1on1ミーティングとは?目的やメリット・効果的な進め方を解説 | Talknote Magazine

1on1ミーティングとは?目的やメリット・効果的な進め方を解説

1on1ミーティングは、上司が部下の育成や業務意欲の向上を考えて設ける、1対1の面談の場です。近年、さまざまな企業で導入が進み、浸透してきた事柄ですが、以下のような思いを抱いている方も多いのではないでしょうか。

  • 1on1ミーティングではどんなことを話せばいい?
  • 1on1ミーティングのテーマの決め方は?
  • 1on1ミーティングの進め方についても知りたい

本記事では、1on1ミーティングの目的やテーマ、必要とされている背景について解説します。導入するメリットや実施時の注意点、おすすめのITツールについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

1on1ミーティングとは何か?

1on1ミーティングとは、上司が部下のモチベーションアップや育成を目的として実施するミーティングのことです。個人面談は週に1回~月に1回といった定期的なペースで行われます。

1on1ミーティングでは、上司が部下の業務に対する悩みや問題、課題などを聞き、その内容に寄り添って部下の問題解決や能力の成長を引き出す狙いがあります。そのため、人事評価を目的としたものではなく、目標の達成率や成果を確認してはいけません。

1on1ミーティングは上司が部下に問題の解決策を考えさせ、部下の育成を促す時間です。そのため、「部下に話をしてもらう」「上司が部下よりも先に自分の考えを伝えない」といった点に注意する必要があります。

また、部下が問題を解決できるように実際の行動を促す必要もあります。つまり、1on1ミーティングは部下の人材育成を目的としたミーティングなのです。

1on1ミーティングの目的

どんなテーマで1on1ミーティングを行うのか? それも大切ですが、それ以前に重要なのが「目的」です。企業によって1on1を実施する目的はさまざまかと思いますが、大別すると1on1実施の目的は以下の3つです。

  1. 部下の育成
  2. 従業員エンゲージメントの向上
  3. 公平・公正な評価

1on1の最大の目的ともいえるのが「部下の育成」です。上司には、自分の成果だけでなく「成果を上げる部下をたくさん育てること」が求められます。適切なマネジメントをおこなうことで、組織力アップにもつながるのです。

また「従業員エンゲージメントの向上」にもつながります。従業員エンゲージメントとは、社員が会社に対して「もっと貢献したい」と思っている状態のこと。1on1ミーティングは、部下の「やる気」を引き出すキッカケとしても役立つでしょう。

会社として成長していくためには社員への「公正・公平な評価」が重要です。1on1ミーティングは、週1〜月1回といった「短いスパン」でおこなうため、社員の状態を把握しやすくなります。

フェアな評価が、社員一人ひとり、あるいはチームとしてのパフォーマンス向上にもつながるのです。

1on1ミーティングが必要とされてきている背景

1on1ミーティングが必要となっている背景には、主に以下の2つがあります。

  • VUCA時代が到来しているため
  • 人材の定着が難しくなっているため

VUCA時代や人材の定着が困難になっているといった点は、社会状況の変化に起因するものです。1on1ミーティングは、社会状況の変化に対応できる強い企業を作るための一助となるので、このミーティングの重要性を確認していきましょう。

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VUCA時代が到来しているため

VUCA時代とは、混沌とした現代社会を表す言葉であり、以下の頭文字をとった言葉です。

  • Volatility(変動性・不安定さ)
  • Uncertainty(不確実性・不確定さ)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性・不明確さ)

新型コロナウイルスの流行や戦争の勃発など、急速かつ不確実な市場の変化が発生している現代では、従来の安定した市場を前提として確立された方法論が通用しないケースが出てきました。

不確実性の高い時代においては単なる研修だけではなく、上司と部下の対話を重視し、部下が自分の考えを言語化し、上司の指示を待たずに自分で考えて行動することがより大切になります。

部下が自分で考えて行動すれば、上司の指示を受ける前にスピード感を持って変化する市場に対応しやすくなるからです。そういった自立した部下の育成のための中長期的な手法として、1on1ミーティングは注目されているのです。

人材の定着が難しくなっているため

近年は終身雇用の崩壊や少子高齢化などによって人材の流動化が活発になり、優秀な人材の確保がより難しくなっています。そのような状況下で重要なのが、上司や企業に対する信頼性とエンゲージメントです。

定期的に1on1ミーティングを実施すれば、部下と上司の信頼関係の増強ができ、不満やコミュニケーションのすれ違いといった問題も起こりにくくなります。部下に対して的確なフィードバックをすれば、部下の技術向上や人材の定着率アップにつながるでしょう。
部下の長所を伸ばし、部下が仕事にやりがいを持てれば、イノベーションも起こりやすくなるでしょう。

