タイムマネジメントとは? 手順やコツ・実践方法を紹介
人の時間は有限であり、その限られた時間をいかに有効活用するかが重要です。特にビジネスでは時間の有効活用によって、業務全体の質や生産性、成果が大きく変わります。
時間をより有効に活用するための概念を「タイムマネジメント」と言います。このタイムマネジメントをうまく取り入れることで、時間を効果的に活用しやすくなるのです。
しかし、どのような点に注意してタイムマネジメントをすれば良いかがわからないといった方も多いでしょう。
本記事では、「タイムマネジメントの適切なやり方を知りたい」「タイムマネジメントを上手に行うコツを知りたい」方に向け、以下を解説します。
- タイムマネジメントが求められる背景
- タイムマネジメントを行う手順やコツ
- タイムマネジメントを導入するメリットやフレームワーク
- タイムマネジメントを実施する際の注意点
タイムマネジメントに活かせるツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
タイムマネジメントとは
タイムマネジメントは直訳すると「時間管理」になりますが、ビジネスにおいては「仕事の進め方を管理すること」とされることが多いです。
具体的には、限られた時間を有効活用できるように自らの行動を調整し、仕事の効率や生産性を向上させる動きのことを言います。
例えば、1時間に10のタスクを消化できるとします。それを1時間で20のタスクをこなせるよう、自分の業務を的確かつパフォーマンスの高い状態にするといったことが「タイムマネジメント」です。業務の効率化を可能とするためには、スキルアップやITツールの導入などが効果的です。
つまり、自分の会社の業務を把握して効率的な働き方を見つけて実践することが、タイムマネジメントには必要だと言えます。
タイムマネジメントが求められている背景
タイムマネジメントが求められる背景には、主に以下の2つがあります。
- 働き方や人材の多様化
- 生産性向上が求められている
テレワークやハイブリッドワークといった働き方の多様化は、通勤時間や通勤時のコスト削減、労働時間のマネジメントのしやすさへとつながっています。
社内で使用するための資料を紙で用意したり職場で共有したりする手間を省き、時間を削減しつつ成果を出すための有効な手段となるでしょう。
働き方や人材の多様化
政府が推進する働き方改革をきっかけに、働き方や人材の多様化が求められています。フリーランスとして働いたり、リモートワークを選択したりするなど、これまでの働き方では語り切れない状況になりつつあります。
企業で働く以外の選択肢もある中で、労働人口は将来的に大きく減少することが試算されており、限られた人材で成果を出すことが求められるのです。
限られた時間をいかに有効に使うかという点でタイムマネジメントが注目されています。
生産性向上が求められている
労働人口の減少だけではなく、海外企業の日本進出や国内での競争などが活発になり、これまで以上に生産性の向上が求められています。そのためには効率的かつ質の高い仕事が必要になります。
タイムマネジメントは時間の使い方を改善する考え方であり、賢く時間をコントロールすることによって業務を効率化し、より生産性の高い仕事に注力できるようになります。
タイムマネジメントを行う手順とコツ
タイムマネジメントを行う際には、「いかに効率良く時間を使って行動するか」という点を重視しましょう。そのためには、以下の手順でマネジメントを進めます。
- タスクを洗い出し「見える化」する
- 各タスクにかかっている時間を把握する
- 優先順位を明確化する
- 目標を設定しスケジュールを決める
- 定期的に振り返り・評価をする
営業や書類作成などの日頃の業務を振り返り、それぞれのタスクに使っている時間を把握すれば、優先順位が明確になります。後はそこからどの業務をどのくらい時間を使ってやり終えるかを決定しましょう。
以下、タイムマネジメントを実施する際の手順とポイントについて解説します。
1.タスクを洗い出し「見える化」する
