VUCAとは?生き残る企業になるための、組織作りや人財の考え方 | Talknote Magazine

VUCAとは?生き残る企業になるための、組織作りや人財の考え方

VUCAとは、目まぐるしく変転して複雑で予測不可能な時代を表す言葉です。例えばIT技術の急速な進歩、新型コロナウイルスのパンデミックなど、容易に予測できない事態が頻発する時代に対して用いられる言葉です。

先行きが不透明な時代において、自社の経営陣のリーダーシップにより既存のビジネスの枠組みから抜け出し、新規ビジネスモデルを創出することが課題となっています。

本記事では、VUCAの意味やVUCAが注目され始めた時期、VUCA時代に生き残るための組織づくりに必要なポイントについて解説します。

VUCA(ブーカ)とは「将来の予測が困難な状況」のこと

VUCAとは、以下の4つの要素の頭文字をまとめた略語です。

  • Volatility(変動性)
  • Uncertainty(不確実性)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性)

VUCAという言葉は元々、アメリカで使用されていた軍事用語です。

1990年代にアメリカとソ連(現在のロシア)が対立していた冷戦が終結し、東西の対立という単純な構図がなくなりました。それによって不確実・不透明な時代に突入したことに伴い、軍事戦略もより複雑化する必要があると示す言葉だったのです。

このVUCAという言葉は現在、経済用語として用いられており、人材育成やマネジメントの現場でも使用されています。

Volatility(変動性)

Volatility(変動性)とは、社会の変化が著しい状態のことを表しています。次々と新しいサービスや考え方が登場したり、それにともなってビジネスを取り巻く状況が変化したりすることがこれまでよりも多くなっているのが現状です。

新しいものを生み出すチャンスがある一方で、変化に対応できないと市場で後手に回る可能性があります。

Uncertainty(不確実性)

Uncertainty(不確実性)とは、社会の変化や自社の立ち位置などがどうなるかわからない状態です。例えば、地球温暖化の進行によって、未来がどうなっているかは誰にも言い切ることはできません。

他にも、副業が全面的に解禁されたときに自社の社員はどう動くのか、ロシアのウクライナ侵攻や経済政策の失敗による物価高がどこまで続くのかなども、Uncertainty(不確実性)の一例です。

Complexity(複雑性)

Complexity(複雑性)は、さまざまな要因が複雑に関わっている状態を指し、現代社会では解決策や対処法を見つけるのが難しくなっています。

これまでに世界や他社の事例を取り入れて上手くいったものも、事柄それぞれに複雑な要因がある中では、単純に参考にするだけでは成功をつかむのは難しいです。一方で、複雑性を逆手にとり、独自の商品やサービスを生み出すことができれば、唯一無二のプロダクトが生まれるでしょう。

Ambiguity(曖昧性)

Ambiguity(曖昧性)は、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)を背景に、明確な解決策や戦略が見つけられない状態を示す言葉です。

過去に起きた『シャープ』や『ソフトバンクグループ』の経営不振は、Ambiguity(曖昧性)が背景にあると考えられています。これまでの解決策や成功体験が通用しない状態であり、現代にあったビジネスモデルに変化する必要があるでしょう。

VUCAが注目され始めたのは2010年頃から

VUCAが経済用語として使用され始めたのは、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)です。

近年、異常気象や地震や台風などの自然災害、少子高齢化や感染症の世界的大流行、IT技術の進化による産業構造の変化などにより、外部環境が不確実な時代に突入しています。

テクノロジーは急速な発展を遂げており、DXやテレワークによるビジネスモデルの刷新や消費者のニーズも変化し続けています。そのような環境下で企業に必要なのは時代に対応できる人材の採用、育成です。

