メタ認知とは?高い人・低い人の特徴とトレーニング方法を解説
こんにちは。社内コミュニケーションツール「Talknote」Magazineチームです。
ビジネスにおいて業務を効率的に進めるためには、仕事の技術以外にも重要な要素があります。それが「メタ認知」です。メタ認知とは、簡単に言うと「自分自身を客観視すること」です。メタ認知能力を高めると、考え方の幅が広がったり前向きに行動できたりします。そして結果として仕事の効率性アップや業務の進行や目標の設定が円滑になり、業務全体の質が向上します。
しかし、メタ認知を実践するためには、どのような点に注意すれば良いかがわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、「メタ認知とは何なのか意味を知りたい」「メタ認知能力の高い人と低い人の特徴を知りたい」「メタ認知能力を高めるにはどうすれば良いか知りたい」といった方に向け、以下の事柄を解説します。
- メタ認知の概要と構成要素
- メタ認知能力が高い人と低い人の特徴
- メタ認知の重要性
- メタ認知能力を高める学習方法
業務効率化に適したITツールもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
メタ認知とは?
メタ認知とは、考える・記憶する・判断するといった認知行動を客観的に捉えることです。人間は常に認知を行っていますが、その行動自体を客観視するには意識的に行わなければいけません。
例えば、自分が発言する際、メタ認知を行っていないと思ったままに言葉を発することになります。メタ認知が働いていると、言動は正しいか、その場に合っているかなどを客観的に判断し、適切に調整することが可能です。
メタ認知が初めて生まれたのは、ソクラテスによる「無知の知」の提唱までさかのぼります。これは「知らないということを知っている」という考え方で、自分の認知を理解していると捉えると、メタ認知と言うことができるのではないでしょうか。
メタ認知が本格的に提唱されたのは1970年代で、ジョン・H・フラベルが「メタ記憶」という言葉を使って研究をスタートさせました。心理学の概念として教育や脳科学などに用いられていましたが、ビジネスシーンにおいても重要と考えられるようになっています。
「メタ認知的知識」と「メタ認知的技能」
メタ認知は、「メタ認知的知識」「メタ認知的技能」という2つに分けることができます。メタ認知的知識とは、自分自身について認知している知識のことです。大胆な決断は苦手だが堅実な判断ができる、終わったことをつい引きずってしまうなど、自分の長所や短所を知識として理解できていることをメタ認知的知識と言います。
一方、メタ認知的技能は、メタ認知的知識を活用して、自分自身を振り返ったり、対策を取ったりするなど行動に移すことです。過去と現在の自分を比較したり、比較した上で改善策に取り組んだりできると、メタ認知的技能を発揮していると言えます。
どちらが重要ということではなく、メタ認知的知識とメタ認知的技能のつながりが大切です。メタ認知的知識があるだけでは、ただ自分自身を知っているだけです。メタ認知的技能を発揮するには、前提としてメタ認知的知識が必要です。メタ認知的知識をしっかり得て、メタ認知的技能に生かしましょう。
メタ認知は4つの要素で構成されている
メタ認知は「意見、経験、感情、価値観」の4つの要素によって構成されています。これらの観点からその人自身を深堀りすることで、メタ認知能力の向上につなげられます。
具体的には、以下のような方法で行います。
- 意見:個人の意見
(例:私は方向音痴である) - 経験:感情の背景となる経験
(例:所定の場所へ行く時によく道に迷うから) - 感情:経験時の気持ち
(例:道に迷って待ち合わせた相手に申し訳なかった) - 価値観:意見や経験、感情から出た考え
(例:私は方向音痴であると考えている。理由は所定の場所へ行く時、よく道に迷って申し訳なさを感じたことが多いからだ。しかし、他人にとっては同じル行き先でも道に迷うことはないかも知れない)
以上のケースであれば、方向音痴である理由を他人に説明できたなら、誰かに行き先を案内したりどこかへ向かう役割を相手に任せて自分は他の用事に注力できます。業務であれば、仕事の役割分担ができるので、他社への理解と協調性の強化につながるでしょう。
しかし、方向音痴だと思っている理由を客観的に見られなければ、方向音痴でない人とその人自身とを比較して恥ずかしがってしまうといった事態に陥る可能性があります。そうなると、前述の役割分担ができずにますます申し訳なさを感じることもあるでしょう。
