孤独な現場スタッフに、拠点を超え コミュニティと『つながっている感』を | 導入事例 | Talknote

孤独な現場スタッフに、拠点を超え コミュニティと『つながっている感』を

WyL株式会社
取締役落合 実

2016年に都内の訪問看護ステーションから独立し、現在ウィル訪問看護ステーションを全国7カ所で運営。社名は「あなたの価値とともに、人生をともに」を意味する“With your Life, Whatever you Like”からきており、「全ての人に家に帰る選択肢を」を理念に掲げ、家で暮らす・暮らしたい人々へ24時間365日看護を提供している。

課題

  • 訪問看護ならではの孤独感や悩みを解消したかった
  • フォーマルな情報はカルテに載るが、それ以外の情報を記録する場所がなかった

効果

  • 訪問現場での症例を他の看護師たちと共有することで、価値基準の統一を図れた
  • 少人数の事務所でも、他拠点の仲間と『つながっている感』を持てるようになった
  • 研究機関と連携ができ、研究に興味のあるスタッフをサポートできる体制ができた

訪問看護とは孤独な仕事であり、
それゆえの悩みも多かった

導入前の課題

看護というと、いわゆる病院内の看護と、各家庭で行う在宅看護の大きく2種類あります。これらは同じ看護といっても、フィールドが違うんです。病院でも在宅でも、一人で利用者のベッドサイドへ行っているはずなのに、病院だとチームで看護している感覚があります。一方で、訪問看護は孤独を感じやすいのです。また、病院だと何かあったら「ちょっともう1回行ってくる」というのができますが、訪問だと「また来週」となってしまうのです。

なにか困ったことがあっても、病院内だと周りにいる人に相談したり、医師の指示を受けたりすることができますが、訪問看護ではそういった頼れるものがありません。訪問看護はそういった意味で孤独。だからこそ、一人前の看護師しか訪問看護ができないという誤った認識があったのです。そこで、病院での看護との差を補完できる方法がないか探していました。

看護において、病院と訪問とで大きく違うところが他にもあります。病院の中では、患者さんが優先とはいえ、集団を相手にするため、ある程度の規則が決められています。例えば、起床と消灯の時間が決まっていることや、入院期間がいつまでと決まっていること、患者には色々な希望があったとしても「当院では/保険ではここまでです」と言われてしまうなど、イニシアチブは病院側にもあります。一方、訪問看護となると、その目的は自宅での療養となり、主体は利用者本人にあるため、より複雑で個別性のある看護の実践を求められます。

病院の看護師としては治療が滞りなく行われれば問題ないのですが、訪問看護師は、利用者本人が疾患を抱えながらも日常生活を満足に過ごすための支援が目的になってきます。また、看護の対象も利用者だけでなくそのご家族など広範囲になります。そのため、葛藤や揺らぎが発生するのです。例えば、家にいたい患者さんと施設に入って欲しいと思っているご家族がいらした場合、ご本人のなかで、家にいたいと言いつつも本当は家族のためを思って施設に入った方がいいのかなどといった悩みが出てきます。

看護師は、そういった利用者の意思決定をする人ではありませんが、その悩みに付き合いながら『意思決定を支援する』存在になります。とはいえ、看護に入っていても、コンシェルジュみたいにずっと付き添っているわけではありません。複数人の看護師が介入するので身体情報以外にも利用者やご家族の価値観につながる会話など、些細な情報も共有しないといけないです。しかし、こういった情報はカルテに載ってくる内容ではないんです。そういった意味で、カルテには記録されない、経緯とか経過、気づきを共有できるツールとして、社内SNSの利用を検討していました。

当初は無料・有料含めて、いくつかのツールを試してみましたが、使いづらかったり、ピンとこなかったりという具合でした。ですが、TalknoteはLINEに近い触り心地で使いやすく、UIに惹かれて導入に至りました。スタンプでもコミュニケーションできる部分は非常に嬉しいポイントです。

導入事例 WyL株式会社 画像

インフォーマルでいい
オンライン雑談で『つながっている感』を大事に

Talknoteの利用方法

Talknoteは、インフォーマルなコミュニケーションに使っています。一方、カルテは診療報酬につながるので、フォーマルな情報を残しています。つまり、カルテに載ってこない情報をやり取りするためにTalknoteを使っています。膝をつき合わせてやるような雑談をオンライン化したようなイメージです。利用者の情報を文章や写真で送り、それを見てお互いに話をしています。

