ペーパーレス化とは? メリットや導入方法・成功事例を紹介
こんにちは。社内コミュニケーションツール「Talknote」Magazineチームです。
近年、テレワークの導入やDX(デジタルトランスフォーメーション)などによって、業務に使用する書類や請求書などのペーパーレス化は、より注目されています。
2022年の電子帳簿保存法の改正では、帳簿書類の電子化に関する要件用件が変更されたため、以前よりもペーパーレス化を推進しようと考える企業の担当者は増加しているのではないでしょうか。
しかし、電子書類の導入が進められる中で、「そもそもペーパーレス化とは?」「ペーパーレス化のメリットは?」といった疑問を抱いている方も多いでしょう。本記事ではこのような疑問を抱く方に向け、以下を解説していきます。
- ペーパーレス化の意味
- ペーパーレス化を導入するメリット・デメリット
- ペーパーレス化の効果的な導入方法や導入ポイント
自社の書類をペーパーレス化したい方や、積極的にペーパーレス化を進めている企業の方は、ぜひ参考にしてください。
ペーパーレス化とは?
ペーパーレスとは、自社の書類や業務資料を電子化し、データとして保存することです。ビジネスの現場では、「従来は紙媒体で扱われていた書類や文書をデータ化することで、業務の効率化やコストの削減を図ること」を言います。
ペーパーレス化を進める方法は、主に以下の2種類の方法があります。
- スキャナーを使用して既存の紙書類をPDFなどの電子文書ファイルに変換する
- 最初から書類を電子データで作成する
書類を最初から電子データで作成すれば、紙へ印刷するプロセスが不要になり、パソコンやタブレットで閲覧して活用可能です。書類を保管庫から取り出す必要がなくなり、印刷や印刷用紙にかかるコストも削減できます。
書類を保管するスペースを用意しなくて良いので、オフィスの空間を従来よりも有効活用しやすくなる点もメリットです。
ペーパーレス化が必要とされている背景
現在はさまざまな企業でペーパーレス化が推進されており、総務省が2020年に実施した調査結果によれば、全体の約60%の企業が「社内業務のペーパーレス化」を実行しています。
出典:「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」|総務省
約半数以上の企業がペーパーレス化を推進する背景には、以下の3つの要因があります。
- 社内の業務フローの改善
- 法律への対応
- 地球環境保全への取り組み
社内で扱っている文書を電子化すれば、業務遂行のために必要な書類を保管庫から引っ張り出す手間が省け、従業員の業務にかかる負担を削減可能です。書類を印刷する際にかかる印刷用紙やインクなどのコストも抑制でき、オフィスの省スペース化もできます。
今まで紙媒体で扱っていた書類を電子化することで、テレワークの導入やDXなど、多様な働き方の推進やビジネスモデルの抜本的な改善にもつなげられるでしょう。
また、2022年1月に改正された後の電子帳簿保存法やe-文書法などに対応する観点からも、ペーパーレス化は推進されています。改正後の電子帳簿保存法では、「電子データで受領した帳票書類」を電子データのまま保存しなければならず、そのための仕組みの整備は必須です。
環境保全の観点では、書類に使用する紙の生産に必要な森林の伐採と、紙の生産過程での二酸化炭素の排出、森林の減少などの地球温暖化への影響を抑えるといった意味があります。
ペーパーレス化にする5つのメリット
社内の書類や文書をペーパーレス化することには、以下の5つのメリットがあります。
- コストを削減できる
- 業務効率化が期待できる
- セキュリティを強化できる
- 多様な働き方に対応できる
- BCP(事業継続計画)対策をすることができる
以下、ペーパーレス化を進めることのメリットについて確認しましょう。
1.コストを削減できる
まず、事業を進めるためのコストを削減できる点がメリットです。
書類を紙に印刷する際のインク代や用紙代の削減はもちろん、プリンターの台数を減らせるので、機器の購入やリース代、メンテナンス費を減らせます。紙書類を取引先の企業や顧客へ郵送する際の配送費や、処分する際の廃棄費などのコストも削減できます。