つまり、メタ認知能力の向上は業務における得意不得意の役割分担を明確にし、良質な業務をスムーズに進められる状態を作ることにつながるのです。
メタ認知能力が高い人の特徴
メタ認知能力が高い人には、以下のような特徴があります。
- 自分を含めた状況を客観視できる
- 自己分析がうまい
- 冷静な判断ができる
- 柔軟に対応できる
- 協調性が高い
- モチベーションが高い
特徴を理解して、メタ認知の向上を目指してみましょう。
自分を含めた状況を客観視できる
メタ認知能力が高い人は、周囲の状況を俯瞰して見ることができます。例えば、チームで不和があった時に、メタ認知が不得意だと感情に任せてしまったり、偏った思い込みをしたりしてしまいがちです。
メタ認知ができていると、なぜ不和が起きたのか、どうすれば状況を改善できるのかを状況を踏まえて考えることができます。問題が起きていなくても、原因になりそうなことにいち早く気づく、状況が悪くならないように配慮するなど、先回りして対応することが可能です。
自己分析が上手
メタ認知能力が高い人はとりわけ自己分析が上手です。自分の優れているところだけではなく、短所も理解できている傾向があります。
短所を認めた上で周りに伝えるか隠すかは人によって違うものの、「この仕事は自分よりもAさんのほうが得意だ」といった適切な判断ができる人が多いでしょう。
冷静な判断ができる
何らかの判断をする時に、メタ認知に優れていると冷静に判断しやすくなります。その時の状況や判断の内容、目的などを客観視することで、適切な判断が可能です。
メタ認知能力が低いと、感情や直感、勢いなどで場当たり的な判断をしてしまうケースがあります。結果が出たとしても再現性は低く、同じような判断を繰り返すと、将来的に失敗する可能性が高いです。
柔軟に対応できる
ビジネスでは、さまざまなタスクがあり、いろいろな人間と関わるので、状況に応じて対応する必要があります。メタ認知能力が高い人は、状況を俯瞰することができるため、順応する能力も高いです。
プロセスが変わった時に注意点をいち早く見つける、担当者や取引先が変わった時により良い対応を考える、ミスが起きた時に原因を考え対策をするなど、さまざまな場面で柔軟な対応ができます。
協調性が高い
メタ認知能力が高いと、自分自身だけではなく、相手の行動や言動についても考えることができます。どのような意図があるのか、どのような気持ちなのかを予想することによって、互いにとって気持ちの良い言葉や対応を選べるのが特徴です。
環境や関わる人間に影響されずに相手の気持ちを考えられるので、さまざまな場面で協調性を発揮できる人が多いと言えるのではないでしょうか。
モチベーションが高い
メタ認知は、現在の状況以外にも、将来的なビジョンを考える際にも役立ちます。目標に対して、今の自分に何が足りないのか、どうすれば成長できるかを考えるなど、モチベーションが高いのもメタ認知能力に優れている人の特徴です。
日々の仕事においても、うまくいかないことやミスで一喜一憂することはあまりないでしょう。ミスが起きた理由や次にそうならないための対策に頭を働かせるため、やる気を失わずに取り組むことができます。
メタ認知能力が低い人の特徴
メタ認知能力が低い人には、以下のような特徴があります。
- 感情的になり物事を客観的に見ることができない
- マイナス思考になりがちで行動できない
- 思い込みが激しく自分の価値観で物事を考えてしまう
自分が以下に該当していないかを判断し、メタ認知能力向上に活かしましょう。
感情的になり物事を客観的に見ることができない
メタ認知能力の低い人は、物事を客観的に判断できないため、感情的になりやすい傾向があります。例えば、新商品を出せば将来に対する展望があるにも関わらず、「どうせ展開しても同じで、あまり変わらないだろう」と決めつけて行動しないことが該当します。
これは自分の主観によって判断しており、客観的な判断さえできれば将来への展望があることに気づけるにも関わらず、それができないためにチャンスを逃しているケースです。
感情的になって物事を客観的に見られなければ、行動することによって状況が変化する可能性に気づけないだけではなく、マイナス思考に囚われたり物事を決めつけたりなどの悪しきループに陥ってしまいます。
マイナス思考になりがちで行動できない
メタ認知能力が低いと、マイナス思考になりがちで行動できないといった事態が発生します。これは事態打開の可能性や潜在的なスキルレベルに気づけずに終わってしまうことが多くなるから起こることです。