日本企業においても終身雇用や年功序列の崩壊、経済不安や消費税の増税などがあり、不確実で不透明な社会が続いています。

そのため、現在はまさに「VUCA時代」だと言えます。そのような状況で企業は危難を乗り越える経営戦略を打ち出す必要があるため、VUCAが注目を浴びているのです。

VUCA時代に起こること

VUCA時代が到来することによって、以下の3つのようなことが起こる可能性があります。

  • 予想できない出来事が起きやすくなる
  • 革新的なサービスが次々に登場する
  • これまでの常識が通用しなくなる

どのような時代が訪れるのかを理解し、企業に起こりうるリスクやチャンスをイメージしましょう。

予想できない出来事が起きやすくなる

ビジネスを取り巻く環境の変化が流動的になっており、想定していない出来事が起きています。新型コロナウイルス感染症は最たるものであり、経済の停滞や働き方の変化を余儀なくされました。

地球温暖化による異常気象が増えたり、少子高齢化が進みこれまでの制度が変ってきたりしたのも大きな出来事です。この先も予想できない出来事は免れないため、将来を予想して先手を打ったり、その都度迅速に対応したりする必要があります。

革新的なサービスが次々に登場する

革新的なサービスが次々に登場し、人々の生活は日々便利になっています。一見良いことに思えますが、企業にとっては思わぬ競合が現れたり、トレンドが急激に変わったりするのは重大な出来事です。

これまでの事例の中では、飲食業界やタクシー業界にUber、ホテル業界にAirbnbが現れ、新たなビジネスモデルが定着していきました。

これまでの常識が通用しなくなる

新しいビジネスモデルが登場したり、社会が劇的に変化したりする中で、これまでの常識が通用するとは限りません。

新しい考え方やシステムに対応する企業が生き残る世の中になりつつあり、従来のモデルや慣習に固執しているとあっという間に取り残されてしまいます。常に情報をアップデートし、変化し続ける姿勢が求められるのです。

VUCA時代を生き抜くための組織作り

VUCA時代では、思わぬチャンスもあれば、油断していると時代に置いて行かれることも考えられます。そのような時代で、どのように企業や人材は生き残ればよいのでしょうか。

ここでは、VUCA時代を生き残るために必要なことを5つ解説します。

  • 新たな情報を積極的に収集する
  • 従来のマネジメントシステムから脱却する
  • 人材戦略の重要性を企業全体で理解する
  • 経営ビジョンを明確にする
  • 迅速かつ大胆な意思決定を行う

新たな情報を積極的に収集する

新しいテクノロジーの登場や消費者ニーズの変化などにより、既存のビジネスモデルを続けているだけでは、事業を成功させることは難しくなっています。

常に最新の情報や成功事例をキャッチアップし、従来のやり方から取捨選択して新しい方法を創出し、自社のプロジェクトに活かしましょう。

情報を収集する対象は国内だけではなく、国外も含まれます。最新のビジネスモデルやIT技術、海外の政治状況など、あらゆる角度から情報をインプットすることで新規事業のアイデアが創出できるのです。

従来のマネジメントシステムから脱却する

これまでは、新卒一括採用や終身雇用、年功序列などのマネジメントシステムが主流でした。徐々に変わりつつあるものの、VUCA時代の到来により従来のシステムからの脱却が必要になると考えられています。

例えば、働き方の変化が活発に起きており、フリーランスや起業などの選択肢もとられるようになっているため、終身雇用にこだわっていては採用は難しくなるでしょう。働き方だけではなく、人材のマインドも多様化しているので、多様なキャリアや価値観を認め、人材採用や育成に取り組む必要があります。

人材戦略の重要性を企業全体で理解する

VUCA時代では、企業が柔軟な姿勢を持つだけではなく、時代に合った人材戦略が求められます。人材戦略を推進するためには、社内外の企業に関わる人からの理解が必要です。

ステークホルダーや従業員に理解を得ることによって、人材戦略への投資を得られ、従業員は方針を把握した上で働き続けられます。経営陣や従業員への情報共有、ステークホルダーへの情報発信が重要です。

経営ビジョンを明確にする

経営ビジョンを持つことはいつの時代でも重要ですが、VUCA時代を生き残るためにはより明確なビジョンの設定が必要です。

不確実で曖昧な時代の中で、ビジョンがはっきりしていないと、企業と人材はどこに向かうべきか見失ってしまいます。企業が目指す目標を具体的に設定し、何をすべきかを企業全体で共有することが大切です。

