億総活躍社会を実現すべく、多様かつ柔軟な働き方を国民一人ひとりが選べるようにするための改革です。働ける環境や機会は、その人の状況によって大きく異なります。
例えば昨今、働き方改革の一例として挙げられるのがリモートワークの推奨です。これに伴い、地方にある就労機会の格差を解消しようと取り組みが進んでいます。日本における労働力の主力は、15~64歳(生産年齢人口)と言われています。
ただ、少子高齢化の影響に伴い、1990年以降は生産年齢人口が減少しているのです。2020年時点での生産年齢人口は、約7,406万人ですが、2030年には6,300万人、2050年には約4,438万人まで減少する見込みとなっています。
つまり、企業の人手不足や生産力低下は進みやすい環境にあるということです。働き方改革は労働力不足を解消していくことが背景にあります。労働力不足を解消するためには、主に以下の3つの実現が必要です。
労働人口の増加
労働の資本は、人そのものです。労働に携わる母数が増えることで、労働力の総量が大きくなるため、インパクトの大きい対策となります。どんな人でも働ける環境を整備することは、労働機会の創出にもつながります。
出生率の上昇
どれだけ働き方改革を推進しても、日本全体の人口が縮小傾向にあれば、労働人口も次第に減っていきます。出生率を上昇させるためには、教育の無償化の拡充や、経済的に子どもを育てられない人たちに対しての支援などが必要です。
労働生産性の向上
労働者一人ひとりの生産性を向上させることで、労働力の総量は増大します。労働力とは、すなわち労働人口と生産性のかけ算です。この2つを大きくしていくことで、労働力は向上します。
こうした課題を解決し、一億総活躍社会実現に向けて始まったのが「働き方改革」です。
ポイントとなる3つの柱とは
働き方改革を推進するには、「長時間労働の解消」「正規・非正規の格差解消」「柔軟な働き方の実現」という、3つの柱を確立することが重要です。これらは、日本が抱えている大きな課題となるため、企業としても積極的に取り組む必要があります。
1.長時間労働の解消
長時間労働は疾患のリスクを高め、過労死につながる恐れがあります。とくに、日本の労働時間は、諸外国と比較しても非常に長い傾向です。そのため、メンタルヘルスへの悪影響が懸念されています。
2.正規・非正規の格差解消
1980年代より、非正規雇用労働者の数は増加傾向です。1984年の非正規雇用労働者の数は、約604万人でしたが、2020年は2,090万人と約3.5倍も増加しています。多くの企業で正規雇用者と非正規雇用者が混在していますが、同一の労働内容にもかかわらず、賃金や待遇の面で格差が生じるケースが少なくありません。
こうした不合理の格差は、就業機会の損失につながります。
3.柔軟な働き方の実現
ライフスタイルや、キャリアパスは人によって異なります。そのため、すべての人が同じ枠組みで働くことが適切とはいえません。例えば、出産の前後数年といったケースでは、従来の時間通りに働くことは難しいでしょう。
しかし、組織の受け入れ体制が万全であれば、リモートワークなどで柔軟な働き方で対応することも可能です。
必要とされる背景とは
現代の日本では、少子高齢化によって労働人口が著しく減少しています。また、女性の社会進出が課題となっており、出産や育児によって会社を辞める女性も少なくありません。その他にも、テレワークの拡充によって多様な働き方が求められています。
このような背景から、企業や社会にとって働き方が必要とされています。働き方改革を推進することで、働き手が増えるだけでなく、従業員が伸び伸びと自分らしく働けるようになり企業への満足度が向上するでしょう。
働き方改革に取り組むメリット
従業員にとって、働き方改革が推進されれば時間外労働が規制されるため長時間労働が改善されます。これにより、十分な休息が取れるようになり、仕事へのモチベーションが向上するでしょう。また、同一労働同一賃金が推し進められることにより、雇用形態による待遇の格差が是正されます。キャリアアップやライフステージに合った働き方ができるため、企業に対する愛着も向上するでしょう。
一方で、企業にとっても働き方改革に取り組むメリットは数多く存在します。労働時間を規制することで、集中して仕事に取り組む従業員が増え、人件費の削減と同時に業務効率化が期待できます。また、従業員にとって働きやすい環境が整うため優秀な人材が離職しにくくなるでしょう。柔軟な働き方ができるようになることで、採用力の強化も実現できます。
このように、働き方改革を実施することは、従業員にとっても企業にとっても数多くのメリットがあるのです。
企業で取り組まれている、働き方改革関連法8つの施策
働き方改革を推進するため、日本政府は「働き方改革関連法案」を施行しました。正式名称は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」と少し長く、内容についてもわかりづらいかもしれません。
しかし、簡単にいえば、働き方に関係している以下の8つの法律を改正して、働き方を改善するといったものです。では、8つの法律とは、一体どんなものでしょうか。
時間外労働の上限規制(罰則付き)
時間外労働をする場合は、月45時間、年360時間以上を超えることはできません。これまでは、規定時間を超えた残業があったとしても、行政指導が入るだけでした。しかし、2019年4月より施行となった労働基準法の改正法では、罰金や懲役といった罰則が設けられているため注意が必要です。
