「心理的安全性」とは? 意味やメリット・高める方法を解説
こんにちは。社内コミュニケーションツール「Talknote」Magazineチームです。
心理的安全性とは、自分がどのような言動や行動をとっても相手に拒絶されず、気持ちや意見を安心して表現できる環境のことを言います。
心理的安全性は2012年にGoogle(グーグル)のリサーチチームが発表して以来、自社の生産性を向上させるための方法として注目されています。組織や組織に所属する人には重要な概念なので、正しく理解して導入することが大切です。
本記事では、「心理的安全性とは何なのか知りたい」「心理的安全性の高め方を知りたい」「心理的安全性を組織作りにどのように活かせば良いか知りたい」といった方に向け、心理的安全性の意味や注目されている理由、効果などを詳しく解説します。
ぜひ、強い組織づくりの参考にしてください。
心理的安全性とは
心理的安全性を初めて提唱したのは、組織行動学の研究に取り組むハーバード大学教授・エイミー・エドモンソン氏です。さまざまな組織で調査を行った結果、心理的安全性を「このチーム内では、対人関係上のリスクをとったとしても安心できるという共通の思い」と定義しました。
定義をわかりやすく噛み砕くと、メンバー同士の会話でどのような発言をしたとしても、メンバーから嫌われたり、関係が壊れたりすることがなく、安心して自分の意見や考えを言える状態のことを言います。
病院において投薬量のミスに気づきながら黙認する、企業買収に疑問を持ちながらも指摘せず失敗に終わるなど、さまざまな事例で心理的安全性の重要性を提唱しました。
心理的安全性が低い環境で見られる4つの不安
エドモンソン教授は、スピーチフォーラム「TED」にて、心理的安全性が低い状態で見られる4つの不安に言及しています。
- 無知だと思われる不安
- 無能だと思われる不安
- 邪魔をしていると思われる不安
- ネガティブだと思われる不安
チームで発言したと時に、「そんなことも知らないのか」「そんな簡単なこともできないのか」「ミーティングが進まない」「後ろ向きな発言ばかりでやる気がなくなる」といったように思われないか不安になる環境は、心理的安全性が低いと述べています。
上記の不安があることによって、無知と思われない、邪魔をしないようにと発言・質問を控える、無能と思われないようにミスを隠す、ネガティブと捉えられないように否定的な意見を言わないといったことが起こる可能性が高いです。
その結果、ミスが見逃されたり、防ぐことができた失敗が起きたりするケースが出てきてしまいます。
心理的安全性が注目される理由
心理的安全性という言葉が知られたのは最近ですが、それまでにも概念自体はすでにありました。気兼ねなく発言できるチームにしたい、情報交換を活発にしたいといった思いは、チーム状態によってはよくある悩みであり、マネジメントを行う上でつまずいた経験がある人も多いのではないでしょうか。
そんな心理的安全性が注目されたのは、上述したGoogleの研究結果が発表されたのがきっかけです。
離職率が高い、生産性が低い、アイデアがなかなか生まれないといった悩みがある中で、調査における「心理的安全性の高いチームのメンバーは、Google からの離職率が低く、他のチームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用することができ、収益性が高く、『効果的に働く』とマネージャーから評価される機会が2倍多い」という結果は、衝撃を与えるものでした。
生産性の高いチーム作りには心理的安全性が重要であることが広く知られ、国内外で注目されることになったのです。
【参照】 Google re:Work「「効果的なチームとは何か」を知る」
心理的安全性がもたらす社員へのメリット
組織の心理的安全性が高いことは、ヒトや企業に良い影響を与えます。ヒトへの効果と企業への効果に分けて、心理的安全性によるメリットを見ていきましょう。
主な効果は、以下の3つです。
- 責任感や関心が芽生えやすい
- パフォーマンスの向上を期待できる
- スムーズに情報交換できるようになる
自社の従業員にどのような効果を与えるのかをしっかり押さえていきましょう。
責任感や関心が芽生えやすい
心理的安全性が高いと、自分の意見を素直に発言でき、チームに積極的に関わることができます。
自分を尊重してもらえることによって、「自分がプロジェクトに貢献している」「もっとうまくいく方法がないか」などと、責任感が芽生えたり、関心を持ったりすることを期待できるのがメリットです。
また、「発言したらどう思われるだろうか」「失敗したら叱責されるかもしれない」といった心理的ストレスも軽減され、安定した精神状態で働くことができるでしょう。
パフォーマンスの向上を期待できる
心理的安全性が低い環境では、能力やアイデアのあるメンバーも発言を控えるなど、十分に資質を発揮できていないケースがあります。
心理的安全性が改善されると、意見やアイデアを発言しやすくなり、メンバーが持つスキルを使える環境になるのがポイントです。
意見が尊重されることでやりがいを感じたり、チームに参画できる喜びや責任感を覚えたりして、モチベーション高く働ける場合もあり、メンバーそれぞれのパフォーマンスの向上を期待できます。
スムーズに情報交換できるようになる
心理的安全性が高い職場では、不安なく発言できるので、情報交換がスムーズになります。成功体験はもちろん、失敗や課題も話題になりやすく、メンバーはさまざまな情報を共有することが可能です。
他のメンバーの成功体験を自分の仕事に生かしたり、メンバーの指摘から課題や問題に気づいて早めに対処できたりするので、チーム全体の成果にもつながっていきます。
