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人材ポートフォリオとは?
作成の手順やメリット、注意点を解説

企業は多くの人材に支えられて成り立っていますが、それぞれがどのような能力を持っているか、どのような人材が多いのかなどを把握している企業は少ないかもしれません。人材に関する情報を整理したものを人材ポートフォリオと言い、現代では非常に重要です。

この記事では、人材ポートフォリオが必要とされる背景や作成する手順、メリット、注意点などを解説しています。

人材ポートフォリオとは?

人材ポートフォリオとは、人材や人的資源に関するポートフォリオです。ポートフォリオとは「書類入れ」という意味のある言葉で、クリエイターの作品集や実績などをまとめたもの、投資家や企業が保有している株式の一覧などを指して使われることがあります。

人材ポートフォリオは、部門・役職・ポジションといった「社内のどこに」、職種・スキル・適性・性格といった「どのような人材が」、人数・在籍年数といった「どのくらい」を明らかにするツールです。自社の人材の詳細を可視化することによって、人事の見直しや活性化を図ることができ、人事マネジメントで活用されています。

人材ポートフォリオが必要とされる背景

人材ポートフォリオはこれまでもありましたが、近年注目されているのは重要性が増したからです。その背景には、ビジネス環境の変化があります。少子高齢化による労働力人口の不足、グローバル企業との競争力低下などの課題がある中で、雇用のあり方や働き方に変化が出てきているのが現状です。

さらに、VUCA時代と言われる、不透明で複雑な社会においては、さまざまな状況に対応できるように、多様な人材を採用することが求められています。

変化に柔軟に対応していく必要がある現代で、注目されているのが人材ポートフォリオです。自社の人材を詳しく把握することで適材適所な人事を実践し、限られた人的資源で変化の激しいビジネスシーンを乗り越えるために、多くの企業で活用されるようになってきています。

人材ポートフォリオをつくる手順

人材ポートフォリオは、企業の規模やリソースに関わらずに実践できる手法です。そのため、専門のコンサルタントを依頼できなかったり、リソースに余裕がなかったりしても、手順を押さえれば多くの企業で実践できます。

ここでは、人材ポートフォリオをつくる手順を解説します。ステップごとのポイントを押さえて、自社での作成に生かしてみてください。

  1. 活用する目的を明確にする
  2. 必要な人材のタイプを定義し社員を当てはめていく
  3. タイプの状況を把握し課題を見つける

活用する目的を明確にする

まず、人材ポートフォリオを活用する目的をはっきりさせましょう。「多くの企業が作成しているから」「近年のトレンドだから」といった理由では、活用シーンが見つからずあまり効果を期待できないでしょう。人材に関する状況が上手くいっており、そもそも必要ないここともあります。

人事に関する悩みや課題を洗い出し、人材ポートフォリオを活用したいシーンを明確にすることが大切です。目的がはっきりすれば、作成した後に活用しやすくなります。

必要な人材のタイプを定義し社員を当てはめていく

人材ポートフォリオは、人材採用・育成に活用するツールです。そのため、人材が充実しているのか足りていないかを明らかにするために、必要な人材のタイプを決め、そこに社員を当てはめていきます。そうすることで、どのタイプの人材が足りないかを可視化することが可能です。

タイプの例には、専門職・総合職といった職種、個人で能力を発揮する・チームで機能するといった傾向、創造力がある・既存の業務が得意といったスキルなど、いくつかのタイプが挙げられるでしょう。

振り分けの際には、なるべく根拠のあるデータを用いることが大切です。管理職や上司の印象・直感による振り分けは従業員から納得を得にくく、確かなタイプとは言えません。適性検査やスキルチェックシートなどを活用するのがおすすめです。

タイプの状況を把握し課題を見つける

社員をタイプ別に振り分けたら、全体像を分析しましょう。専門職や、創造力のある人材が少ないならば、専門職の採用や創造力の育成が必要になるなど、課題が見つかります。

人材の量は足りていても、タイプに偏りが見られることもあります。マネジメント人材が飽和しているなどの問題が見つかれば、人材配置を検討する必要があるでしょう。

人材ポートフォリオをつくるメリット

人材ポートフォリオを作成することによって、以下のようなメリットを期待できます。

  • 人材配置に役立てられる
  • 一人ひとりに合ったキャリアパスを計画できる

自社の課題をイメージしながら、メリットを正しく理解していきましょう。

人材配置に役立てられる

人材ポートフォリオによって、人材がどのくらいいて、どこにどのような人材が配置されているかが明らかになります。ある部門に人材が多すぎる場合は、部署移動などで調整することが可能です。

