職場でのコミュニケーションは上手く伝達できる場面だけではなく、時にはエラーが起きることもあります。コミュニケーションエラーが起きると、業務に支障をきたすので、あらかじめ解決策を講じることが大切です。

この記事では、コミュニケーションエラーによる業務への影響、原因、解決策まで詳しく解説します。

コミュニケーションエラーとは

コミュニケーションエラーとは、コミュニケーションに関わるミスのことを指します。主に2種類に分けることができ、1つ目が情報伝達不足によるエラーです。伝達している内容がそもそも足りないケースのほか、伝え方やコミュニケーション手段などの行為も関係しています。伝えた側はしっかり伝えたと思っていても理解されていないというときには、情報伝達にエラーが起きているでしょう。

2つ目は、そもそも誤った情報を伝えてしまっているケースです。伝える側が誤った情報を伝達している場合だけではなく、受け取る側が解釈を誤り、ズレが生じているケースも含まれます。このケースでは、情報の取り扱いが重要なので、双方で丁寧にコミュニケーションを取る意識が必要です。

コミュニケーションエラーによる業務への影響

コミュニケーションエラーが起こると、業務にどのような影響を与えるのでしょうか？さまざまな影響を与える可能性があるので、あらかじめ理解して対策することが必要です、ここでは、業務への影響を3つ解説します。

ミスが増える

コミュニケーションエラーが起こることによって、ミスが生じる可能性があります。誤った認識のまま仕事を進めてしまい、組織はもちろん、取引先や顧客、患者などさまざまな人に影響を与えてしまうでしょう。売上が落ちたり、顧客満足度が下がったりすると、本人にも組織にもダメージが大きいです。

コミュニケーションエラーによるミスが小さいものでも、作業をやり直したり、再度伝達したりする手間がかかり、生産性は落ちてしまいます。

トラブルが起きやすくなる

コミュニケーションエラーの内容によっては、トラブルが発生するおそれがあります。伝える側が言ったと思っていても、受け取る側に伝わっていなければ、「言った」「言わない」で争いが起きるかもしれません。

発生したトラブルが収まったとしても、トラブルがきっかけでチームワークが悪くなることもあるでしょう。そもそも伝えていない、確認していないにも関わらず、失敗や進捗状況を責めるようなことがあれば、トラブルになる可能性は非常に高いです。

ますます発言しにくい環境になる

コミュニケーションエラーによるミスやトラブルが続くと、コミュニケーションに消極的になってしまいます。

「上手く伝わらなくてミスが起きたら……」と思い、発言を避ける人が増えるでしょう。メンバーとのやり取りが減るだけではなく、ますます情報伝達がおろそかになり、ミスやトラブルが起きる悪循環に陥ってしまいます。

コミュニケーションエラーが起こる原因

コミュニケーションエラーが起こる原因は、主に7つあります。できていると思っている部分でも、実際はエラーが起きているかもしれません。自分の意識や自社の様子を振り返りながら、原因を確認していきましょう。

きっと伝わったと思い込んでいる

伝える側が伝わったと思っていても、受け取る側には伝わっていないこともあります。

伝わったかどうか相手の反応や返事から考えられればエラーを防げますが、「きっと伝わった」「伝わるはず」と思い込んでいると、エラーが起きてしまうのです。

どんな簡単な内容でも、人によって捉え方や伝わり方が変わることに注意しなければいけません。

言ったはずだと思っている

伝える側の思い込みで既に言ったものと思っていると、コミュニケーションエラーが起きます。この場合、指示やお願いが伝わっていないので、受け取る側は何もできません。

その結果、言ったはずなのに仕事が進んでいないことになり、ミスやトラブルが起きてしまいます。

誰かが言ってくれると人任せにしている

誰かが言ってくれると人任せにしていると、コミュニケーションが滞りやすいです。実際に誰かが伝えてくれれば問題ありませんが、誰も伝えずに時間だけが過ぎることもあります。

指示やフォローがないまま取り返しのつかない状態になったり、コミュニケーションの取り方を巡ってトラブルが起きたりするでしょう。

口頭での指示が伝わっていない

口頭での指示は、チャットやメールのように記録が残りません。曖昧な伝え方やわかりにくい言葉だと、上手く伝わっていない可能性があります。

質問をしにくい環境・関係性であれば、しっかり理解していないまま業務を行わなければいけません。社外との伝達ミスや業務のミスなどにつながるので、口頭での指示は特に気を付ける必要があります。

情報伝達に気を配る余裕がない

丁寧に伝える余裕がない、コミュニケーションにかける時間がないなど、環境がコミュニケーションエラーの原因になっている場合もあります。

仕事が多すぎて時間がとれない、多忙で自分の仕事に精一杯という状況は、コミュニケーションに気を配るのが難しいでしょう。コミュニケーションエラーが起きやすくなり、ミスやトラブルによってさらに多忙を極めるおそれがあるので、仕事の分担やキャパシティの管理など、管理体制の改善が必要です。

