情報共有を正しく理解し、 組織活性化に役立てよう
この記事では、情報共有を徹底する目的やメリットに加えて、上手くできていない原因やそれに伴う問題まで詳しく解説します。情報共有に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
情報共有の意味と目的
情報共有とは、ある情報に対して、関わっている人全員が共有できている状態のことを言います。一部の社員だけに情報を伝え、伝わっていない社員がいる状態では情報共有ができているとは言えません。
部署やチーム単位での情報共有だけではなく、企業全体やパートナー企業など広く情報共有を行うことも昨今求められています。
情報共有の目的は、情報を知っているだけにとどまらず、全員が情報を活用できる状態を目指すことです。情報の活用が従業員それぞれの知識やスキルに依存しないことで、より業務の効率化や生産性のアップを期待できます。
システムやツールが発達する近年では、情報を蓄積できている企業は多いでしょう。しかし、蓄積された情報は活用できなければ意味を持たないため、業務に生かすことはできません。データの活用は多くの企業で注目されているので、情報の使い方次第で競争に負けてしまうこともあるでしょう。充実した情報を活用するために、情報共有により一層力を入れる必要があります。
組織で情報共有するメリット
組織で情報共有するメリットは、主に4つです。
- 属人化を防ぐ
- 業務を効率化できる
- ナレッジが蓄積される
- 信頼関係を構築できる
それぞれの持つ情報が異なる状態と情報が共有されている状態では、仕事や人間関係に大きな差があります。メリットを理解し、自社での徹底を始めましょう。
属人化を防ぐ
担当者や特定の人材にしか情報が伝わっていない状態だと、属人化しやすい傾向があります。情報を知っている人が休みの際には、業務が上手く進まず、トラブルが起きると対応に手間取ってしまうでしょう。
組織で情報共有がしっかり行われていると、誰かが欠けても他のメンバーで柔軟に対応しやすくなります。トラブルが起きた場合でも、解決に必要な情報が組織に共有されているため、すばやく対処できるのがメリットです。
業務を効率化できる
従業員それぞれで持ち合わせている情報に差が生まれると、情報を持っている人に対する確認が必要になります。確認を行う手間がかかるだけではなく、返答を待つ間業務が滞ってしまうのが難点です。
その点、組織全体で情報を把握できていれば、無駄な確認作業をする必要がなく、担当者不在で業務がストップすることもなくなります。業務に集中しやすくなり、効率化や生産性アップを期待できるでしょう。
ナレッジ(知識)が蓄積される
携わっている業務や仕事で出会う人、プライベートで勉強していることなどによって、従業員のナレッジは異なります。自分ひとりで完結するのではなく、組織に情報を共有することで、有益なナレッジを蓄積することが可能です。
営業先で先方から得た業界の動きを共有したり、参加したセミナーの内容をレポートにまとめたりするなどによって、組織全体のスキルが高まり、成果にもつながっていきます。
信頼関係を構築できる
ある情報に対して、知っている人と知らない人がいる状態は望ましくありません。知らない人は、情報を伝える側や知っている人に対して不満を感じやすく、人間関係にヒビが入るかもしれません。情報共有できていないことでミスやトラブルが起きる可能性もあります。
情報共有によって、全員がフラットに情報を把握できていれば、情報のズレによるすれ違いを防ぐことが可能です。コミュニケーションも取りやすくなり、職場の人間関係や信頼関係が改善されるでしょう。
情報共有不足によって生じる問題
情報共有ができていない状態だと、組織に様々な問題が生じる可能性があります。モチベーション低下や成果のダウンなどにつながるので、適切な対処が必要です。
情報共有不足で生じやすい3つの問題を押さえていきましょう。
- 生産性が低下する
- 従業員それぞれでノウハウやスキルが偏る
- 信頼関係が築きにくくなる
生産性が低下する
従業員が持っている情報に差が出てしまうと、業務の効率や生産性にも影響が現れます。ある業務につまずきやすいポイントがある場合に、解決策を知っている社員とそうではない社員が存在すると、携わる社員によって進捗に差が出るでしょう。
情報を多く持っている社員に業務が割り振られ、負担が大きくなって業務の質が下がるケースもあります。どの社員が取り組んでも同程度のクオリティを期待できたり、誰に頼んでも質を維持できたりするためには、情報を全体に共有することが重要です。
