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「アルムナイ」を解説!
即戦力を確保できるその仕組みとは?

人材採用や人材育成など人事の分野において、「アルムナイ」という言葉が注目されています。アルムナイと呼ばれる退職した元社員のことを指し、ネットワークやノウハウなどを人事に活用する考え方です。

この記事では、アルムナイが注目される背景やメリット、導入ポイント、事例まで詳しく解説します。制度を検討している企業や担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

アルムナイとは?

アルムナイとは、「alumnus」という単語の複数形で、以下のような定義があります。

「アルムナイ(アラムナイ)」(alumni)はalumnusの複数形で、本来は「卒業生、同窓生、校友」の意味。転じて、企業の離職者やOB・OGの集まり

参照:コトバンク

卒業生や同窓生という意味があり、ビジネスにおいては退職者や離職者という意味で使われています。アルムナイを活用した企業の取り組みには、アルムナイ採用、アルムナイ制度、アルムナイネットワークなどがあり、近年注目されているのです。

アルムナイが注目される背景

アルムナイという言葉に耳慣れていない人も多いかもしれませんが、日本でも近年注目されている取り組みです。なぜアルムナイが注目されているのか、主な背景を2つ見ていきましょう。

人材不足が深刻

業界での人材不足が深刻であると叫ばれてから、現在では慢性化しつつある傾向があります。多くの企業が慢性的に人材が足りない状況に陥っているだけではなく、働き方の多様化による離職などによる流出も多く、人材確保に苦労しているのが現状です。

厚生労働省職業安定局「人手不足の現状把握について」によると、2017年時点の産業別人手不足感では、運輸業・郵便業、サービス業、医療・福祉、宿泊業、飲食サービス業、建設業が特に人材不足に直面していることがわかります。新しい人材を獲得する競争も激しく、満足に人員を確保するのが難しくなっているのです。

そのような中で、一度職場を離れた人材も人的資源であると捉える企業が増え、アルムナイ制度の導入が広がっています。離職者の雇用はこれまでもありましたが、離職理由を問うこともありました。アルムナイ制度では離職理由に関わらず採用することもあり、より開かれた制度と言えるでしょう。

終身雇用の崩壊

入社した会社で定年まで働き続ける終身雇用は崩壊し、人材は流動的に動く時代になりつつあります。待遇が希望に合わなかったり、社風に馴染めなかったりするなど、様々な理由で人材は離職する可能性があり、企業は変化に対応しなくてはいけません。

とはいえ、ミスマッチを防ぐために採用に時間をかけたり、一人ひとりに手厚く指導したりすることにはコストがかかります。

そこで注目されたのがアルムナイ制度です。アルムナイは何らかの理由で離職したとはいっても、会社の理念や体制などを理解している人材と言えます。円満な離職であれば、再度雇用した際にミスマッチを防ぎ、育成コストを抑えることが可能です。

アルムナイ制度のメリット・特徴とは?

アルムナイ制度の導入を検討する上で、まずはメリットや特徴を理解することが大切です。導入によって自社にどのような影響を与えるかを知った上で、アルムナイ制度の導入を検討しましょう。

ここでは、5つのメリットを解説します。

  • 採用を活性化できる
  • 採用・育成コストを削減しやすい
  • さまざまな関係構築に生かせる
  • 情報を取り入れられる
  • ブランディングになる

採用を活性化できる

アルムナイ制度は、採用を活性化する効果を期待できます。人材不足や人材獲得競争、人材流出に見舞われる中で、以前自社で活躍していた人材は貴重な人的資源です。

規模の大きい企業ほどアルムナイは多く、新しい人材よりも採用に至る可能性が高いでしょう。新規人材の獲得と合わせてアルムナイ制度を導入し、即戦力の採用に力を入れるという方法も実現できます。

採用・育成コストを削減しやすい

アルムナイは、かつて自社で働いていた人材であり、会社の理念や事業内容などに最低限の理解があります。スキルアップやキャリアアップを目指した円満な離職であれば、再雇用によって習得したスキルや知識を自社に還元してくれるでしょう。離職している間の変化や新しい業務などを教育する必要はあるものの、ゼロから育成するよりも大幅にコストを削減できるのも魅力的です。