1on1ミーティングを導入する3つのメリット

1on1ミーティングを導入することによって期待できるメリットは、以下の3つです。

  1. 部下の自発的な成長が期待できる
  2. 上司と部下の信頼関係が構築できる
  3. 仕事の進捗管理や評価がしやすくなる

部下の自発的な成長やお互いの信頼関係の強化などは、企業の離職率低下や従業員の業務への意欲向上へとつながります。上司と部下が仕事の内容について共有する機会にもなるので、業務の進捗管理や適切な評価を下すきっかけにもなるでしょう。

以下、1on1ミーティングを導入するメリットについて解説します。

1.部下の自発的な成長が期待できる

まず、部下の自発的な技術やキャリアの成長が期待できるというメリットが挙げられます。

部下が上司に対して意見を伝え、問題解決の糸口を見つけるという流れを踏まえることで、部下は自分の業務を振り返る習慣が身につき、取り組むべき課題を見出せます。

経験を振り返ることで部下が自分の適性や可能性に気づき、隠れた才能を引き出したりキャリア開発をしたりといったことのきっかけにもなるでしょう。1on1ミーティングは、部下の技術の成長を促し、企業の業績アップにつなげられる可能性があるのです。

2.上司と部下の信頼関係が構築できる

次に、上司と部下の信頼関係を強められるというメリットもあります。上司と部下の距離感が縮まり、お互いに親しみを持って円滑なコミュニケーションができれば、双方にとって仕事に対するモチベーションが上がる可能性があります。

お互いに対する理解が進めば、現場への理解も深まり、マネジメント業務が円滑に進むでしょう。

実際のミーティング時はプライベートの話題やニュースなどの雑談を気軽に交えることも効果的なので、これらの取り組みを実践していきましょう。

3.仕事の進捗管理や評価がしやすくなる

定期的なミーティングの場を設ければ、部下の仕事の進捗や進行速度、苦手な部分や得意分野などが把握しやすくなります。

1on1ミーティングの場を設ければ、普段の業務では分からない部下の個性やプライベート、家庭の事情などが分かるケースもあり、それらの背景を踏まえたアドバイスやフォローも可能になります。
つまり、1on1ミーティングはより部下に寄り添ったマネジメントを行う一助となるのです。

1on1ミーティングの進め方

1on1ミーティングを進める際は、以下の手順で実行します。

  1. 実施前に準備をする
  2. 1on1ミーティングを実施し、記録する
  3. 振り返りをし、今後も継続をする

1.実施前に準備をする

まずは、1on1ミーティングの「実施前」のポイントから見ていきましょう。

  • 実施の目的を伝える
  • テーマを決める
  • 上司・部下ともに伝えたい内容を考えておく

まずは、1on1ミーティングで話し合うテーマを決めます。最近の部下の状態を見ながら「部下が求めているであろうこと」をテーマとして設定するのが吉。何を話せば良いか分からなくならないように事前にアジェンダも用意しておきましょう。

アジェンダの内容は仕事上の課題や悩み、キャリアプラン、体調やメンタル面についてなどが挙げられます。

また、部下に主体性があるのなら、本人にテーマを決めてもらい、主導権を握らせるのも良いでしょう。

一方、お互いに「何でもどうぞ」という姿勢だと、ミーティングもうまく進みません。お互い「上司に聞きたいこと」「部下に何を伝えたいか」を考えておくとスムーズです。

2.1on1ミーティングを実施し、記録する

続いて、1on1ミーティングの「実施中」のポイントです。

  • 部下の話をしっかりと聞く
  • 先読みしすぎない

1on1ミーティングは人事考課とは違い、「部下のための時間」となります。そのため、部下の思いに寄り添いながら、しっかりと耳を傾けることが大切です。

このとき、「先読みのしすぎ」はNG。部下が事前にテーマを提示してきた場合、「こんな問題を抱えているのではないか」「こんなアドバイスをすれば良いのではないか」と先読みをしすぎて、相手が求めていないアドバイスをしてしまうケースもあります。

何よりもまずは「相手の話を聞く」ことを徹底しましょう。

また、実施中は上司と部下のお互いがミーティング内容を記録し、結果を後から振り返られる状態を作ることも大切です。

3.振り返りをし、今後も継続をする

最後に、1on1ミーティングの「実施後」のポイントを見ていきましょう。

  • 上司はミーティング内容を振り返る
  • PDCAを管理する

1on1ミーティングが終わったら、上司は「部下にとって話しやすい場であったか」「前回と比べて新たな気づきがあったか」など、全体の振り返りをしましょう。

また、1on1ミーティングの「実施中だけ」を振り返るだけでなく、実施前や実施後の一連の流れを振り返るとさらに良し。事前準備・実施・振り返り・改善の「PDCA」を振り返っておくことで、次のミーティングにも役立つでしょう。

