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エンプロイアビリティを高めるための方法とは?

エンプロイアビリティとは、雇用者のスキル・能力を表す言葉です。雇用者や求職者に関わりがあることはもちろん、企業にとっても見逃せない言葉になっています。エンプロイアビリティを意識した企業運営は、流動性が高く不透明なビジネスシーンを生き残るためにも必要です。

この記事では、エンプロイアビリティの種類や3要素、メリット・デメリットを詳しく解説します。

エンプロイアビリティとは?

エンプロイアビリティとは、「雇われる(エンプロイ)」「能力(アビリティ)」のことを指します。従業員を主体とした概念であり、雇われる・継続して雇用されるために知識やスキル、コミュニケーション力、マインドなど、求められる能力は様々です。

従業員を雇う側である企業にも深い関わりがあり、エンプロイアビリティの高い人材を雇用したり、既存人材のエンプロイアビリティを高めたりすることは、企業の成長につながっていきます。

近年注目されているエンプロイアビリティについて、厚生労働省による報告書「エンプロイアビリティの判断基準等に関する調査研究報告書について」でも詳しく発表されました。注目されている理由については、産業構造の変化や技術革新の進展、働き方の多様化を例に挙げ、労働者に求められる能力が社内だけではなく、企業を超えて通用するレベルであるとしています。特定の能力が優れていることはもちろん、企業・社会への対応力や問題解決能力、創造性なども重視される傾向にあるとしました。

諸外国の動きにも触れており、アメリカでは教育訓練の目標がエンプロイアビリティの向上になっていることが多く、ヨーロッパでは雇用対策の一貫としてエンプロイアビリティを高めることが重要視されています。

エンプロイアビリティの種類

エンプロイアビリティは、主に4つの種類に分けて考えられています。

  • 内的エンプロイアビリティ
  • 外的エンプロイアビリティ
  • 絶対的エンプロイアビリティ
  • 相対的エンプロイアビリティ

それぞれどのような概念か押さえ、エンプロイアビリティを正しく理解しましょう。

内的エンプロイアビリティ

従業員から見たエンプロイアビリティは、内的エンプロイアビリティと外的エンプロイアビリティに分けることができます。

内的エンプロイアビリティとは、現在の職場で長く雇用されるための能力です。知識やスキル、経験などが内的エンプロイアビリティに含まれ、それらが高いことで長期間雇用されたり、リストラを回避ができたりするなどに効果を発揮します。

外的エンプロイアビリティ

外的エンプロイアビリティは、社外でも通用する能力のことを言います。転職に有利な能力と言い換えることができ、どのような会社でも活躍できる知識やスキルを持っている人は、外的エンプロイアビリティが高いと言えるでしょう。

具体的には、特定の業種でニーズの高い国家資格、様々なシーンで活用されているシステムの知識・スキルなどが外的エンプロイアビリティに含まれます。

絶対的エンプロイアビリティ

絶対的エンプロイアビリティとは、どのような状況でも価値のある能力です。時代や状況などに左右されることなく、発揮できる知識やスキルは絶対的エンプロイアビリティに該当します。

例えば、AIの普及によって取って代わる仕事が出てくる中でも、その人にしかできない業務は絶対的と言えるでしょう。従業員にとってはこの先もキャリア形成するための力になり、企業にとっては時代に影響されない競争力を得られます。

相対的エンプロイアビリティ

相対的エンプロイアビリティは、状況によって価値が変わる能力です。様々な分野にテクノロジーが導入されていますが、最新技術によって価値が下がる仕事に関する能力は相対的と言えます。

悪い部分だけではなく、時代とマッチすることで重要視されることもあります。時代に合わせて必要な知識・スキルを身につけ、相対的エンプロイアビリティを発揮することが大切です。

エンプロイアビリティの能力の3要素

厚生労働省の報告によると、エンプロイアビリティの能力は3つの要素に分類されています。

  • 労働者個人の能力
  • 企業の求める変化に対応する能力
  • 横断的な市場価値を含んだ職業能力

3つの要素について、具体的な内容を詳しく見ていきましょう。

労働者個人の能力

「労働者個人の能力」は、3つに分けられています。

  • 職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの
  • 協調性、積極性等、職務遂行に当たり、各個人が保持している思考特性や行動特性に係るもの
  • 動機、人柄、性格、信念、価値観等の潜在的な個人的属性に関するもの

わかりやすく言い換えると、知識・スキル、思考・行動特性、パーソナリティの3つです。働きぶりや行動などで見える部分は知識・スキル、思考・行動特性、見えない部分はパーソナリティというように、さらに2つの階層に分類されます。

企業の求める変化に対応する能力

産業構造の変化やIT技術の発達などによって社会は目まぐるしく変化しており、企業もその動きに対応しなくてはいけません。エンプロイアビリティにおいても、企業が求める変化に対応する能力を求めています。

表面的な知識・スキルは変化によって陳腐化する可能性があるため、ここでは判断力や洞察力、対人関係能力などどのような職場・業界でも通用する能力が重要です。

横断的な市場価値を含んだ職業能力

横断的な市場価値を含んだ職業能力は、知識やスキル以外に、価値観や発想力、熱意、チャレンジ精神などの部分が含まれます。

市場価値に関わる職業能力という点で、日本ではまだ明確に定義されていません。そのため、この要素については、企業それぞれでどのような人材が高い市場価値を持っているかを考え、採用や育成に役立てることが求められていると言えるのでしょうか。