ビジョンについては以下の記事でも詳しく解説しています。

≫ 組織運営の肝となる「ビジョン」を正しく理解する。有名企業の事例も紹介

迅速かつ大胆な意思決定を行う

新しい概念やサービスが生まれやすい現代では、迅速かつ大胆な意思決定が求められます。慎重に検討することも大切ですが、行動が遅くなると、明日には他社が発表しているかもしれません。

まずはリーダーがリーダシップを発揮し、決断力や行動力を最前線で示すことが重要です。徐々にメンバーを巻き込み、さまざまな意見や提案をもとにして迅速に思い切った決定をすることがVUCA時代を生き残る力になっていくでしょう。

VUCA時代に対応する「OODAループ」の考え方

OODAループとは、VUCA時代で必要な「迅速に最適な意思決定をする」ための考え方です。即応性に優れている点がメリットで、危機的な状況下に適応し、素早く最良の決定を行えます。

OODAループでは、ある事柄に対して、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(実行)を繰り返す思考法で、状況を迅速かつ正確に判断した上で実行します。

PDCAサイクルよりもVUCA時代にマッチしたフレームワークであり、これからの企業や人材に求められています。

1.Observe(観察)

まず、ある事柄に対する情報収集を行います。現場担当者や意思決定をする者が置かれている状況や市場環境だけではなく、ユーザーを含む関係者の思いや感情も収集して分析することが大切です。

先入観や既存の常識に左右されず、多様性のある事実を客観的に観察することが大切です。

2.Orient(状況判断)

観察によって得たデータと個人の経験や知識を複合し、事象を分析します。OODAループは何度も繰り返すことで成功に至るので、このプロセスでは前回の判断の誤りに気づき、仮説を立てて改善することが大切です。

具体的には行動の内容や順番を考察し、成功するための方法を見極めます。

3.Decide(意思決定)

具体的な意思決定をするプロセスです。このプロセスでは状況判断で考察した情報を踏まえ、どのような行動をするかを決定します。

どのような結果を求めるのかを見極め、その結果を達成するために必要な行動の選択肢を可能な限り多く出し、その中から最適な手段を選択します。

4.Act(実行)

意思決定プロセスで決めた行動を実行するプロセスです。実行して得られた結果は次の機会で観察の対象とし、次の意思決定の判断材料とします。

OODAループは上記のように繰り返すことで、迅速な対応が可能です。

PDCAとの違い

PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのプロセスから構成されるフレームワークです。

OODAループでは観察から実行までのプロセスにおいて、必要に応じて直前の段階に戻ってループを進めます。それに対してPDCAサイクルは、「計画」から「改善」までを一直線に繰り返し、前のプロセスに戻ることがありません。

PDCAは工程が明確になっている事柄に対して効果を出すフレームワークなので、先行きが不透明なVUCAの環境下では、OODAループが適しています。

VUCA時代に必要な人財5選

VUCA時代が到来することによって、企業だけではなく、働く人それぞれにも対応が必要になります。これまで通りのマインドでは、時代に置き去りにされるかもしれません。

ここでは、VUCA時代に必要な人財の特徴をご紹介します。

  1. テクノロジーに理解がある
  2. 自発的に考えられる
  3. ポータブルスキルを持っている
  4. 臨機応変に対応できる
  5. 柔軟にコミュニケーションをとれる

1.テクノロジーに理解がある

社会やビジネス環境の変化は、テクノロジーが発端となるケースが多いです。新しいものが生まれやすい分野でもあり、テクノロジーへの理解は企業や自身への影響を読み取るヒントになります。

既存のテクノロジーへの理解を深めることはもちろん、新しい情報に常にアンテナを張り、日々情報収集する姿勢も必要です。

2.自発的に考えられる

既存の考え方や事例などをなぞるだけでは、社会の変化に対応できなくなるおそれがあります。AIやロボットが普及し始めているため、将来的に取って代わられる可能性もあるでしょう。

