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持続可能な生産性の高い組織を実現する
「健康経営」とは

企業や組織において、従業員は欠かせない存在です。従業員が健康であることは、従業員のモチベーションや生産性を高めることにつながり、企業の成果にも良い影響を与えます。健康に着目した経営を健康経営と言い、近年注目されている手法です。

この記事では、健康経営が注目されている理由や実現するためのステップ、メリット、取り組む上での注意点まで詳しく解説します。

健康経営とは

経済産業省では、健康経営を「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」と定義しています。従業員の健康維持に投資することによって、社員一人ひとりの活力や生産性の向上を目指し、業績や株価の上昇も期待できます。

「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みのひとつで、平成26年度から健康経営銘柄の選定、平成28年度から健康経営優良法人認定制度をスタートさせています。この制度によって、健康経営に取り組んでいる法人が明確になり、社会的評価を得られる環境を整備し、さらなる健康経営の普及を目指しています。

注目が集まる健康経営

注目を集めている健康経営について、令和3年10月に経済産業省 ヘルスケア産業課が発表した資料「健康経営の推進について」を参考に見ていきましょう。

日本は、世界の中でも高齢化が特に進んだ超高齢化社会であり、2015年に21%だった高齢化率が2060年には38.1%になると予想されています。これからの100年間で100年前の人口に戻っていくと言われ、急激に減少することが問題視されているのが現状です。

現状を受けて、健康への投資を促進することによって、現役世代の活力向上や健康寿命の延伸などを実現する必要性が生まれ、健康経営に注目が集まりました。国は、大企業だけではなく、中小企業に対する顕彰制度も整備し、健康経営に取り組む企業を積極的に見える化しています。例年行われている健康経営度調査の令和2年度の結果によると、回答した法人は195法人増加し2,523法人になっており、徐々に普及していることがわかるでしょう。健康経営優良法人への申請・認定の件数も増加しています。

高齢化とともに少子化も進んでおり、企業にとって人材不足も頭を悩ませる問題です。限られた人材に負担がかかってしまい、不健康な状態が続くと、心身の疲れやストレスからパフォーマンスが低下したり、良い条件を求めて離職したりするリスクがあります。生産性を高めつつ、健やかに働いてもらうことがパフォーマンスや定着につながることもあり、これからの経営戦略として健康経営が注目されているとも言えるでしょう。

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健康経営の実現ステップ

健康経営に取り組むためには、ステップを踏んで実践することが大切です。下準備から丁寧に進めることによって、より成功しやすくなります。

健康経営を実現するために、以下の5つのステップで取り組んでいきましょう。

  1. 【【ステップ1】健康経営の実施を共有する
  2. 【ステップ2】健康経営に適した体制を整える
  3. 【ステップ3】課題を設定する
  4. 【ステップ4】健康経営を実施する
  5. 【ステップ5】成果を測定し改善する

【ステップ1】健康経営の実施を共有する

健康経営をいきなり実施するのではなく、まず会社全体に共有しましょう。社内報やプレスリリース、全社会議、株主総会などの機会を活用して、健康経営の開始を宣言することが大切です。

ここでは、ただ「健康経営を始める」と伝えるだけではなく、健康経営の重要性を語った上で、企業のビジョンや理念に反映させる必要があります。企業の経営方針として広く発信することで、従業員や投資家の理解を得やすいです。

【ステップ2】健康経営に適した体制を整える

健康経営を継続的に実施するために、体制を整えましょう。人事部に健康経営の担当者を新設する、健康経営プロジェクトチームを発足するなど、健康経営に特化した部署やチームを設けることで、計画の立案や実施、効果の検証などを実行しやすくなります。

自社の従業員だけで体制を整備するのが難しい場合は、産業医や保健師など外部の人材に協力してもらうのも方法のひとつです。専門家の存在は健康経営に良い影響を与えるので、専門的なスキルを持つ人材が自社にいない場合は積極的に活用しましょう。

【ステップ3】課題を設定する

「多くの企業が始めているから」といった導入が目的になっている状態では、健康経営は頓挫する可能性が高いです。なぜ健康経営を行うのかを明らかにするために、企業における従業員の健康上の課題を洗いだしましょう。

ストレスチェックの結果が悪い、休業している社員が多い、労働時間が長い、従業員の年齢が高いなど、様々な観点から課題を探すことが大切です。

例えば、残業が常態化し労働時間が長く、体力的にも心理的にも疲弊が見られるとしましょう。その場合は、残業や休日出勤は極力減らし、必要に応じて有給を使用しリフレッシュしてもらうなどの取り組みが必要です。

課題は、企業の業種や年齢層など様々な要因によって異なります。従業員のデータを活用し、健康経営で解決したい課題を明確にしましょう。

【ステップ4】健康経営を実施する

明らかになった課題を解決するために、実際に健康経営を始めていきます。具体的には、課題に対して制度を変更したり、意識改革のために研修を開いたりするなどの取り組みを行いましょう。

例えば、残業の多さが課題になっているなら、いきなり残業ゼロにするのではなく、ノー残業デーをつくって残業なしで業務を進める習慣をつくるのがおすすめです。健康に関するセミナーを開いたり、1日の中に身体を動かす時間をつくったりするなど、課題解決につながる取り組みを工夫して行いましょう。

取り組みを考える際のポイントは、従業員が楽しみながら気軽に取り組めることです。負担が大きいと参加率が下がってしまい、健康経営の効果を期待できません。負担が少なくても健康を実感できるような、アプリを使った行動量の測定などが取り組みやすいでしょう。