また、行動したとしてもマイナスの感情に支配された状態で動くため、事態を悪化させたり課題の解決までに時間がかかったりすることにつながりやすくなります。思い込みが激しい状態にあるので、他人を傷つけてしまうリスクが高くなるでしょう。
思い込みが激しく自分の価値観で物事を考えてしまう
認知能力の低さは思い込みの激しさにつながり、他人の考えを認められない事態を誘発します。例えば、他人の希望を考えずに事を進めてしまった結果、相手との関係性が悪化したケースが該当します。
他にも、他人と自分では仕事に対する進め方が違うことを認められずに対立を繰り返し、社内で孤立したり業務進捗に悪影響を及ぼしたりするケースも当てはまるでしょう。
つまり、メタ認知能力の不足は自分にも他人にもマイナスになるのです。
メタ認知のメリットと重要性
メタ認知能力があることには、以下のようなメリットがあります。
- 客観的な自己分析ができるようになる
- トラブルや変化にも冷静に対応できる人材になる
- より良い円滑なコミュニケーションができるようになる
普段の生活や業務においてメタ認知能力を活かせれば、他者との関係性やコミュニケーションが改善でき、仕事も円滑に進められるでしょう。上記のポイントについて注目し、メタ認知能力を高める情報としてください。
客観的な自己分析ができるようになる
メタ認知能力を向上させることによって、客観的に自己を捉え、評価できるようになります。
自己の客観視によってスキルレベルや得意不得意を正しく認識でき、業務における役割分担や効率的な業務遂行などが実現可能です。
また、仮に仕事でミスをしてしまっても再発防止のために必要な対策を見極め、次に活かせます。ミスをきっかけにして何かを学び、仕事に活かせるという柔軟性にもつながるのです。この柔軟性の高さはトラブルがあった場合への対処能力の高さにも影響します。
トラブルや変化にも冷静に対応できる人材になる
メタ認知能力の高さは、仕事上でのトラブルや変化に冷静な対処ができることにつながります。
仕事上で発生するさまざまな問題に対して焦らずに対応できるので、問題解決能力が高い人材として活動可能です。また、これは複数のタスクを抱えた場合でも、優先順位をつけて仕事を進められるマルチタスク能力の高さや集中力の高さにもつながります。
結果、業務の円滑かつ堅実な進行に影響するのです。
より良い円滑なコミュニケーションができるようになる
メタ認知能力の高さは、より円滑で良質なコミュニケーションにつながります。
他者と自分の考え方が異なる場合でも、その違いを認めて円滑に対話ができるので、相手とより良い人間関係を構築可能です。自分と周りの人間との適切な距離を維持するための配慮も可能なので、協調性の高さにもつながります。
集団の中で周りを上手にまとめ、1つの目標を達成するためのリーダー的な能力にも長けています。例えば、プロジェクトの成功などに大きな役割を果たせるのです。
メタ認知能力のデメリット
メタ認知能力が高いことによるメリットは多いものの、デメリットもいくつかあります。
- 思考に体力を使ってしまう
- 一人で抱え込んでしまいやすい
- プレッシャーを感じやすい
デメリットをあらかじめ知っておくことで、適切な対策を講じることが可能です。
思考に体力を使ってしまう
メタ認知は良くも悪くも思考する機会が多くなります。状況を俯瞰したり、自己分析したり、解決策を探したりするのは良いことですが、思考にエネルギーを消費しすぎてしまうのはデメリットです。
思考による疲労で行動の質が下がったり、思考することでエネルギーを使い果たしてしまったりするケースがあります。メタ認知のバランスを考え、思考を行動につなげられるようにエネルギーの効率を意識しましょう。
一人で抱え込んでしまいやすい
メタ認知を意識することで、自分自身の短所や組織の問題点などが見えてきます。より多くの状況や悪い部分も把握できるものの、それらを一人で抱え込みやすい点には注意が必要です。
頭の中でぐるぐる考えていると、不安な気持ちが多くなったり、かえって混乱したりして、メンタル面に負担がかかってしまいます。メタ認知も重要ですが、周りの人に考えていることを話すことも大切です。考えを口に出したり、他の人の意見を聞いたりすることで、思考がまとまり、新たなアイデアが思い浮かぶこともあります。
プレッシャーを感じやすい
責任感が強いと、メタ認知で自分への意識が強くなり、プレッシャーを感じやすくなる場合があります。良くない状況や問題が見えている分、自分がどうにかしなくてはいけないという思いが大きくなる可能性があります。
プレッシャーを力に変えられることもあれば、プレッシャーで本来の能力を発揮できないこともあるでしょう。周りの協力も得ること、一人で抱え込まないことの他、そのような傾向がある人に対して周りの人がフォローすることも大切です。