タイムマネジメントを取り入れるためには、まず自分自身の仕事がどのくらいあって、どの程度時間を使っているかを把握する必要があります。普段の仕事の内容や時間を把握することで、改善すべき点が見えてきます。
頭の中で整理するだけでは把握しきれないこともあるので、仕事の内容をメモ帳などに書き出すと良いでしょう。まずは週次で仕事の内容と合わせて、所要時間の目安、流れなどを詳しくリストアップするのがベストです。
仕事の内容や時間を把握するためには、おおまかな括りで洗い出すのではなく、例えば「データ入力〇〇分」「書類の作成〇〇分」といったように業務ごとに細かく分け、作業ごとの時間の内訳を把握しましょう。
週次の洗い出しが完了したら、月次も同様に業務内容の把握と時間の測定を行いましょう。
2.各タスクにかかっている時間を把握する
次に、把握した仕事にどのくらいの工数がかかっているかを確認します。初めに洗い出した仕事内容と所要時間がマッチしていれば問題ありませんが、時間がかかりすぎていたり、逆に時間をかけずに質が落ちていたりする部分は改善が必要です。
仕事のタスクを把握し、タスクごとにどのくらいの時間をかけているかを把握することが必要なので、タスクの内容だけではなくフローをメモに書き出して細分化していきましょう。
3.優先順位を明確化する
自分で行う仕事について、優先順位を決めていきます。何に時間をかけるべきかを見極め、重要な仕事に時間を確保できるようにしましょう。
振り分けの基準は、成果に直結する仕事で納期が近いものを優先します。優先順位の高い仕事に多くの時間を割き、優先順位の低い業務には、限りある時間を無駄に割かないようマネジメントしましょう。
優先順位を決める際には、To Doリストのような取り組むべき業務を箇条書きにしたものを作成しましょう。理由ごとに優先度を「高・中・低」などに振り分け、優先度「高」に該当する業務に最も多くの時間を割くように振り分けます。そうすれば、時間を有効に使えるでしょう。
4.目標を設定しスケジュールを決める
続いて、スケジュールを設定しましょう。タスクを開始した後、追加作業や想定していなかったトラブルが発生することも考えられるので、ある程度余裕のあるスケジュールにします。
スケジュールの設定時は、今までとはやり方を変える必要がある業務について、目標設定をしましょう。例えば、「業務時間の半減」や「半減した時間内で従来と同様のクオリティで作業を進める」といった目標を定めます。
ただ、具体的に目標を決めなければ、タイムマネジメントの効果測定の際の成功基準がわかりません。そのため、「1時間以内に作業を終える」といった具体的な目標数値を設定し、基準を明確にしましょう。
5.定期的に振り返り・評価をする
スケジュールに沿って作業を開始した後は、途中で定期的な見直しを行います。
タイムマネジメントの効果を測定するために振り返る時間を作り、タスク実施の過程で明確になった問題を可視化していきましょう。例えば、「予定通りに進行できているか」「最適な時間配分になっているか」といった進捗状況を確認します。
事前に余裕を持ったスケジュールを組んでいれば、軌道修正や改善がしやすくなります。想定した通りに業務を進められていなければ、改善していきましょう。
タイムマネジメントの実践に役立つ3つのフレームワーク
タイムマネジメントの実践にはフレームワークの導入が役立ちます。タイムマネジメントに活かせるフレームワークは主に以下の3種類です。
- ロジックツリー
- アイゼンハワーマトリクス
- HIROEN
フレームワークごとの違いや特徴について確認していきましょう。
1.ロジックツリー
ロジックツリーは、仕事を洗い出す時に便利です。今やるべきことややりたいことなどの軸を決め、関連する仕事を書き出していきます。実施するかどうかの判断や優先順位は後のプロセスで判断するので、この時、タスクを処理する優先順位を考える必要はありません。
プロジェクトチーム間の会議の場や、個人が日々の仕事に集中する際にロジックツリーを組み立て、やるべきことに関連する仕事を書き出し、その優先順位を後で決定するといった場面に使用します。
例えば、オウンドメディアの集客を改善する必要があるとしましょう。この課題を書き出した後、集客を改善する手段として、以下の3つの選択肢をつなげます。