心理的安全性がもたらす企業へのメリット
企業への主な効果は、以下の3つです。
- イノベーションが生まれる職場になる
- さまざまな考え・価値観を持った人材が集まりやすくなる
- 人材の定着率が高まりやすい
人材の採用や定着などにもメリットがあるので、しっかりチェックしていきましょう。
イノベーションが生まれる職場になる
メンバーが活発に情報交換できる職場では、イノベーションが生まれやすくなります。従業員それぞれが持つアイデアや意見が引き出され、それまでになかった新たな考え方を発見できるでしょう。
新しいプロジェクトやプロダクトを考案できることは、企業が新たな一歩を踏み出すきっかけにもなります。価値のあるイノベーションが生まれれば、業績アップも期待できるでしょう。
さまざまな考え・価値観を持った人材が集まりやすくなる
風通しの良い企業であることが広く知られると、自分の考えやアイデアを発揮したいと考えるさまざまな人材が集まりやすくなります。
アイデアを形にしたい、考え方や価値観を発揮して大きなプロジェクトに携わりたいといった人材が集まれば、さらに情報交換や議論が活発になるでしょう。
心理的安全性が高いからこそ、多様な人材が活躍でき、メンバーそれぞれはもちろん、企業も大きく成長できるはずです。
人材の定着率が高まりやすい
心理的安全性の高い職場では、やりがいを感じたり、モチベーション高く取り組めたりするメンバーが多くなります。
「会社のために長く働きたい」「会社とともに成長したい」といった思いが芽生え、企業へのエンゲージメントの向上を期待できます。その結果、離職率の低減を実現し、人材が定着しやすくなるのです。
個性豊かなメンバーが定着することによって、新たなメンバーの教育がスムーズになったり、チーム力が安定したりするなどの効果も期待できます。
心理的安全性を高める方法7選
心理的安全性を高めるための方法は、主に以下の7つです。
- 1on1や質問・相談しやすい環境を提供する
- アサーティブ・コミュニケーションを心掛ける
- 相手を否定するのではなく問題解決を目指す
- 発言の機会を均等に与える
- OKRを設定する
- 評価基準を定期的に見直す
- ピアボーナスを導入する
1on1や質問・相談しやすい環境を提供する
1on1ミーティングの実施や、各チームのチームリーダーが相談しやすい環境を作ることで、メンバーは気軽に相談しやすくなります。
1on1ミーティングは上司と部下が1対1で行う面談のことであり、仕事の相談や個人的な趣味の話、プライベートなことなどを対話する場としても活用できます。
チームリーダーが全メンバーと気軽に話し合える場を設け、良い信頼関係を築くと部下は「相談できる相手がいる」と思って心理的に安心し、会議でも積極的に発言するようになるでしょう。
つまり、上司と部下がお互いに対話できる環境を提供することで、心理的安全性を高めることにつながるのです。
アサーティブ・コミュニケーションを心がける
アサーティブコミュニケーションとは、相手を尊重しつつ、自分の要望や感情を伝えることを言います。
このアサーティブコミュニケーションを実行することで、自分の要求や気持ちを適切に表現しつつ相手の意見を尊重できるため、心理的安全性を高めることに効果的です。
相手を否定するのではなく問題解決を目指す
チームリーダーが問題の解決策を模索する場合は、犯人探しやメンバーを否定する観点で進めず、あくまで問題解決に注力することが大切です。
「誰のせいで目標を達成できなかったのか」といった否定的な視点で会議を進めてしまえば、メンバーは萎縮して発言ができなくなるケースがあります。
必要な助言をしつつ、「どのようにすれば結果が良くなるか」といった、問題解決の視点を重視しましょう。
発言の機会を均等に与える
チームメンバーの発言機会は均等に与えましょう。安心して発言できる環境でも、実際には一部の人が発言しているケースもあります。メンバー全員が気兼ねなく発言できるためには、発言の機会を平等に与えることが大切です。
チームメンバーの年齢や在籍年数が違うことはあるので、若手のメンバーが遠慮して特定の人しか会議で発言しないことも起こり得ます。しかし、それでは問題の解決策が提示されないことも考えられます。
発言の機会を均等にするためには、会議の進行者がメンバーに話しかけ、発言を促すという方法をとると良いでしょう。均等に発言の機会が与えられると、「皆の意見が尊重されている」「発言するのは重要なこと」という認識が共有されます。
OKRを設定する
OKRとは、企業としての大きな目標である「達成目標」(Objectives)を定め、続いて目標の達成度を測定する「成果指標」(Key Results)を設定する目標管理方法です。
成果指標を数値化して達成を目指すため、OKRは誰から見ても達成度がわかりやすいという点が特徴です。これにより、目標達成のためにチームメンバーが協力しやすくなります。また、チームメンバーがチームの成果に貢献できたことを実感しやすくなります。
同じ目標に向かってチームが協力し、その過程においてコミュニケーションも活発になるので、心理的安全性を高めることにもつながるでしょう。
評価基準を定期的に見直す
メンバーへの評価制度基準を定期的に見直すことも重要です。成果主義の場合、ミスを恐れたり、他のメンバーが気になったりして、職場の安心感が減ってしまいます。
また、評価制度の内容が不公平さを感じやすいものだった場合は、チーム内での問題が起こりやすくなります。成果のみを評価する評価制度だった場合は、評価が下がることを恐れて発言をしなくなる可能性もあります。
そのため、定期的に評価基準を見直し、メンバーの心理的安全性を維持できるように努めましょう。
