理念浸透とは? 成功させるための5つのポイントと企業事例3選 | Talknote Magazine

理念浸透とは? 成功させるための5つのポイントと企業事例3選

長期的に収益を得て社会から信頼される企業であるためには、従業員への「理念浸透」が必要です。理念浸透とは、企業が掲げている理念を社内全体に行き渡らせることであり、この施策を実行することで時代の変化や逆境に負けない強い組織に成長できます。

理念浸透は会社に対する従業員のエンゲージメントや、仕事のパフォーマンス向上にも関係します。しかし「社内全体に自社のビジョンをどうやって浸透させれば良いかわからない」という方も多いでしょう。

本記事では、「理念浸透のメリットや重要性を知りたい」「理念浸透を成功させるためのコツが知りたい」「理念浸透の成功事例について知りたい」といった方に向け、以下の事柄について解説します。

  • 理念浸透の意味や理念浸透が必要な理由
  • 理念浸透が進まない原因
  • 理念浸透を成功させるためのポイント

自社の理念を従業員に浸透させ、組織を改善したいと考えている方はぜひ本コラムを参考にしてください。

理念浸透の意味とは

理念浸透とは、経営者が掲げるビジョンや使命(ミッション)などを社内全体に行き渡らせることです。従業員全員が会社のビジョンや価値観に共感し、その実現に向けて行動している状態も含まれます。

理念が浸透している状況下では、従業員が何のために業務に取り組むかを理解し、どのような点に注意して判断するかも明確になります。そのため、業務の生産性向上や企業全体の活性化といったメリットが期待できるのです。

上記のメリットがあるので、仮に経営層が企業のかじ取りに苦心している場合は、理念浸透を実施することで経営課題が改善される可能性もあるのです。

理念浸透が重要である理由

理念浸透が重要な理由としては、主に以下の3つの理由が挙げられます。

  1. 組織と従業員の方向性を一致させることができる
  2. モチベーションやパフォーマンスの向上を図れる
  3. 自社に合う人材の確保が可能になる

理念浸透を進めることで、会社として掲げている事業の方向性を、従業員が納得した上で共有可能になります。行動指針の明確化や、「働く意義」の発見によるモチベーションアップや、パフォーマンスの向上などに良い影響を与えます。

企業理念が明確であれば、自社の方向性にマッチした人材の確保も可能になり、離職率の低下も見込めるでしょう。

以下、理念浸透が重要である具体的な理由を解説します。

1.組織と従業員の方向性を一致させることができる

まず、企業と従業員が同じ方向を向き、一体感をもって業務を進められる点が、理念浸透が重要な理由として挙げられます。会社としての方向性を従業員と共有できれば、上司の指示が必要な場面においても、従業員がどのように行動すべきかを決めやすくなるでしょう。

従業員の間で共通の認識を持つことで、社員全員が同じビジョンを掲げ、その達成のために努力していけます。現場において適切な判断を下しやすくもなるので、トラブルに強い組織を形成することになります。

2.モチベーションやパフォーマンスの向上につながる

次に、理念浸透は「従業員エンゲージメント」の向上に活かせる要素です。従業員エンゲージメントとは、従業員の「業務に対するモチベーション」や「企業に対する愛着」を意味します。従業員が理念に共感している状態なので、組織内で働く目標や意義を見出しやすくなるためです。

また、従業員が現場において適切な判断を下しやすくなれば、業務の効率性もアップします。業務パフォーマンスの向上は企業の業績アップにも関わるので、経営上の業績に関係する問題にも対処できます。

従業員が企業理念に共感して共有できれば、会社全体の活性化や変化につながるのです。

3.自社に合う人材の確保が可能になる

理念浸透は自社に適した人材の確保にもつながります。会社が理念を掲げて社内で共有することで、新規の人材が自社の企業文化に合うかを判断する基準にできます。

組織全体に理念が浸透すればリファラル採用が活発になり、自社の理念に共感してくれる人材を紹介してもらいやすくなるでしょう。理念浸透は自社に適した人材を確保するためにも効果的なのです。

理念浸透が進まない原因

自社の理念浸透が進まない理由は、主に以下の3つが挙げられます。

  1. 経営理念を定めただけで終わってしまっている
  2. 理念の内容が曖昧で抽象的である
  3. 従業員への充分な理解や共感が得られていない

経営層だけが理念を理解するのではなく、社内全体に理念を広め、従業員に共感してもらうことは欠かせないことです。ただ、その理念の内容が抽象的であれば社内に上手く浸透しません。理念を具体的にものにし、従業員への発信や理解促進に取り組むことが大切です。