また、採用コストを削減する効果も期待できます。新規人材の募集は、転職サイトや広告、イベントへの出展などにコストがかかるため、予算が厳しい場合もあるでしょう。一方、アルムナイ採用では、離職者本人から問い合わせ、在籍社員からの推薦など、コストをかけずにつながるルートがあります。採用を検討する上でも、在籍時に培ったものや把握している情報が多いため、比較的スムーズに進めやすいのもメリットです。

さまざまな関係構築に生かせる

アルムナイは、新たな職場やそこでの取引先などとの関係性を持っている場合があります。再雇用後に関係性は有効に作用することが多く、新しい取引先とのパイプがつながったり、事業をより広範囲に広められたりするのがメリットです。

事業拡大や顧客開拓に行き詰まっている場合には、アルムナイのネットワークがきっかけのひとつになる可能性を秘めています。

情報を取り入れられる

様々な分野で活躍していたアルムナイは、業務上の知識や技術はもちろん、各業界の情報やアイディアを持っています。自社の社員では気づかなかった情報やアイディアを伝える存在として、有力な情報網になるのがアルムナイの特徴です。

アンバサダーといった関係を築くことによって、企業にとって有益な情報を取り入れることができます。

ブランディングになる

アルムナイ制度を積極的に活用している企業というイメージは、ブランディングにもつながります。一度退職した人材が出戻りできることは、また働きたいと思える会社というブランドイメージを創出することが可能です。

人材採用において、働きやすさややりがいなどをアピールでき、新規人材を獲得しやすくなるでしょう。

外から見るイメージはもちろん、在籍している社員にも良い影響を与えます。離職した後に戻ってきたい会社で働けていることは、社員のエンゲージメント向上に効果的です。離職率の減少、定着率の増加などを期待できるでしょう。

デメリットにも注意が必要

アルムナイ制度には、メリットだけではなく、デメリットもあります。例えば、アルムナイ制度を積極的に活用することによって、在籍している社員はいつでも復帰できると思われるリスクがあり、業務へのモチベーションが低下するかもしれません。そうならないためには、再雇用の条件や制度の概要などをしっかり共有することが大切です。

アルムナイを外部の人材として活用する際には、情報漏洩に気を付けなければいけません。機密情報が漏れる可能性もあるので、リスク管理に力を入れる必要があります。

また、アルムナイの活用の仕方によっては、コストが発生します。採用やアンバサダー起用にあたっては報酬、イベント開催費用などがかかるので、予算を確保しなくてはいけません。とはいえ、採用・育成コストの削減やブランディングなどによるプラスを考慮すると、それほど大きなコストとならないケースも多いです。

アルムナイ制度の導入ポイント

アルムナイ制度は、ただ導入するだけでは上手く機能しません。ここでは、制度導入におけるポイントを3つ解説します。導入にあたって取り組むべき事柄を整理していきましょう。

  • つながりたい会社であり続ける必要がある
  • カルチャーや多様性を受け入れる姿勢を持つ
  • 円満退職を実現する

つながりたい会社であり続ける必要がある

アルムナイとして再度会社に貢献してもらうためには、またつながりたい会社であり続けなければいけません。一度企業を離れ、外から俯瞰したときに、理念や事業内容、働き方などに問題があれば、アルムナイとして戻ってきてもらうことは難しいです。

社会の変化に対応して働き方や体制を改善したり、常に新しいことに挑戦したりする会社であれば、また関わりたいと思ってもらえるでしょう。

カルチャーや多様性を受け入れる姿勢を持つ

一度離職したアルムナイは、様々な環境のカルチャーを経験しているはずです。自社と異なるカルチャーを持っている場合に、カルチャーを受け入れる姿勢が必要になります。新しい風に寛容であれば、良い方向に社風がアップグレードされていくでしょう。