臨床の現場って、悩みが多いんです。「私はこういう風にアセスメントしたから、医師にこういう報告をした」とカルテに書いてあっても、臨床現場では対立がすごく起こります。利用者の希望はAだけど、組織全体の効率など考えるとBで、社会のためだとCといった感です。大事なことは、現場での判断をどれにするかではなく、それを決めるプロセスを丁寧にすることです。そのために、投稿を通してオンラインで会話ができるTalknoteが役に立っています。

グループの使い方は、利用者ごとのグループを作っているほかに、相談支援やセミナー用、雑談用のグループなどあります。ここで言う雑談の内容は、家庭菜園の話とか、本当の雑談です(笑)。

日報も、報告用というより所感の共有を目的に使っています。その日感じた悲しいことは悲しいと言えることが重要だし、嬉しかったことは嬉しいと。それを一般化させることで、マニュアルに昇華できると思っています。ですから、スタッフに日報を書いてもらうにも、強制するのではなくて、書きたいときに書けばいいというスタンスでやっています。

何を投稿しても受け入れてもらえるという、心理的安全性が組織の土壌にあることで、訪問で廻っているスタッフの発言の障壁を下げられるのではないかと思っています。病院では、アクシデントやインシデント、クレームなどが起きたらレポートを書かなければならないはずなのに、なぜか上がってこないということがよくあります。これは、書くのを忘れているというよりも、書けない心理的な障壁があると思うのです。

訪問看護は、事業所単位では5人から10人ぐらいの組織が多い。ただでさえ孤独に廻っているのにさらにコミュニケーションの機会が少ないので、Talknoteがより必要になってきます。これはみんなの安心や安全のためでもあると思います。みんながみんな同じ会話をしている必要はなくて、見ているだけでもいい。とりあえず、『つながっている感』がとても大事だと思います。

導入事例 WyL株式会社 画像

日本中の従事者がTalknoteでつながることで、
医療・看護のレベルを上げていきたい

将来はTalknoteを通じて、全国各地の医療従事者がさらに大きなネットワークでつながることができるようにしていきたいです。すると、地方や小さなところでも、医療や看護に関して教育機会を持てたりします。それこそ田舎の数十人のチームでも、オンラインで日本中とつながっていたら、いろいろな専門家の方と接点を持つことができるのです。

遠方とつながれることで、地方で働きたいという若者が就職しやすくもなるはずで、WyL株式会社ではすでにそういう拡がり方をしはじめています。Talknoteを使ってWyLのコミュニティに入っている訪問看護ステーションなら、その事務所にいるスタッフが5人や10人だったとしても、別拠点の100人、200人、300人と一緒に働いているような思いになれます。これによって、多くの仲間と働いているという、安心感につながるのです。

この取り組みに共感してくれる人が増えてきて、看護大学の教員にもコミュニティに入ってもらえました。僕たち専門職の仕事は臨床ですが、大事なものの一つに研究があります。ですが、訪問看護ステーションは研究に取り組むことが難しい事業所も多いのです。スタッフが数人しかいないところでは、その時間的余裕だけでなく、アドバイスや指導をしてくれる人がいないことも多いです。それが今では、Talknoteを介して大学の教員とつながり、研究に興味のある方をサポートする体制ができています。

Talknoteは取り入れるだけで業績につながるものではないので、なかなか導入に踏み出せない会社もあると思います。でも、ここで形成されたコミュニティに参加してお互いに情報を共有できたり、セミナー動画のアーカイブを共有して後で見られたりなど、コミュニケーションツールとしてだけでなく、コンサルや研修教育の費用も含まれると考えると、安いものだと思うんです。

研究者や教員など、臨床とつながりたい人もたくさんいると思っていて、そういう人が少しずつWyLのTalknoteのオンラインコミュニティに入ってもらえると、本当にいい有機的なコミュニティができ、価値が高まると思います。今後もTalknoteを活用して、オンラインコミュニティを拡大することで、訪問看護師が孤独に感じず、安心安全に看護に取り組める環境を構築していきたいと思っています。

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