以下、理念浸透が進まない原因とその対策について解説していきます。

1.経営理念を定めただけで終わってしまっている

まず、経営層が企業理念を定めただけで満足してしまっているケースです。「立派な理念が完成したぞ」と経営層だけが満足している状態では意味がなく、理念に込められた思いを社内全体に浸透させなければなりません。

社内に理念を浸透させる際に注意したいことは、主に以下の2つの要素です。

  • 理念を策定する理由を明確にする
  • 従業員にどうなってほしいかを明確にする

理念を策定する理由を明確にできれば、経営層だけでなく、従業員も納得して共感できる理念を策定しやすくなるでしょう。理念の背景にある思いを従業員に伝えられれば、さらに理念に共感してもらいやすくなります。

2.理念の内容が曖昧で抽象的である

次に挙げられる原因は、理念の内容が曖昧で抽象的なため、従業員にとってわかりにくいことです。抽象的な理念では漠然とした内容しか従業員に伝えられず、思うように広まっていきません。

従業員が仕事に対して意欲を持ちやすくなる、心から良いと思える理念を具体的に策定することが大切です。企業理念をわかりやすく親しみやすい表現で策定すれば、皆が理解でき企業内に浸透していきやすくなるでしょう。

3.従業員への充分な理解や共感が得られていない

企業理念の従業員への周知が足りず、理解や共感が得られないケースもあります。

一度企業理念を伝えただけでは、社内に浸透せずに終わってしまいます。メールや社内報などのさまざまなコミュニケーション手段を使って、企業理念を何度も伝え、従業員に知ってもらいましょう。

ただし、一方的に企業理念を伝えて押し付けるのは避けましょう。従業員にとっては、経営層が掲げた理念を一方的に知らされても納得できません。「理念を守れ」と押し付けられれば、反発や離職につながる可能性もあります。

理念策定時に最も注意しなければならないのは、従業員のことを考えていない内容にしないことです。極端な例として「お客様に奉仕する」という理念を掲げ、その達成のために時間外労働が常態化すれば、従業員からの反発は必至です。

必ず従業員とお客様の両方を考えた理念を策定し、浸透を促しましょう。

企業理念の背景に込められた思いやストーリーを語り、従業員の理解や共感を促し、自ずと理念を重視することが醸成されるようにしましょう。

理念浸透を成功させる5つのポイント

企業理念の社内への浸透を成功させるためには、以下の5つのポイントを重視しましょう。

  1. 理念に関する説明や研修の機会を設ける
  2. 理念に基づいた行動指針を明確にする
  3. 普段から理念に触れる機会を作る
  4. 経営陣・管理職が理念に沿って行動する
  5. 長期的に取り組み・改善をする

理念に関する研修の機会を設けたり、理念に触れる機会を増やしたりすれば、従業員の間で理念に対する理解が進み、管理職は理念に基づいた行動指針を明確にしやすくなります。また管理職が自ら理念に沿って動くことで、その浸透も促されるでしょう。

以下、理念浸透を成功させるための5つのポイントを確認していきましょう。

1.理念に関する説明や研修の機会を設ける

理念に対する説明や研修の機会を設け、理念に込められた想いを正しく理解してもらいましょう。経営陣や管理職が企業理念の背景やメッセージについて、従業員を集めて詳細に説明すれば、従業員に企業理念の存在と意味を認識してもらえます。

説明の際は「理念がなぜ生まれたか」「何を意味しているか」を明確に伝え、従業員が自ら考えて納得できる状態を作りましょう。理念を自分に関係することだと捉えてもらえるよう、ミーティング時に企業理念について考える機会を設けることも効果的です。

理念について従業員の間で共通の認識が生まれれば、理念に基づいた一貫性のある行動が生まれるでしょう。

2.理念に基づいた行動指針を明確にする

企業理念とそれに基づいた行動指針を明確にしましょう。理念に基づいた行動指針は理念の内容と同じく言語化し、誰でも理解できるものにすることが大切です。

行動指針は、従業員が何度も見返せるようにすると効果的です。

例えば、小さいカードに企業理念や行動指針を印刷し、普段から携帯することを促すといった方法が挙げられます。

3.普段から理念に触れる機会を作る

普段から従業員が定期的に理念に触れる機会を設けることも、社内全体への浸透には効果があります。オフィスの壁に掲げる社内ポータル、社員が閲覧する社内報などに理念を掲載し、普段から文言が目に入るようにしておきましょう

理念について従業員同士で語る場を設けることも効果的です。従業員が理念の意味や背景、それに対する自分の考えや思いを人に伝えれば、理念に対する考え方が整理されて定着し、従業員の間で企業理念についての理解や認識がより強まります。