ペーパーレス化を進めると、大量の書類を保管するための大型キャビネットや倉庫なども使わなくて良くなるので、保管費用や保管スペースも削減可能です。
また、印刷や郵送に必要な時間も削減できるので、今まで書類の印刷に充てていた時間をコア業務に割くこともできます。
各種コストを大幅に削減するために、業務書類や資料のペーパーレス化は効果的な手段なのです。
2.業務効率化が期待できる
次に、業務効率化が期待できるというメリットがあります。電子化した文書や電子文書は、クラウド上のストレージへ保存することで検索がしやすくなるからです。
ファイル名やファイル内の文字列を使用して検索できるので、業務上必要な情報をすぐに取り出せ、業務効率化や生産性の向上に大きく寄与します。情報共有時も文書ファイルやクラウドストレージのURLをメールやチャットで送るだけで済むので、手間がかかりません。
書類を閲覧する際も、パソコンやタブレットといった各種デバイスがあれば良いので、机の上に書類を広げてスペースを圧迫する心配もありません。
専用システムを導入すれば、オンラインで社内決裁を完結させたり、さまざまな契約をペーパーレスで行ったりなど、紙媒体の書類を使用していた時よりも業務を迅速に進められます。
3.セキュリティを強化できる
3つ目のメリットは、書類に関するセキュリティを強化できることです。
電子書類や電子化した書類にはアクセス制限やパスワードによる保護をかけられるので、万が一紛失した場合でも情報が第三者によって盗み見られるリスクを抑制できます。
アクセスログや閲覧ログを解析すれば、誰がいつ書類を閲覧したり編集したりしたかを確認できるので、不正な持ち出しや文書の改ざんに対するリスクコントロールが可能です。
紙媒体では起こり得る物理的な劣化の心配もないので、情報を紛失するリスクも抑えられます。
文書の削除制限も各種書類や資料を対象にかけられるので、意図的に消去しない限りは、誤操作で書類を紛失するリスクは低いと言えるでしょう。
4.多様な働き方に対応できる
書類のペーパーレス化は、多様な働き方に対応するために役立てられます。電子データはオンライン上で保存したりやり取りしたりできるので、テレワークの導入やオフィス勤務と在宅勤務を組み合わせた、ハイブリッドワークの導入につなげやすくなります。
クラウド上に保存したファイルは、メールや各種情報共有ツールを使用し、従業員同士で内容の共有が可能です。例えば、組織内の部署ごとに保管されていた文書を全社規模で共有することもでき、社内の作業ノウハウや知識の共有を促進できます。
情報共有の範囲が拡大すれば、従来では思いつかなかったアイデアが出てくる土壌が生まれ、イノベーションの創出につながる可能性があります。
5.BCP(事業継続計画)対策をすることができる
最後に挙げられるメリットは、BCP(事業継続計画)対策ができることです。
地震や火災などが発生した場合は、紙媒体の書類を焼失したり破損したりする恐れがあります。企業が持つ情報には、会社の機密情報やクライアント情報などが含まれるので、それらを失ってしまえば事業の再建や継続にダメージが及びます。
しかし、電子データであれば書類の内容を複製できるので、定期的にバックアップをとれば事業の復旧も速やかに進められるでしょう。
ペーパーレス化にする3つのデメリット
書類や文書、資料のペーパーレス化には数多くのメリットが存在します。しかし、一方では決して無視できない以下の3つのデメリットもあります。
- 導入コストや維持費がかかる
- システム障害や回線速度の影響を受ける可能性がある
- 従業員のITリテラシー教育が必要な場合がある
以下、ペーパーレス化に関する上記のデメリット3つについて、詳しく解説していきます。
1.導入コストや維持費がかかる
まず挙げられるデメリットは、導入コストや維持費が必要という点です。
既存の書類を電子化するためには、スキャナーや各種ツールなどのハードウェアとソフトウェアが必要です。電子書類を閲覧するためのパソコンやタブレット端末などの導入、それらにインストールするセキュリティソフトの購入などにも費用がかかります。