今後も継続して定期的に1on1ミーティングを行い、PDCAサイクルを回していけば、組織全体の発展へとつながります。

1on1ミーティングを実施する際の3つの注意点

1on1ミーティングを実施する際には、以下の3つのポイントに注意しましょう。

  1. 導入の目的を明確にし共有する
  2. コミュニケーションスキルを身に付けておく
  3. 開かれた質問と閉ざされた質問を使い分ける

導入目的の設定と上司側のコミュニケーションスキルは、ミーティングを成功させるために必須の要素です。これらが不足していれば、部下にとって1on1ミーティングは負担になる結果に終わります。

以下、1on1ミーティングを実施する際の注意点について解説します。

1.導入の目的を明確にし共有する

必ず1on1ミーティングを導入する目的は明確にし、部下と共有しましょう。

人事施策全体の中で1on1ミーティングをどのような目的で実施するか、そのために何を実行するかを事前に決めておけば、部下も納得した上でミーティングに応じてくれます。

上司と部下が対話する機会は普段の業務や目標確認面談などもあるので、それらと1on1ミーティングの違いを明確にすれば、効果的に実施できるでしょう。

2.コミュニケーションスキルを身に付けておく

上司のコミュニケーションスキルの有無は1on1ミーティングの成功に大きく関わる要素です。慣れないうちは人事面談のように必要なことを伝えるだけになりがちですが、そのような面談を定期的に行ってしまうと部下にとっては苦痛でしかありません。

1on1ミーティングでは、相手の話に耳を傾ける(傾聴)や、それによって部下の問題解決や自己実現に導くコーチングが特に重要です。

頷いたり相槌を打ったりといった聞く姿勢によって、部下は上司に対して自分のことを話しやすくなります。コーチングでは部下が自発的に考えたり行動したりするのを促すため、上司が答えを提示しないようにしましょう。

また、言語化が難しい内容にフォローを入れるなど、部下が話しやすい環境を作ることも大切です。

3.開かれた質問と閉ざされた質問を使い分ける

話したいテーマが定まらず、部下に「とくに話すことがありません…」と言われるケースも少なくありません。そういった部下に対しては、「閉ざされた質問」と「開かれた質問」を使い分けるのがオススメ。

閉ざされた質問(クローズドクエスチョン)

質問に対して「YES or NO」で答えられる質問のこと。または、「どこに住んでいますか?」など、質問に対して「札幌市です」というように、すでに特定の答えが決まっている質問のこと。
答える側は、頭で考えなくてもパッと答えを出せるメリットがあります。

開かれた質問(オープンクエスチョン)

たとえば「仕事に関して、 ”どんな” 悩みがあるか?」といった、質問に対して自由な回答を求める質問のこと。答える側には、「自分で考えるクセ」がないと言葉に詰まってしまうデメリットがあります。
自分で考えるクセがついていない部下に対して「開かれた質問」をすると、「とくに話すことがありません」と返ってきてしまうことも。そのため、まず、Yes or Noで答えられる「閉ざされた質問」からスタートするのもひとつの方法です。

1on1ミーティングで取り入れるテーマの例

続いて、1on1ミーティングで話し合いたいテーマについて見ていきましょう。先ほどお伝えした目的別にテーマをご紹介します。

まずは「部下育成」を目的とした1on1ミーティングのテーマを見ていきましょう。

部下のひたむきな姿勢を褒めるなど「モチベーション向上のための会話」
仕事で不安になっていることがないかなど「モチベーション低下を防ぐための会話」
この2つをメインに話し合いを進めていくのがオススメです。

業務・組織の課題解決では、仕事内容や組織の現状について、部下本人が感じている「問題点」や「改善点」を洗い出します。1on1で話し合うことで「普段なかなか口に出せない問題点」を見つけられるでしょう。また、部下に対して「何か要望はない?」と聞いてあげるのもオススメです。

目標設定については部下自身の目標設定について話し合うことで、「会社のビジョン・戦略等が正確に伝わっているか」を確認することもできます。

また、たとえば部下に対して「今の仕事に対してどう思っているのか?」「この目標を達成して何を得たいのか?」などの質問をすることで、部下の普段なかなかオープンにできない部分を知れるでしょう。

キャリア支援では、「仕事へのやりがいはなにか?」「希望するキャリアは何か?」といった、部下自身が望むキャリアについて深掘りをします。

キャリア設計ができていない部下に対しては、上司が客観的に見た「強み」を教えてあげることで、本人が今後のキャリアを考えるキッカケを作ってあげることもできるでしょう。