VUCA時代では、情報や事例などを参考に、自発的に考えられる人材が求められます。アイデアを発想したり、異なる角度から分析したりすることで、常識にとらわれない考えが生まれるでしょう。日頃から違う視点から物事を考えたり、自分の考えを発言したりするなど、思考のトレーニングに取り組むことが大切です。

3.ポータブルスキルを持っている

ポータブルスキルとは、持ち運びできるスキルと訳され、さまざまなシーンで活用できるスキルのことを言います。流動性の高い現代では、必ずしも同じ職場や部署で働き続けるとは限りません。時代も移り変わるため、VUCAよりも厳しい状況に置かれることもあるでしょう。

そのような時代の中で、業種や時代に左右されないポータブルスキルを持っていることは、市場価値を高める要素になります。思考力やコミュニケーション能力、問題解決能力など、どこにいっても活用できるスキルを身につけることが求められているのです。

4.臨機応変に対応できる

変化が次々に起こるVUCAの時代では、企業はもちろん、人材にも柔軟性が求められています。変化を前に立ち止まってしまうのではなく、変化に合った思考や行動ができる人材が必要です。

5.柔軟にコミュニケーションをとれる

社会だけではなく、企業に集まる人材も多様化していきます。働き方や価値観などが異なる人たちと協力するためには、柔軟なコミュニケーション能力が必要です。それぞれの価値観や特性などを受け入れ、円滑に対話できる人材が活躍するでしょう。

そのような人材が集まれば、多様な意見に耳を傾けられ、独創的なアイデアやイノベーションが生まれるのを期待できます。

社員への育成・教育がより重要に

VUCAの時代では、企業を支える社員の育成・教育がこれまでよりも重要視されています。時代に合ったスキルを持つ人材を採用するだけではなく、既存の人材をVUCA時代で活躍できる人材に育てる必要があるためです。

社員の育成・教育をするにあたって、研修は効果的な方法のひとつです。思考法のトレーニングや他社での実地研修など、体験的な研修であるほど必要なスキルが身に付きやすいでしょう。

また、ポータブルスキルの習得やテクノロジーの理解などを実現するためには、自発的な学習への支援が求められます。語学習得や資格取得、留学などを後押しする制度があると、社員が自ら成長するきっかけを作ることが可能です。

VUCA時代に対応したコミュニケーションツール「Talknote」

VUCA時代に対応するには、社員の教育やコミュニケーションの質を重視することが大切です。社員同士のコミュニケーションを活発にするには、チャットツールなどのコミュニケーションツールの導入がおすすめです。

メールや電話といった従来のツールだけでは、意思疎通をスムーズに図れませんが、情報共有やタスク管理機能の搭載されたツールを活用すれば、業務環境に左右されずに社員同士の意思疎通を図れます。

情報共有の素早さではメールを上回っており、履歴が残るため、新入社員に向けた説明など、時間が経過した後での情報共有をしやすい点も特徴です。

Talknoteは、業務の経緯や背景などを蓄積して共有できる点が特徴のコミュニケーションツールです。同僚への称賛や業務ノウハウやナレッジなども蓄積できるので、時代の変化に強い組織を形成するための一助となります。

また、従業員のタスク管理では期限を超過した後のタスクの通知がされるので、業務の抜け漏れを未然に防げます。

まとめ

VUCAの時代は不確実性と複雑性が高く、従来のやり方に固執していては事業を成功させることは難しい状況です。

そのような時代を生き抜くためには今までのやり方を点検し、より柔軟で迅速な意思決定をすることや、明確なビジョンを設定して行動することが重要です。

企業の人材には自発的な思考が必要なので、社員の努力や企業が率先する人材育成などがより必要になってきます。社員の人材育成には情報共有が重要であり、情報を共有するためにはコミュニケーションツールを使ったデータの蓄積が効果的です。

Talknoteは業務背景やノウハウ、ナレッジの共有を支援するコミュニケーションツールです。VUCAの時代に対応する、強い企業を作るための一助となります。

無料トライアルが可能なため、この機会にTalknoteをお試しでダウンロードしてみてはいかがでしょうか。

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