従業員のノウハウやスキルに偏りが出る
情報共有が上手くいっていないと、情報を取り入れる機会の多い従業員にノウハウやスキルが偏る場合があります。
ノウハウやスキルが全体に共有されず、上司とコミュニケーションをとる場面が多い従業員にばかり有益な情報が伝わっている状態は望ましくありません。その社員は質の高い仕事ができても、他の社員が同じように実践できなければ、組織としての力が弱くなります。
また、ノウハウやスキルを持っている社員が周りに伝えるとは限りません。自分だけの能力にしたい人、全体に伝わっていると思い込んでいる人などがいれば、自然に共有されていくことは期待しにくいです
信頼関係が築きにくくなる
情報の差は、信頼関係にも悪影響を及ぼす可能性が高いです。チームの中で自分だけが連絡を受けていなかった、自分だけ必要な情報を知らなかったといった状況が続くと、情報を共有する側に対して不信感を持ちます。
情報をしっかり受け取っている社員に対して「なぜ教えてくれなかったのか」と不満を持つこともあり、チーム全体の信頼関係が悪くなってしまうでしょう。情報を伝達してくれないことでモチベーションが下がる以外にも、最悪の場合離職につながる可能性もあります。
情報共有がうまくできない原因
情報共有が大切であることは、個人単位でも会社単位でも理解している場合がほとんどです。にも関わらず、情報共有ができていないのはなぜなのでしょうか。
ここでは、情報共有が上手くできない4つの原因を解説します。
- 情報共有を重視していない
- 情報共有が上手くいっているようでそうではない
- 情報を発信する側が明確ではない
- 環境が整っていない
情報共有を重視していない
そもそも情報共有を重要視していなかったり、必要性を理解していなかったりすると、情報共有は上手く機能していないでしょう。
特定の社員にだけ伝えれば良い、全体に共有するのは面倒、情報を共有することで自分の利益が下がるのは嫌だといった思いがあると、情報共有は滞ってしまいます。
組織が情報共有を重視していないこともあれば、リーダーやマネージャーなど情報を伝える側の人材の意識が不足しているケースも多いです。組織全体で情報共有の大切さを学ぶ機会をつくったり、マネジメント層への教育を行ったりして、情報共有に対する意識を変革する必要があります。
情報共有が上手くいっているようでそうではない
情報共有ができていると思っているものの、実際は上手くいっていない場合もあります。ミーティングで社員に説明したが理解できていない社員がいる、チャットでファイルを共有したが社員によって捉え方が異なるといった状態は、情報共有ができているとは言えません。
情報共有で大切なことは、情報に対して誰でも同じように理解できることです。共有された情報を活用して、同じクオリティで業務に反映できる状態を目指す必要があります。そのためには、伝えっぱなしにならず理解できているかフォローしたり、誰でも見やすいように情報を整理したりする取り組みが重要です。
情報を発信する側が明確ではない
情報共有を行うためには、情報を全体に伝える人が必要です。情報を管理・発信する担当者や部署が曖昧だと、重要な情報が発信されずに、組織に共有されない場合があります。
まずは、担当者や担当部署を明確にし、誰が情報共有のスタートになるかを決めましょう。個人で担当すると属人化しやすいので、部署単位での担当や複数のメンバーでのローテーションなどを採用するのがポイントです。
環境が整っていない
情報共有を円滑に行うためには、環境整備が欠かせません。情報が蓄積されるシステムやツールを導入したものの、どこに必要な情報があるかわからない状態では、情報共有は上手くいきません。
ツールに慣れている人は情報を探すことができるなど、リテラシーによっても情報に差が出やすくなります。
そのため、情報共有に力を入れる際は、情報を最小限のシステムやツールに集約し、わかりやすく整理することが大切です。ツールを活用する場合は、事前に使い方をレクチャーし、誰でも使える状態にすることも必要になります。
まとめ
情報共有は、組織全体で情報を把握していることはもちろん、誰でも活用できる状態になっていることが求められます。そのためには、情報共有の重要性を組織全体に浸透させる、システムやツールの運用を浸透させる、蓄積されたデータを整理するなどの取り組みが必要です。
上手く情報共有が行われれば、属人化の防止や業務の効率化、ナレッジの蓄積、信頼関係の構築などを実現できます。まずは自社で情報共有ができているかを振り返り、課題を洗いだしながら情報共有ができる環境を整備していきましょう。