各部門に人材が十分に配置されているものの、成果が上手く出ない場合は、人材の強みが生かされていない可能性があります。人材の特性を参考にして、人材配置を見直すことで、スキルが発揮された成果につながっていくでしょう。

一人ひとりに合ったキャリアパスを計画できる

キャリアパスとは、思い描くキャリアへの道筋のことを言います。人材ポートフォリオで一人ひとりの特徴や志向を理解することによって、それぞれが望むキャリアを叶えやすくなります。

例えば、現在総合職に勤めている従業員について、専門的なスキルや知識があることを把握すれば、専門職への道筋を提案できるでしょう。もちろん個人の希望によりますが、人材ポートフォリオ作成をきっかけに、社員一人ひとりに合った働き方やキャリア形成をサポートできます。

人材ポートフォリオの注意点

人材ポートフォリオを導入する際に、以下のポイントに注意が必要です。

  • 作成や運用には労力が必要
  • 優劣を明らかにするために使ってはいけない
  • 対象外の社員を生み出してはいけない
  • 社員の希望を取り入れる

注意点を理解できていないと、不公平な内容になったり、予想以上にコストがかかったりするケースがあります。あらかじめ注意点を理解していきましょう。

作成や運用には労力が必要

人材ポートフォリオを作成・運用するためには、コストが多くかかります。作成する段階では、人材それぞれのデータ収集、人材配置の現状など、人的資源に関わるあらゆる情報を集めた上で、タイプの振り分けや現状の分析をしなければいけません。

人材ポートフォリオを活用する際には、社員の共感も必要です。全体に概要やメリットを共有する手間があり、同意を得られなければ再度検討する必要があります。

運用するためには、人事が中心となって、企業全体で時間をかけて取り組むのが基本です。すぐに効果が出るとは限らず、時間と費用を覚悟した上で長期的に取り組まなければいけません。従業員への負荷や予算などのリソースを考慮した上で、人材ポートフォリオの作成に着手すると良いでしょう。

優劣を明らかにするために使ってはいけない

社員をいくつかのタイプに振り分けるときにありがちなのが、優劣をつけてしまうことです。Aさんは〇〇が得意、Bさんは〇〇は苦手ということを明らかにするものではありません。優劣で人材ポートフォリオを作成してしまうと、特定の社員を優遇する取り組みになってしまうでしょう。

適切な人材配置や効果的な人材育成プランを実践するためのものであり、社員のモチベーションを引き出す取り組みにする必要があります。社員一人ひとりの良さに注目した上で、フラットな目線で振り分けを行いましょう。

対象外の社員を生み出してはいけない

人材ポートフォリオは、雇用形態を問わず、従業員全員を対象にする必要があります。正社員のみなど、特定の社員に絞ってしまうと、対象外の社員が不満を抱えるだけではなく、人材の全体像を捉えることができません。

全社員を対象にすれば、人材を取り巻く状況を把握しやすくなります。雇用形態に限らず企業の一員と認められていると感じる機会にもなり、一体感も増していくでしょう。

社員の希望を取り入れる

人材ポートフォリオの主役は従業員一人ひとりであるため、できるだけ社員の希望を取り入れることが大切です。特に人材配置に活用する場合は、本人の希望と異なる部門に配置してしまうと、モチベーションが下がったり、離職を考えたりするリスクがあります。

希望に沿った選択ができれば、働き方やキャリアプランを実現することにつながり、長く活躍してくれる人材になるでしょう。

人材ポートフォリオの事例

人材ポートフォリオは、さまざま企業で取り入れられており、自社で実践する際のヒントを得られます。

一つの例として、株式会社電通国際情報サービスでは、先立つ事業ポートフォリオの再構築に対応した人材ポートフォリオの再構築に取り組みました。

足りていない人材の質や量を見極めるのが目的とし、スキルチェックと現状のギャップを人材確保・育成に反映しています。人材ポートフォリオは毎年作成しており、定期的に人的資源を把握しているのも特徴です。

まとめ

人材ポートフォリオを作成・運用することによって、人材の過不足や配置の傾向などが明らかになります。人材が足りない部門や偏りなどの課題が見つかれば、人材採用・育成を改善し、適切な人事戦略を実施することが可能です。

人材ポートフォリオを作成する際は、なぜ必要なのかを明確にすることが大前提となります。作成の手順や注意点を参考にして、自社で人材ポートフォリオを作成・活用してみてはいかがでしょうか。

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