また、業務の利便性を追求するなら、電子書類を保管したり書類にアクセスしたりするためのクラウドサービスも契約する必要があります。各種デバイスやサービスの導入・契約費用はペーパーレス化の際には決して無視できないコストです。
しかし一度導入してしまえば、業務上で書類を作成する際のコストは大きく抑えられるので、この点についてはメリットのほうが大きいと言えるでしょう。
2.システム障害や回線速度の影響を受ける可能性がある
次に、システム障害やネットワーク回線速度遅延の影響を受ける可能性がある点もデメリットです。
クラウド上に電子書類を保存する際にネット環境やクラウドサーバーに障害が発生すると、書類へのアクセスや書類の保存ができなくなるリスクがあります。また、社内で使用しているWi-Fiなどの回線速度が低下すると、アクセスや閲覧に時間がかかることがあります。
サーバーやデバイスが故障した場合は、今まで保存していたデータを一気に失ってしまう危険性があるので、システム障害が発生するケースに備えて日頃から書類のバックアップを取っておくことが重要です。
3.従業員のITリテラシー教育が必要な場合がある
最後に挙げられるデメリットは、従業員のITリテラシー教育が必要な場合、社内全体でセミナーや講習会を実施する必要がある点です。
電子書類をパソコンやタブレットなどで閲覧することは、ITに慣れていない社員にとって負担が大きくなります。利用者のセキュリティ意識が乏しかったり管理や理解が徹底できていなかったりすれば、ペーパーレス化の恩恵をあまり受けられなくなるでしょう。
社内にいるすべての従業員が最低限のITリテラシーを備えられるように、定期的な講習会を実施しましょう。その結果、全社規模でのセキュリティ意識の向上や、誰もがペーパーレス化の利便性を享受できる環境が構築できれば、ペーパーレス化に成功したと言えます。
従業員のITリテラシー向上によって初めて、書類のペーパーレス化は、業務負担の軽減策として効果を発揮します。
ペーパーレス化を導入する3つの方法
ペーパーレス化を実現するためには、以下の3つの方法を実践しましょう。
- 書類は電子ファイルで保存する
- 業務プロセスをデジタル化する
- オンライン会議やビジネスチャットツールを導入する
ペーパーレス化を導入するために必要な3つの方法について、詳しく確認しましょう。
1.書類は電子ファイルで保存する
業務に使用する書類は、電子ファイルで作成・保存しましょう。
既存の書類や資料はPDF化し、文書管理システムやオンラインストレージを活用して、新規に作成した電子データ書類と併せて管理します。いつでも場所に関わらずパソコンやタブレットからの閲覧が可能になるだけでなく、印刷コストの削減ができます。
書類を電子ファイルで作成することで、後述する業務プロセスのデジタル化や、オンライン会議システムやビジネスチャットツールの導入なども円滑に進められるでしょう。
2.業務プロセスをデジタル化する
続いて、業務プロセスをデジタル化しましょう。例えば、ワークフローシステムや勤怠管理システム、電子契約システムを導入することで必要な書類を紙で作成せずに済みます。
業務プロセスのデジタル化はテレワークやハイブリッドワークの導入を促し、オフィス勤務においても業務フローの効率化や時間削減などの効果をもたらします。
ただし、急進的なデジタルツールの導入は社内に混乱を招くので、従業員への通達やITリテラシー教育の場の設置などを踏まえて少しずつ進めていきましょう。
3.オンライン会議やビジネスチャットツールを導入する
オンライン会議システムやビジネスチャットツールの導入も、社内書類のペーパーレス化につながります。
オンライン会議では、電子資料を画面共有したりデータの共有をしたりすることで、会議を円滑に進めやすくなります。
従業員同士の普段の連絡にチャットツールを導入すれば、情報共有のための書類を必然的に電子データで作成することになるので、ペーパーレス化の促進が可能です。ビジネスチャットツールにはタスク管理やデータ管理機能があり、業務効率化に役立てられます。
ペーパーレス化の導入成功事例3選