【ステップ5】成果を測定し改善する

実施した健康経営に関わる取り組みについて、成果を測定します。定期的にアンケートやストレスチェックを行ったり、面談で従業員から直接意見を聞いたりして、どのくらい効果が現れているかを確認しましょう。

効果が出ていなければ、取り組みの内容を変える必要があります。効果が現れていても、さらに成果が出るようにブラッシュアップすることが大切です。一度の取り組みで満足せずに、常に検証と改善を繰り返して、理想の健康経営を目指しましょう。

健康経営のメリット

健康経営を実践することによって、以下のメリットを期待できます。

  • 生産性が高まる
  • リスクマネジメントできる
  • 企業のイメージが向上する
  • 医療費を削減できる
  • 離職率が低下する

自社の課題と照らし合わせて、健康経営を実践するか検討してみましょう。

生産性が高まる

健康経営に取り組むことによって、従業員が心身ともに健康な状態で働くことができます。体調が健やかなことで仕事に集中しやすくなり、作業スピードが早くなったり、ミスが減ったり、斬新なアイデアが生まれたりするなど、生産性の向上につながりやすいです。

健康な従業員が増えれば、雰囲気が明るくなり、職場に活気が生まれます。活気のある職場では、コミュニケーションも生まれやすく、より一層パフォーマンスを向上できるでしょう。

リスクマネジメントできる

健康に不調を抱えたまま働いていると、気づかぬうちに体調が悪化してしまう場合があります。心筋梗塞など重大な疾患につながることもあり、入院や死亡などのリスクに気を付けなければいけません。小さな怪我でも労災となって会社に影響を及ぼしたり、予期せぬ事故や不祥事を起こしたりする可能性もあります。

そのようなリスクを避けるために、健康経営はリスクマネジメントに有効です。健康な従業員を増やすことによって、心身の不調による不注意や病気などを未然に防ぐことができます。従業員を守ることが一番の目的ですが、最終的には企業を守ることにもなります。

企業のイメージが向上する

健康経営に力を入れていることは、求職者や投資家などに好印象を与え、企業イメージの向上に貢献します。経済産業省が実施している顕彰制度などでアピールできれば、社会に広くアピールすることが可能です。

健康経営はステークホルダーとの関係においてもメリットが大きく、労働者や投資家以外にも、取引先や消費者、地域・社会からも信頼を得やすくなります。

医療費を削減できる

少子高齢化に伴って、医療費が増加しているため、健康保険組合などの財政悪化によって健康保険料は上昇しています。企業が負担する保険料にも影響があり、経費を圧迫している点に注意が必要です。

健康経営によって、心身が健康な従業員が増えると、医療を受ける必要がある従業員が少なくなります。そのため、企業の負担額も減り、経費を抑えやすいのがメリットです。

離職率が低下する

経済産業省の発表によると、健康経営に取り組む企業では離職率が低いことがわかっています。2019年時点の全国平均は11.4%ですが、健康経営銘柄2021の企業は平均3.3%、健康経営優良法人2021の企業は平均5.4%でした。

人材不足が顕著な現代では、健康経営によって定着率を向上できるのは非常に大きなメリットです。心身ともに健やかに働けることで、従業員はこれからも長く働きたいと思ってくれるでしょう。

健康経営に取り組む際の注意点

健康経営を成功させるためには、以下の注意点を押さえましょう。

  • トップの理解が必要
  • 効果が測定しにくい
  • 従業員に負担がかかる場合もある

注意点を把握しておくことによって、健康経営を組織に浸透させやすくなります。あらかじめ対策を立て、健康経営を慎重に実践していきましょう。

トップの理解が必要

健康管理の重要性に気づくのは、従業員が働く現場であることが多いです。体調やメンタル面に問題を抱えている社員が増えていたり、なかなか定着しなかったりするなどの問題を訴えても、トップが健康経営に理解がなければ推進することは難しくなります。

実施することができても、十分な理解がなかった場合、施策の中で優先度が低くなったり、予算が縮小されたりして、立ち消えてしまうことでしょう。

まずはトップが健康経営の必要性を実感し、理解を深めるのがスタートです。トップが熱意のある発信を行うことができれば、従業員や投資家などの共感を得られるでしょう。

効果を測定しにくい

健康経営は、一朝一夕で成果が出るものではありません。体調やメンタルに不調を感じている従業員が回復するためには、ある程度の時間が必要です。健康な従業員が増えることによる組織への影響が見えるまでには、さらに時間がかかるでしょう。

効果を検証することは簡単ではないので、成果を焦ると失敗しやすいです。あらかじめ長期的な計画を立て、地道に取り組みを実施し、一つひとつ効果測定や改善をする心構えが求められます。

従業員に負担がかかる場合もある

健康経営を実施するためには、従業員の協力が必要です。セミナーへの参加、勤務時間中の運動、アプリでの計測などの取り組みは、プラスになることもあれば、負担に感じる場合もあります。

あまりにも取り組みが多くなったり、従業員の手間がかかりすぎたりすると、かえって疲れやストレスを感じさせてしまうので注意が必要です。一気に取り組みを実施しないこと、従業員の意見を聞きながら検討することが大切でしょう。

まとめ

健康経営は、少子高齢化の進展や人材不足などを背景に、近年注目されている経営戦略です。従業員の健康に着目した取り組みを実施することによって、生産性の向上やリスクの回避、企業のイメージアップ、医療費の削減など、多くのメリットを期待できます。

健康経営を成功させるためには、トップの理解や長期的な計画が必要です。実施の流れも参考にして、ぜひ自社での健康経営に役立ててみてください。

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