4.経営陣・管理職が理念に沿って行動する

経営陣や管理職が理念通りに行動し、自らがお手本となりましょう。共感しやすい企業理念があったとしても、上層部がその理念を無視していれば、従業員は理念を軽視してしまうでしょう。

上層部が企業理念を理解して、自ら率先して理念に沿った行動を取っていけば、従業員の理念への理解や共感を促すことになります。

5.長期的に取り組み・改善をする

社内理念の浸透に長期的に取り組み、改善していくことも重要です。理念を浸透させるには、経営陣が年単位の長期スパンで取り組まなければなりません。

特に複数の拠点を持つ企業では、地域ごとの特色や社員の傾向をもとに、拠点に応じて効果的な浸透方法を駆使する必要があります。

また、従業員が理念に沿った行動や言動をした場合はそれを評価するといった、人事評価へ理念を反映させた仕組みを作りましょう。一人ひとりの言動は見過ごされやすいので、リアルタイム評価や360度評価(多面評価)などの評価制度を作る必要があります。

理念を部門や個人の行動の評価に反映させる場合は、どのような評価項目になるかも調査検討し、積極的に導入を進めましょう。

理念浸透に成功した企業事例3選

理念浸透に成功した企業の事例を紹介します。本記事でご紹介する企業は、以下の3社です。

  1. リッツ・カールトン
  2. スターバックス
  3. トヨタ

上記3社の事例を、自社の理念浸透の参考にしてみてはいかがでしょうか。

1.リッツ・カールトン

リッツ・カールトンは世界最高峰のホテルブランドであり、「クレド」「モットー」「サービスの3ステップ」「サービスバリューズ」「第6のダイヤモンド」という「ゴールド・スタンダード」と呼ばれる企業理念を定めています。

上記のうち、クレドやモットーを体現するための行動指針としてサービスの3ステップが定められており、その内容は「あたたかい、心からのごあいさつを」「お客様をお名前でお呼びします」といった簡単な言葉で具体な内容が書かれています。

誰にでもわかりやすい言葉で内容を定めているので、企業内で共有しやすく、「従業員は資産である」という考えを理念の中で示している点が特徴です。これにより、従業員と会社の間のエンゲージメントが高まります。

2.スターバックス

スターバックスは世界最大のコーヒーチェーンであり、「Our Mission and Values」という行動規範を定めています。この行動規範の遵守によって、スタッフの大多数がアルバイトでありながら高品質なサービスの提供を実現しました。

スターバックスはスタッフにとって働きやすい環境を整えており、アルバイトスタッフに対しても70〜80時間にわたって人材育成を実施し、接客やコーヒーに関する知識や自社の理念の共有や浸透に力を入れています。

結果、スタッフは企業のビジョンや自らの役割を深く理解し、業務に取り組んでいるのです。

3.トヨタ

日本を代表する自動車メーカーのトヨタでは、「人・社会・地球環境との調和を図り、モノづくりを通して持続可能な社会の実現を目指す」という企業理念を掲げています。

理念を従業員に浸透させるために、トヨタでは新入社員の研修やリーダーシップ研修の現場で、企業理念に基づいた行動を促すカリキュラムを組んでいます。結果、日本国内だけでなく、世界各地で高いシェアを誇る自動車メーカーとして成功しているのです。

まとめ

社内への企業理念の浸透では、従業員が理念に自ら納得して共感し、実践できていることが欠かせません。

理念浸透には、行動指針に一貫性を持たせたり、エンゲージメントの向上につながったりなどの効果があります。従業員の業務パフォーマンス向上の効果も期待できるので、企業の業績アップや存続に関わる重要な概念だと言えるでしょう。

理念浸透を実現するためには、今回本記事で説明したポイントを踏まえた上で、長期的なスパンで取り組む必要があります。その際は従業員が企業理念に触れられる機会を増やし、意識して理解を促すことが必要です。

従業員が理念に触れる機会を増やすには、研修で理念について考える時間を設けたり、社内報に掲載したりなどの方法がありますが、ビジネスチャットツールを用いて理念をいつでも閲覧できる体制を整えても良いでしょう。

Talknoteは業務ノウハウの蓄積やセキュリティの高さに秀でたツールです。業務の経緯や属人的なノウハウなどを蓄積可能なので、従業員の間に自社の理念を浸透させるために活用できます。

無料トライアルも実施しているので、ぜひお試しでのダウンロードをご検討ください。

企業理念の浸透を進め、長期的に成功を収められる企業を作りましょう。

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