プライベートの相互理解では、プライベートなことについて話し合いながら、上司と部下との信頼関係を深めていくことも仕事を進める上においてはとても重要なことです。「最近ハマっている趣味は?」「好きなテレビ番組は?」など、フランクな質問で会話を進めていくのも良いでしょう。

社員の健康は、会社にとってもっとも大切なことのひとつです。1on1ミーティングを利用して、部下の「業務量」「睡眠時間」などを話し合いましょう。「体調に変化はないか?」「仕事量が過多になっていないか?」などと質問し、部下の健康状態を確認しましょう。

会社のメンバーと同じ方向を向くためには、部下に対して「経営陣や上司が考えている方針・戦略」を共有する必要があります。たとえば、「なぜ今のこのような方針に至ったのか?」などを、1on1ミーティングを通してわかりやすく部下に伝えましょう。

部下に伝達した上で、今後に必要なアクションや課題などについて話し合うことも必要です。

1on1ミーティングで使える質問集

「1on1で、どんな質問をすればいいのかよくわからない…」という方は、ぜひ以下の質問を意識してみてください。質問のパターンは、「未来志向の質問」「相手に考えさせる質問」「行動や気づきの質問」の3つです。

未来志向の質問

1対1での話し合いでは、つい「過去」を掘り下げてしまいがちです。しかし、過去のことばかり質問するのはNG。過去を追求するのでなく、「未来」のことを考えさせる質問をしましょう。

【質問の例】

  • このプロジェクトに対して、〇〇くん/さんはどうしたい?
  • このプロジェクトを通して、〇〇くん/さんはどうなりたい?
  • もし目標が達成できたら、どんな気分になるだろう?
  • それ以外にどんな可能性が考えられるだろう?

部下が「今後どのように仕事をしていきたいか」という未来志向の質問をすることで、進むべき方向が明確になります。

相手に考えさせる質問

1on1ミーティングは「部下の悩み」や「本当に思っていること」を引き出す場です。そのため「今の得意先は?」「仕事の進捗は?」など単調な質問ばかりでは、効果は得られないでしょう。
そこで、できるだけ「相手に考えさせる質問」をすることで、部下自身に「考えるクセ」がつき、主体性アップにもつながります。

【質問の例】

  • 〇〇くん/さんが仕事に対して求めていることは?
  • 仕事をする上で、〇〇くん/さんが大事にしているものって?
  • 仕事が楽しいと思えるのはどんなとき?

部下自身の内省につながるような質問をすることで、新たな気づきを与え、モチベーションアップにつなげましょう。

行動や学びの質問

部下自らが携わったプロジェクトについて、その学びや気づきを振り返ります。行動から学び、学びから新たな行動へと結びつけることができるのです。

【質問の例】

  • そのプロジェクトでは、どんなことを試したの?
  • うまくいかなかった部分は?
  • 失敗からどんな気づきや学びがあった?

部下の成功を褒めるだけでなく「失敗」にもフォーカスすることで、次なるプロジェクトへのモチベーションにもつながります。

1on1ミーティングに役立つツールなら「Talknote」

1on1ミーティングは部下への理解度を深め、業務内容の進捗管理を促せる側面があります。部下への理解度をアップさせ、業務進捗度を把握するには、ビジネスチャットツールの導入がおすすめです。

ビジネスチャットツールの1つであるTalknoteは多くの人が使い慣れているLINEのようにテンポよくメッセージのやり取りができ、スタンプでコミュニケーションを促進できます。定型的なやり取りの多い部署では投稿テンプレートを設定しておくと便利です。

タスク管理機能も備わっており、従業員の業務進捗の把握や情報共有、部下へのフィードバックなどのさまざまな場面で使えます。

Talknoteは、ビジネスチャットツールとしても多機能な上、コミュニケーションデータを分析して組織のコンディションをスコア化できるため、1on1を行う際の指標になります。「自社でも社内コミュニケーションツールを導入したい」とお考えの場合は、ぜひ試しに使ってみましょう。

まとめ

1on1ミーティングで忘れてはならないのが、1on1は「手段」であり「目的」ではないということです。

「1on1ミーティングを実施すること」自体を目的としてしまうと、社員の本当の気持ちを引き出すことは難しくなってしまい、実施する意味がありません。

1on1ミーティングにはモチベーションの向上やプライベートの相互理解、心身の健康チェックなどのさまざまなメリットがありますが、最も重要なのは「具体的に部下の本当の気持ちを聞いて、本当の目的の達成をサポートすること」です。

上記のテーマについて話し合うだけでなく、部下の育成や職場における従業員エンゲージメントの向上といった、最終的な目的にフォーカスすることを意識しましょう。

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