ピアボーナスを導入する
ピアボーナスとは、チームメンバー同士で報酬や贈り物ができる制度です。
チームメンバーに対する感謝の気持ちを可視化することでもお互いの気持ちを表現し、報酬を受け取る側と送る側の双方が心理的安全性を高められます。
心理的安全性向上を目指す上での注意点
心理的安全性向上を目指す上で注意したいのは、馴れ合いとは違うということです。メンバーが持つ職場への印象はさまざまで、リーダーが心理的安全性が高いと思っていても、メンバーにとっては仲が良くて楽な職場と思われているかもしれません。
何を言っても許される、失敗しても大丈夫といった馴れ合いの職場では、責任感や意欲は芽生えにくく、生産性の向上は望めないでしょう。
そうならないためには、リーダーが中心となって、時にはメリハリをつけて指示や注意を行ったり、メンバーとの面談で目標や進捗を管理したりすることが大切です。
心理的安全性の計測方法
心理的安全性が高まっているのか、取り組みを始める前はどのくらいなのかを知るためには、現状を計測することが大切です。2つの計測方法を参考にして、自社の心理的安全性をチェックしましょう。
「7つの質問」で計測する
エドモンソン教授は、心理的安全性を7つの質問で計測する方法を提唱しました。設問に対して、「強くそう思う」「そう思う」「どちらとも言えない」「あまりそう思わない」「そう思わない」で回答し、度合いを見極めます。以下は、7つの質問の原文と日本語訳です。
- チームの中でミスをすると、たいてい非難される。
(If you make a mistake on this team, it is often held against you.) - チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。
(Members of this team are able to bring up problems and tough issues.) - チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。
(People on this team sometimes reject others for being different.) - チームに対してリスクのある行動をしても安全である。
(It is safe to take a risk on this team.) - チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
(It is difficult to ask other members of this team for help.) - チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
(No one on this team would deliberately act in a way that undermines my efforts.) - チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。
(Working with members of this team, my unique skills and talents are valued and utilized.)
1、3、5と2、4、6、7がセットとなっています。1、3、5は「そう思わない」に近く、度合いが低いほど心理的安全性が高いです。一方、2、4、6、7は「強くそう思う」が多く、度合いが高いほど心理的安全性が高いと判断されます。
非難される機会が少なく、チームメンバーの風通しが良いほど心理的安全性が高い環境であり、生産性を期待できるチームと言えるでしょう。
【参照】Google re:Work「「効果的なチームとは何か」を知る」
「3つのサイン」が見られるか確認する
心理的安全性が高い職場には、以下の3つのサインが見られるということも、エドモンソン教授は提唱しています。
- ポジティブな発言が多い
- ミスや問題についても話す機会が多い
- 職場に笑いとユーモアがある
困難な状況でも前向きに捉え、ポジティブな発言が交わされている、成功以外の話も話題になる、笑いとユーモアで職場が明るいといった場合は、心理的安全性が高いケースが多いでしょう。
チームメンバーの会話や雰囲気などを観察し、上記のサインが見られるか観察すると、心理的安全性の高低を確認できるはずです。
心理的安全性を高めるコミュニケーションツール「Talknote」
社員の心理的安全性を高めるためには、質問・相談しやすい環境の提供、社員同士のコミュニケーションの活発化、発言の機会の均等化などが重要です。
これらを全て円滑に行うためには、業務用のチャットツールの導入がおすすめです。特にTalknoteというチャットツールは、同僚への称賛や業務ノウハウ、ナレッジを蓄積できる機能があり、心理的安全性を高めるための一助となります。
従業員のタスク管理もでき、期限を超過した後のタスクの通知がされるので、業務の抜け漏れも未然に防げます。
まとめ
企業の心理的安全性の維持と向上は、生産性の向上や創造的なアイディアの提示、離職率の低下などのさまざまなメリットをもたらします。心理的安全性の向上には、チーム内でのコミュニケーションの活発化が欠かせません。
社内コミュニケーションツールの1つであるTalknoteは、社内のコミュニケーションの活発化とそれによる心理的安全性向上におすすめのツールです。
無料トライアルが可能なため、この機会にTalknoteをお試しでダウンロードしてみてはいかがでしょうか。