コミュニケーションが重視されていない環境になっている

コミュニケーションに重視していない環境では、やり取りを後回しにした結果、コミュニケーションエラーが起きやすいです。

例えば、最低限のコミュニケーションで仕事ができればいいという環境だと、コミュニケーションは減っていくでしょう。「誰が言ってくれるだろう」「自分で気づくだろう」など、人任せになる可能性もあり、いずれ大きなミスやトラブルが起きるかもしれません。

心理的安全性が低い

心理的安全性とは、自分の考えや気持ちを気兼ねなく発言できる状態のことを言います。

これが確保されていないと、「こんなことも知らないのかと思われたくない」「仕事ができないと思われたくない」「話の邪魔にならないか不安」「否定的に捉えられたくない」などの不安によって、発言を控えたり、無難な発言しかしなくなったりします。

コミュニケーションをとる意思を削がれてしまうので、気づいたことを言わずに放置するなどによって、コミュニケーションエラーが起きてしまうでしょう。

コミュニケーションエラーを防ぐための対策

コミュニケーションエラーは、やり取りの仕方や環境づくりを見直すだけでも、未然に防ぐことができます。ここでは、コミュニケーションエラーを防ぐための5つの対策を解説します。

できるだけ具体的に説明する

コミュニケーションエラーは、曖昧な指示をしたときに起こりやすいです。「それ」「こんな感じ」など、つい使ってしまう表現は相手にとってはわかりにくくなります。

コミュニケーションをとるときは、指示語は避けて、具体的に説明しましょう。5W1Hを意識すると、指示の要素をしっかり伝えやすいです。

また、明確な指示の合言葉に「4C」があります。Clear（明確）、Correct（正確）、Complete（完結）、Concise（簡潔）の4つです。これらを意識するだけで、明確かつ正確で、簡潔に指示を伝えることができます。

メッセージを確認してから送る

チャットやメールなどを送るときは、送信する前に何度か確認しましょう。目で見て確認、復唱して確認の2段階を行えば、誤った内容を伝えずに済みます。

確認をしっかりしても上手く伝わらないこともあるので、末尾に「質問があれば気軽に連絡してくださいね」などの言葉を添えておくと、情報伝達のミスを防ぐことが可能です。

コミュニケーションが円滑に進む環境をつくる

コミュニケーションをする人それぞれの心構えだけではなく、円滑にやり取りができる環境づくりも大切です。生産性が重視される職場であっても、コミュニケーションや確認にかける時間は確保する、コミュニケーションを第一にするなど、企業やチームにコミュニケーションの習慣を根付かせましょう。

また、コミュニケーションエラーが起こりやすい名称や作業があるかもしれません。その場合は、名称を統一したり、作業をマニュアル化したりして、エラーが起こりにくい体制を作りましょう。

心理的安全性を高める

心理的安全性を高めることによって、コミュニケーション量の不足や思い込み、解釈の違いなどによるエラーを防ぐことができます。

心理的安全性が確保された環境では誰でも発言しやすく、コミュニケーションが活発になるのがメリットです。個人の気づきや考えなども話しやすいので、他の人が気づいていなかったエラーの原因を発見できる可能性があります。

心理的安全性を高めるためには、まず発言しやすい環境を体験することが大切です。ディスカッションや勉強会などで自由に発言できる機会をつくり、安心して話せることをわかってもらいましょう。

業務以外の場として、飲み会やランチ会などを開催して、リラックスした状態でメンバー同士のコミュニケーションを促すことも効果的です。

コミュニケーションエラーを改善に役立てる

対策をとっていても、つい急ぎで曖昧な指示をしてしまったり、確認を怠ったりしてしまうこともあるでしょう。

いきなりエラーをゼロにすることは難しいので、起きてしまったエラーを改善に役立てることが大切です。エラーを起こしてしまった本人が次に役立てるだけではなく、組織やチームで共有して未然にエラーを防げるようにしましょう。

まとめ

コミュニケーションエラーは、情報伝達不足や誤った情報の伝達によって起きてしまいます。ミスやトラブルの原因になり、それらをおそれてコミュニケーションに消極的になる場合もあるので、エラーが起こさないことが大切です。

コミュニケーションエラーを防ぐためには、具体的に説明する、円滑にやり取りできる環境をつくる、心理的安全性を高めるなどの対策を行いましょう。

まずは、自社で起きているコミュニケーションエラーの原因を見極め、組織やメンバーに合った対策で、エラーが起こりにくい職場を作ってくださいね。