勤務時間インターバル制度の導入
労働者の健康を確保するため、終業から始業までの間に、一定時間のインターバルを設けることが努力義務として施行されています。始業時間が固定の場合、残業の翌日は睡眠不足で仕事に臨むことになるため、インターバル制度が導入されました。
年5日以上の有給休暇取得義務
年間10日以上の有給休暇を与えられる労働者について、そのうち5日間は有給休暇を取得させることが義務付けられました。労働者の希望の有無にかかわらず、使用者は有給休暇を取得させなければなりません。
月60時間以上の時間外労働に割増賃金率の引き上げ
時間外労働が月60時間を超えた場合、その超過時間について割増賃金を50%以上へと引き上げることが義務付けられます。これまでは、大企業のみの適用でしたが、2023年4月以降は、中小企業も対象です。
同一労働・同一賃金の原則
企業や団体内において、正規雇用者と非正規雇用者の間に、賃金や福利厚生など不合理な待遇差がある場合、解消しなければなりません。
フレックスタイム制の柔軟性拡大
始業や就業などの労働時間を、ライフスタイルと調和を図りながら決定する制度です。法改正により、労働時間の柔軟な調整が可能になりました。企業の任意によって実施の有無は異なります。
高度プロフェッショナル制度の創設
研究者やアナリストなど、特定の業務に従事する者を対象に、労働時間や休日、割増賃金といった規定を適用しない制度です。裁量労働を認めることで、労働規定の枠を外すといった内容になっています。つまり、労働時間ではなく成果に応じて、評価や収入が得られる仕組みです。
産業医・産業保健機能等の強化
健康リスクの被害を見逃さないために、産業医による健康相談や指導を強化する制度です。それに伴い、事業者は適切に対応するために万全な体制を整える必要があります。
働き方改革導入手順とポイント
ここでは、働き方改革の導入手順と具体的な4つのポイントについて紹介します。ぜひ参考にしてください。
- 現状の課題を洗い出す
- 課題の改善に向けた目標を設定する
- 課題に対して適切な対策をする
- 働き方改革は実行しないと罰則がある
現状の課題を洗い出す
働き方改革として取り組むべき項目と照らし合わせながら、現状の業務や働き方においての課題は何かを洗い出していきましょう。課題としては、離職率が高いことや高額な人件費が発生していること、女性の採用が進んでいないことなどが挙げられます。
課題を明確にすることで、施策の実行や効果測定がしやすくなるでしょう。
課題の改善に向けた目標を設定する
課題を見つけたら、具体的な目標を設定します。課題をどのように改善していくか、どの課題から優先して取り組むか、いつまでに取り組むかなど目標を設定することで、効率的に働き方改革を進められるようになります。
また、目標を設定したら従業員に伝達することも大切です。明確な目標を把握することで、従業員も積極的に施策に協力できるでしょう。
課題に対して適切な対策をする
課題を解決するために適切な施策を実行します。先述したとおり、働き方改革に有効な施策は時間外労働の上限規制・フレックスタイム制の柔軟性拡大・産業医や産業保健機能等の強化などさまざまです。
本記事で紹介した他にも、自社ならではの施策を実行するのも良いでしょう。さまざまな施策の中から、自社の課題解決に有効なものを選びましょう。また、効果だけでなく予算やリソースを加味して適切な施策を選ぶことも大切です。
働き方改革は実行しないと罰則がある
働き方改革は完全に任意というわけではなく、中には罰則が設けられているものもあります。長時間労働やパワハラに対しては罰則が設けられているため、注意が必要です。
長時間労働に関しては、違反が発覚すると6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を受けることになります。また、パワハラに関する厚生労働省からの勧告を無視すると、社名とパワハラの内容が公表されてしまう恐れがあります。
罰則を受けないためにも、働き方改革をしっかりと実行していきましょう。
働き方改革を加速するツール「Talknote」
働き方改革をスムーズに進めるためにおすすめなのが、Talknoteというツールです。情報共有プラットフォームであるTalknoteを導入すれば、テレワーク下でもスムーズな情報共有ができるようになります。必要な情報に簡単にアクセスできたり、タスク管理機能によって業務を管理できたりするため、業務効率化を図れます。
社員同士のコミュニケーションが取りやすくなり、孤独感による精神的負担を抱える社員も減るでしょう。従業員の負担を軽減することによって、離職率を下げられます。さらに、企業の評判が高まれば採用強化も期待できるでしょう。
ぜひ、Talknoteの利用を前向きに検討してみてください。
Talknoteについて詳しく知りたい方へ
まとめ
働き方改革とは、「働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革」のことです。
従業員にとってだけでなく、企業にとってもさまざまなメリットがあるため、注力して取り組んでいる企業が増えています。具体的には、勤務時間インターバル制度の導入や高度プロフェッショナル制度の創設といった取り組みを通じて、働き方改革を促進している企業があります。
ぜひ、本記事を参考にして働き方改革を推進し、多様な恩恵を受けてみてください。