ペーパーレス化の導入に成功し、コスト削減と従業員の負担削減に成功した企業は複数存在します。本記事では、以下の3社にスポットを当て、具体的な取り組み内容を紹介します。
1.ぺんてる株式会社
ぺんてる株式会社は、日本を代表する文具メーカーであり、業務効率化のためにiPadを活用したペーパーレス会議システムを導入しました。
ペーパーレス会議システムの導入により、工場の役員や監査役などの本社にいない社員が資料を閲覧できるようになり、半日以上かかっていた役員会議を1.5時間に短縮できました。
ペーパーレス会議システムの導入後は、会議時間を1.5時間にするというルールを設定し、徹底しています。会議資料を印刷する必要がなくなったので、担当者の負担も軽減されました。
2.コニカミノルタビズコム株式会社
コニカミノルタビズコム株式会社は、ITシステムを駆使して企業の情報管理や運用をサポートする企業です。
自分達の働き方を改善し、他社への提案につなげるために「定型的な業務」や「社員同士の連携不足」を解消すべく、ペーパーレス化とフリーアドレス化を実施しました。結果、紙文書の電子化によるファイルキャビネットのスペース削減に成功しています。
フリーアドレスを用いたことにより、社員同士の創造性を伴うコミュニケーションを図ることにも成功しました。ペーパーレス化で生み出されたスペースを会議に使用し、従業員同士の活発なコミュニケーションを促し、新規アイデアの創出につなげています。
3.伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社は、DXを導入した組織作りを見据えてペーパーレス化を実施し、オフィス移転時に5,000万枚あった紙の書類を閲覧頻度や緊急性ごとに仕分け、75%を廃棄したり倉庫へ移動したりしました。
また、書類の電子化を外注することで半月ほどで30万枚を電子化し、電子書類を検索しやすい仕組みを導入して電子化のメリットを享受できる体制を構築しました。結果、オフィス移転までの短期間でペーパーレス化を成功させています。
ペーパーレス化に役立つツールなら「Talknote」
ペーパーレス化を推し進める際には、電子化した書類による従業員同士の情報共有を、円滑に進められるツールが必要です。そのためには、社内のコミュニケーションツールとして、簡単に使用できるビジネスチャットツールの導入をおすすめします。
ビジネスチャットツールは、部署の垣根を超えた情報共有や、従業員同士のリアルタイムの相互連絡に使用できる点が強みです。ビジネスチャットツールを導入すれば、チャット上で情報を共有しやすい電子書類への移行も進めやすくなるでしょう。
数多く存在するビジネスチャットツールの中でも、特にTalknoteは、業務の経緯や背景などを蓄積して共有できる点が特徴のコミュニケーションツールです。業務ノウハウやナレッジの蓄積にも秀でていて、セキュリティ性の高さも特徴です。
従業員のタスク管理にも使用できるので、ペーパーレス化とそれによる従業員の業務負担軽減をサポートするツールとして、導入を検討してはいかがでしょうか。
まとめ
業務書類のペーパーレス化は、紙書類の印刷やファイリングを省くことによる社員の業務負担の軽減や、検索や閲覧がしやすいことなどによる業務効率化につながります。
テレワークやハイブリッドワークなどの多様な働き方への対応や、書類紛失時の遠隔消去などによるセキュリティ性の担保など、ペーパーレス化には数多くのメリットがあります。
一方で、急速なペーパーレス化は従業員に混乱を招きやすく、書類管理システムに障害が発生したり回線が遅延したりした場合はアクセスが難しくなるといった問題も無視できません。
上記の問題に対応するには、全社規模でITリテラシーを向上させ、常日頃から書類のバックアップを取ることが必要です。
ペーパーレス化の実現には、従業員同士の相互連絡にビジネスチャットツールを導入し、電子書類を共有する利便性を感じてもらうことが効果的です。Talknoteは業務ノウハウの蓄積やセキュリティの高さに秀でたツールなので、ぜひ導入をご検討ください。
従業員の負担を減らし、さまざまな働き方に対応できる組織作りをスムーズに進めるために、ペーパーレス化を前向きに進めていきましょう。