エンプロイアビリティのメリット

エンプロイアビリティを高めることによって得られる主なメリットは、以下の通りです。

  • スキルを高められる
  • キャリアアップを実現しやすくなる
  • 企業にとって人材を獲得しやすくなる

従業員と企業の視点から、それぞれのメリットを押さえていきましょう。

スキルを高められる

エンプロイアビリティを高める取り組みを行うことによって、従業員のスキルを高めることができます。知識を高めるためのセミナー・研修を開催したり、スキルを高められるように資格取得をサポートしたりするのが効果的です。

また、従業員にエンプロイアビリティの重要性が浸透すれば、長く雇用されるために、またはどのような会社でも通用するように、自己研鑽に取り組む人材が増えるかもしれません。スキル向上を後押しする制度や環境を整えれば、さらにスキルアップを期待できます。

従業員のレベルアップは、企業への影響も大きいです。業務にかかる時間が効率化されたり、独創的なアイデアが生まれたりすることで、企業の成果は高まっていくでしょう。

キャリアアップを実現しやすくなる

エンプロイアビリティが高まると、自社から評価を得やすくなります。知識・スキル以外の課題解決力や対人能力を評価されれば、管理職やリーダーなどへのキャリアアップの道が拓かれるでしょう。

責任あるポジションで会社に貢献したい方は、エンプロイアビリティに含まれるスキル向上を目指すのがおすすめです。

企業にとっては、管理職や事業責任者などの適性がある人材を育てられるメリットがあります。全員をポストに任命できなかったとしても、マネジメントやリーダーの視点を持つ人材が組織に多くいることは、競争力を高める要因になるはずです。

企業にとって人材を獲得しやすくなる

エンプロイアビリティの向上に取り組んでいる企業ということをアピールすれば、成長したい優秀な人材が集まりやすくなります。スキルアップやキャリアアップを実現しやすい企業は意欲的な人材にニーズがあり、人手不足を解消するきっかけになるかもしれません。

優秀な人材を獲得することによって、既存人材にも良い影響を与えます。高度なノウハウや経験がチームに落とし込まれたり、優秀な人材に刺激を受けたりすることによって、組織全体の成長を期待できるでしょう。

エンプロイアビリティのデメリット

エンプロイアビリティを高めることによって、メリットだけではなく、デメリットも出てくる可能性があります。主なデメリットは、以下の3つです。

  • 従業員が流出しやすくなる
  • 待遇を高める必要が出てくる
  • エンプロイアビリティ教育にコストがかかる

企業側に対応を求められるので、エンプロイアビリティの向上を目指す際はあらかじめ課題を理解していきましょう。

従業員が流出しやすくなる

エンプロイアビリティが高い人材は、社内はもちろん、社外から見ても魅力的な人材です。どこにいっても通用する知識やスキルを求める企業は多く、人材にとって魅力的な条件であれば、他社に流出してしまう可能性があります。

流出を防ぐためには、企業への帰属意識の向上ややりがいの創出が必要です。スキルを発揮できていたり、ビジョンに共感できていたりする場合は、転職の選択肢があっても定着を期待できます。やりたい仕事ができている、希望する働き方を実現できている場合にも、長く務めたいと思ってもらえるでしょう。

従業員それぞれがどのように働きたいか、どのような仕事に携わりたいのかなどをヒアリングし、ここで働きたいと思える環境や制度を整えることが求められます。

待遇を高める必要が出てくる

エンプロイアビリティが高い人材の流出を防ぐ対策の一つとして、待遇を見直す必要性が出てきます。職種や働き方だけではなく、金銭面も仕事を選ぶ基準であり、待遇に不満があると条件の良い他社へと流出してしまうでしょう。

待遇を見直すことによって、企業にはコストが発生します。一部の人材だけを見直すと、不満が出るケースもあるため、全体的な見直しが必要になるでしょう。見直しの範囲が広くなるほどコストが高くなるので、費用対効果を分析した上でエンプロイアビリティ向上に取り組む必要があります。

エンプロイアビリティ教育にコストがかかる

エンプロイアビリティ向上に向けて、従業員に教育を行うためにはコストがかかります。教育を実施するために必要な人件費や時間、工数などが発生するので注意が必要です。

エンプロイアビリティ教育は、チェックシートによる調査や研修、実践する機会の提供、自己研鑽に対する補助・手当など、様々な角度からアプローチがあります。

エンプロイアビリティ教育だけに注力すると、コア業務がおろそかになり、経営面を圧迫するかもしれません。担当者のリソースや費用などを確保した上で、実施可能かを判断しましょう。

まとめ

エンプロイアビリティとは「雇われる力」であり、従業員はもちろん、企業にとっても重要な概念です。エンプロイアビリティを高めることによって、従業員はスキルアップやキャリアアップを実現しやすくなり、企業は生産性・定着率の向上、優秀な人材の獲得などを期待できます。

一方で、エンプロイアビリティ教育にはコストがかかり、能力を高めた人材が流出しないようにフォローや制度・環境の見直しが必要です。

エンプロイアビリティのメリット・デメリットを押さえた上で、自社で積極的に取り組むべきかを考えてみてはいかがでしょうか。

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