- 広告配信
- 記事数の増加
- SNSで積極的に発信する
各選択肢から連想する具体的なアクションを書き出し、それぞれのアクションを比較検討して最善の方法を選びましょう。上記の例だと、SNSからの流入率が多い場合はSNSでの発信に注力します。特定KWでの流入が多ければ、そのKWの記事作成に力を注ぎます。
問題を解決するために最適な方法を洗い出せるので、タイムマネジメントに活用可能です。
2.アイゼンハワーマトリクス
業務の洗い出しが終わったら、アイゼンハワーマトリクスを使って優先順位を設定しましょう。
アイゼンハワーマトリクスは、第34代アメリカ大統領アイゼンハワーが時間管理を行う際に使っていたと言われるフレームワークで、課題の優先順位を決める時に役立ちます。
業務を緊急度や重要度ごとに分け、優先度ごとに以下の4つの領域を用意し、そこにタスクを振り分けます。これにより、優先度を意識的に確認可能です。
第1領域に当てはまるのは、納期の近い仕事や顧客のクレーム処理など、緊急性の高い業務です。第2領域にはスキル習得や業務提携先との関係性構築など、重要度は高くても緊急性が低いものが該当します。
第3領域はオフィスでの電話対応などが該当し、第4領域には同僚との意味のない雑談が当てはまるでしょう。業務を領域ごとに分ければ、対応策を講じやすくなります。
具体的に述べると、第1領域の業務はすぐに実行し、第2領域の業務は実施する日程を設定するといった対応をします。前者のほうが優先度が高いので、迅速に実行する必要があるからです。
第3領域と第4領域の業務は第1・第2領域よりも優先度が下がるので、後回しにするか実行しないといった対応をとりましょう。
各領域を設定する際は、「業務の目的は何か」を明確に認識する必要があります。業務目的が曖昧であれば、領域を読み間違って時間を無駄にする可能性も否定できません。
多くのケースでは特に緊急性を優先順位とする傾向があります。緊急性が高くても重要度の低い仕事は、緊急かつ重要な業務よりも後回しにしましょう。
3.HIROEN
HIROENは、仕事を細分化する時に役立つフレームワークです。
Hear(聞く)・Inform(知らせる)・Request(頼む)・Operate(作業する)・Examine(調査・検討する)・Negotiate(交渉する)という6つの要素に分類することによって、計画を立てやすくなります。
タスクを6つに分類することで実行することに抜けがないかを社員が確認し、タスクごとにかかる時間を併せて考えることで、見通しをつけやすくなります。
タイムマネジメントを導入する4つのメリット
タイムマネジメントを導入することで得られるメリットは、以下の4つです。
- 仕事の効率が上がる
- 生まれた時間でスキルアップを図れる
- 残業時間が減る
- 精神的なゆとりが生まれる
1.仕事の効率が上がる
タイムマネジメントを行うことによって、重要度・緊急度が高い仕事が見えてきます。これまで優先度の低い仕事に使っていた時間を成果につながる仕事に充てられるので、仕事の効率アップを期待できるのがメリットです。
個人の仕事が効率化されることはもちろん、組織にタイムマネジメントが浸透すれば、全体の仕事が効率的に進み、企業の競争力もアップするでしょう。
2.生まれた時間でスキルアップを図れる
個人に目を向けると、タイムマネジメントによって無駄な時間がカットされ、自由に使える時間が生まれます。
自分自身のアイデアやスキルを生かした仕事に時間を使えば、やりがいを感じながら自分の強みを発揮でき、仕事を通してスキルアップを期待できるでしょう。
仕事に関わりのある資格勉強や社員研修などの人材育成に時間を使ったり、知識を磨いたりすれば、将来的に役立つスキルを身につけられます。
習得したスキルを生かしてレベルの高い仕事に携わることができれば、自己効力感の向上やモチベーションアップ、エンゲージメントの上昇など、さまざまなメリットにつながっていきます。
3.残業時間が減る
優先度の低い仕事に時間をかけていると、就業時間内に仕事が終わらずに残業せざるを得ない場合もあるかもしれません。