アルムナイを活用する際には、多様性を認めることが大切です。様々な価値観を受け入れるほか、業務委託契約を結んだり、オフィス勤務にこだわらずテレワークを採用したりするなど、柔軟な体制でアルムナイを迎えましょう。

円満退職を実現する

アルムナイ制度の前提となるのが、円満退職の実現です。不満を抱えて離職した人材は、当然ながら快く戻ってくる可能性は高くありません。

円満退職を叶えるためには、健全に人材が流動化するように、個人のキャリアを優先したり、起業をサポートしたりすることが大切です。これはイグジットマネジメントと呼ばれるもので、雇用の出口に関してしっかりサポートすることが円満退職につながります。

アルムナイ制度を活用している事例

アルムナイ制度を実践している企業は、日本でも増えてきています。自社に導入を検討する上で、他社の事例は参考になる貴重な情報です。6つの事例を参考にして、自社に生かせる部分を探してみましょう。

  • 株式会社電通
  • アクセンチュア株式会社
  • 住友商事株式会社
  • サイボウズ株式会社
  • 株式会社スープストックトーキョー

株式会社電通

株式会社電通では、2019年からアルムナイネットワークづくりに取り組んでいます。クラウドシステムを活用して、電通を卒業した人材同士はもちろん、現役社員ともつながることができるコミュニティを形成しました。

それまでにも非公式の元電通社員同士のコミュニティはありましたが、アルムナイからの要望を受けて公式化されています。アルムナイ向けの情報発信やメッセージのやり取りなどが主な取り組み内容です。

≫ アルムナビ「目指すは「終身信頼」の関係。元電通社員の声から実現した“電通公式”のアルムナイネットワークが生み出す価値とは」

アクセンチュア株式会社

アクセンチュア株式会社では、アクセンチュア・アルムナイ・ネットワークを形成しています。30万人以上が在籍し、78ヵ国で活動プログラムを実施しており、世界中でつながっているのが特徴です。

≫ アクセンチュア株式会社「アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク」

住友商事株式会社

住友商事株式会社では、「SC Alumni Network」というアルムナイネットワークを2019年に設立しました。現役職員と社外のアルムナイが交流することによって、ネットワークの融合を図り、ビジネスチャンスの創出を目指しています。年1回の総会や定期的な交流イベントを開催しています。

≫ 住友商事株式会社「「SC Alumni Network」の設立および第一回総会の実施について」

サイボウズ株式会社

サイボウズでは、アルムナイに関わる取り組みとして、育自分休暇制度を設けています。この制度は、自分を成長させるために退職した場合、最長6年間は復帰できる制度です。

一度サイボウズを離れても、一定期間復職できるため、社員にとっては安心感があります。キャリアや人生を考えてくれていると伝わり、再雇用の確率も高くなりやすいでしょう。アルムナイ制度の中でも、ユニークかつ人材を想った制度と言えます。

≫ サイボウズ「「なんで会社員に戻ったの?」「コスパがいいからです」──フリーランスから週4会社員×アフリカから出戻り社員、満足ではなく納得しながら働くには」

株式会社スープストックトーキョー

食べるスープの専門店を運営する、株式会社スープストックトーキョーでは、卒業した社員やパートナーにバーチャル社員証を発行しています。バーチャル社員証があれば、10%割引や情報発信、社内イベントへの参加など、様々な特典を受けられます。

同窓会のようにイベントを開催して第三者の意見を取り入れたり、友達を誘って来店してもらいファンを増やしたりするなど、退職した社員やパートナーの周りも巻き込んでいるのが特徴です。

≫ HR Lab「アルムナイ(卒業生)とのつながりを大切に。スープストックトーキョーの「バーチャル社員証」とは?」

まとめ

アルムナイ制度は、人材採用・育成コストの削減や様々なシーンでの関係構築、情報網の形成などに効果的な取り組みです。

導入にあたっては、戻ってきたい会社であり続けること、円満退職の実現、受け入れ体制の整備などが必要になります。既に導入している企業の事例も参考にして、自社へのアルムナイ制度導入を検討してみましょう。

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