メタ認知能力を高めるためのトレーニング方法
メタ認知を高めるためには、ただ意識するだけではなく、効果的なトレーニングに取り組むことが大切です。
ここでは、5つのトレーニング方法を解説していきます。
- モニタリング
- コントロール
- フリーライディング
- 瞑想
- コーチング
モニタリング
モニタリングは、自分を客観的に観察する能力を鍛えるトレーニングです。「メタ認知を実践しよう」と言われても、いきなりできるものではありません。そこで、生活や仕事などの出来事に対して、行動の理由や状況などを整理・分析します。
自分の行動をモニタリングするクセをつけることで、普段から状況を客観視する習慣が身につくでしょう。モニタリングする項目は、状況、思考、気持ち、行動、身体の反応という5つがおすすめです。
コントロール
セルフモニタリングができていても、見つかった課題や状況に対して気持ちをコントロールできなければ意味がありません。
例えば、接客業で忙しさのあまり、つい対応が雑になってしまったとします。目の前のお客様より自分の仕事を優先してしまった、お客様第一で接客をすべきといったメタ認知に対して、接客を第一にするようにマインドを変え、忙しくて丁寧な接客を心がけるのがコントロールです。
コントロールの内容は、状況によって異なります。メタ認知に対するコントロール方法を考え、自分に合った方法に取り組んでいきましょう。
フリーライティング
フリーライティングは、ライティングセラピーと呼ばれることもある方法です。頭の中で考えていることをまっさらな紙や日記などに書いて、思考を可視化していきます。
頭の中だけでは整理できなかったことも、文字にすることで認知しやすくなるのが特徴です。思考を可視化するという面では、SNSで発信する、ブログを更新するなどの取り組みも効果があります。可視化に加えて、他の人から反応をもらえることもあり、自分の思考にどのような意見を持つかという面からもモニタリング能力を高めることが可能です。
瞑想
モニタリングやフリーライティングなどのトレーニングをする際に、思考に集中できないと効果的な訓練は難しくなります。
そこでおすすめしたいのが瞑想です。リラックスできる姿勢をとり、ゆっくり呼吸しながら自分自身に集中していきます。呼吸や温度などに意識を向けることで、雑念を振り払い、集中力を高めることが可能です。研ぎ澄まされた精神がモニタリングの質を上げ、メタ認知能力の向上を期待できます。
コーチング
自分自身の長所や短所、周囲の状況に気を配るのは、簡単なことではありません。自分だけで取り組むのが難しい場合は、コーチングを受けるのがおすすめです。
コーチングは認知療法とも言われ、第三者から思考のクセなどに気づくことができます。自分自身を俯瞰するきっかけが生まれ、コツがわかれば、モニタリングやフリーライティングなどセルフトレーニングに取り組みやすくなります。
第三者に協力してもらう方法として、グループワークも効果的です。他の人から見た自分、周りの人の考え方はメタ認知を高めるヒントになります。
円滑なコミュニケーションにおすすめのツール「Talknote」
メタ認知能力の向上によって、社員の間での良質で円滑なコミュニケーションが実現できた場合は、それをより発展させるためにITツールの導入をおすすめします。
ITツールには、社員の予定やタスクを可視化できる業務用チャットツールが存在し、これを使うことで従業員ごとの業務進捗の管理やスムーズな業務遂行のサポートが可能です。
社員同士で予定を共有し、普段から良質で円滑なコミュニケーションがとれれば、業務の抜け漏れ予防とお互いに働きやすい環境の形成などにつながります。結果、従業員満足度の向上が見込めます。
Talknoteというチャットツールには、育成や業務ノウハウの共有、ナレッジの蓄積やタスクの可視化機能があります。これらはスムーズな業務の遂行に活用可能です。
まとめ
メタ認知には自己を客観視することで、考え方の幅の拡張や良質なコミュニケーションを実現できるというメリットがあります。メタ認知は仕事の効率性アップだけではなく、普段の生活にもよい影響を与えることです。
メタ認知能力は後からいくらでも高められるので、今回ご紹介した方法を駆使し、能力を鍛えてみてはいかがでしょうか。
また、社員同士の円滑なコミュニケーションの実現のためには、チャットツールの運用もおすすめです。Talknoteは無料トライアルが可能なため、お試しでダウンロードできます。この機会にぜひ導入をご検討ください。