タイムマネジメントでは、時間の使い方を見直すことによって、仕事の効率化を期待できます。従業員にとっては、時間内に仕事が終わることで、プライベートの時間が確保されたり、体調を整えられたりするのがメリットです。
企業側にもメリットがあり、残業が減ることによって経費が削減されます。時間外労働に対する人件費、残業時間で使用される電気や水道の料金などの削減につながるのです。
4.精神的なゆとりが生まれる
タイムマネジメントがうまくできていない状態では、ある仕事に時間がかかりすぎて、次の仕事を急いで仕上げるなど、イレギュラーが出る可能性が高いです。精神的に焦りが生まれやすく、防げたはずのミスが起きたり、やっつけ仕事になったりするでしょう。
タイムマネジメントによって、あらかじめ仕事の計画が立てられていれば、見通しを持っているので必要以上に焦ることはありません。
余裕を持って仕事に取り組むことによって、とっさの要望や指示にも柔軟に対応できます。計画通りに進んだことは満足感を得られる瞬間であり、やりがいや楽しみも生まれるでしょう。
タイムマネジメントを行う際の3つの注意点
タイムマネジメントを導入する際は、漠然と始めるのではなく、具体的に目標を設定し、作業時間の短縮と成果の達成を両立できるようにします。
以下のタイムマネジメント導入における注意点をおさえて、効果的に取り入れましょう。
- おおざっぱな時間管理は逆効果
- 振り返りに手を抜かない
- リーダー主導で始めることが大切
- いきなり範囲を広くしすぎない
- タスクマネジメントは別に行う必要がある
1.おおざっぱな管理をしないこと
タイムマネジメントが大雑把になると、曖昧な計画や直感的な管理になりがちです。雑に時間管理をしてしまうと、計画がないがしろになったり、優先順位がそもそも間違っていたりするなどのミスが起きやすくなります。
タイムマネジメントを導入する際は、仕事の洗い出し、優先順位の設定、仕事の計画・振り分けなど、ステップをしっかり踏み、丁寧に実施することが大切です。
2.振り返りに手を抜かないこと
タイムマネジメントは導入して終わりではなく、振り返りをしなくてはいけません。振り返りがなければ、タイムマネジメントが成功したのか改善が必要なのかがわからないので、あまり効果のない方法でやり続けることになる場合もあるでしょう。
自分が行ったタイムマネジメントを実施した後に、計画通り進められたか、そもそも計画に正しかったかなどを検討する必要があります。改善点を新たなプランに反映して、繰り返し実施することによって、最適なタイムマネジメントに近づいていくのです。
3.いきなり範囲を広くしすぎないこと
タイムマネジメントを始める時に、いきなりすべての仕事を対象にするなど、範囲を広くしすぎると失敗しやすいです。
計画の段階で無理があったり、優先度の見極めが不十分だったりすると、業務全体にしわ寄せがきてしまいます。まずは実現可能な範囲で取り組み、コツをつかんできたら、徐々に範囲を広げていきましょう。
タイムマネジメントに役立つツールなら「Talknote」
業務のタイムマネジメントを実施するためのツールとしては、ビジネスチャットツールの「Talknote」がおすすめです。
Talknoteは、業務の経緯や背景などの情報を蓄積して共有できる点が特徴のコミュニケーションツールです。業務ノウハウやナレッジなども蓄積でき、セキュリティ性にも優れています。
従業員がタイムマネジメントを実施する際の連絡や、タスクの確認などにかかる時間の削減に効果的です。各形式のファイルも社内のチームメンバー同士で共有可能なので、社内で使用するための資料紙で用意する手間を省けます。
また、従業員のタスク管理では、期限を超過したタスクの通知がされるので、業務の抜け漏れ防止に役立ちます。
まとめ
タイムマネジメントを導入することによって、仕事の効率化や時間の有効活用、残業時間の削減など、さまざまなメリットがあります。
しかし、振り返りを行わなかったり、いきなりタイムマネジメントの範囲を広げすぎたりすると、失敗するリスクが高いです。タイムマネジメントについて、まずは管理職がしっかり理解し、組織の生産性を高めるために丁寧に実施しましょう。