組織の変革に必要なチェンジマネジメントを徹底解説! | Talknote Magazine

組織の変革に必要なチェンジマネジメントを徹底解説!

企業が成長するためには、目まぐるしく変化する時代に合わせて、組織も変わり続けなくてはいけません。変革をするにあたって、壁にぶつかることもあるので、上手くマネジメントする必要があります。

変革に伴うマネジメントのことをチェンジマネジメントと言い、変化に従業員が馴染むために欠かせないものです。この記事では、チェンジマネジメントの定義や必要な理由、メリット・デメリット、具体的な手法を詳しく解説します。

チェンジマネジメントとは

チェンジマネジメントとは、変革を成功させるためのマネジメントのことを指します。変革を効率的に進めることや従業員の賛同を得ることなど、様々な観点からのマネジメントを行うことが重要です。

チェンジマネジメントは、アメリカで発表されたBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)が基礎になっていると言われています。1993年当時、マサチューセッツ工科大学教授と経営コンサルタントによる著書で発表され、組織の変革手法として活用され始めました。

ここでは、チェンジマネジメントの定義や妨げとなるチェンジモンスターなどについて、詳しく理解していきましょう。

チェンジマネジメントの定義

チェンジマネジメントは、企業の変革を成功に導くためのマネジメント手法と定義されることが多いです。変革の過程で、変革に対応した組織を編成したり、組織・従業員から変革に対する共感を得たり、成功に向けて進捗管理したりするなど、幅広い取り組みを通して、変革を実施していきます。

ビジネスにおいて様々なシーンでマネジメントが行われていますが、既にある経営資源を活用することがほとんどでした。成果を最大限に高めることを目的にしているものの、既存のものをベースにするという点で、社会の変化など外部環境の変化には弱いのが難点です。

チェンジマネジメントでは、既存の経営資源をベースにするのではなく、それすらも変革の対象になります。ビジネスモデルや組織体制などにも変革を求め、一からビジョンや戦略を立てて推進していくのがチェンジマネジメントです。

注意したいチェンジモンスター

大きな変革には障害が伴い、必ずしもスムーズに成功するとは限りません。変革を妨げる要因について、ボストンコンサルティンググループのコンサルタントであったジーニー・ダック氏は著書で「チェンジモンスター」と名付けました。

チェンジモンスターには、いくつか種類があり、一つ目が「タコツボドン」です。変革の過程で他部署の業務に携わるなど、組織内の連携を実現する場合があります。その際に、新たに割り当てられた仕事を拒絶する人のことを「タコツボドン」と表現しています。タコつぼからタコが出てこない様子に例えたチェンジモンスターで、連携を妨げる要因です。

二つ目のチェンジモンスターは「ウチムキング」と表現されています。組織や部署など内部の評価を気にして、顧客や社会に目が向かない人が「ウチムキング」です。変革において、市場や社会の変化を理解することが大切なので、それらを知らないことで変革に反発する傾向があります。

三つ目のチェンジモンスターは「ノラクラ」です。変革の必要性や意義を知ると、多くの人は自分事として考えて行動を起こします。「ノラクラ」は、自分で考えることをせずに、行動しない理由を探してはのらりくらりとしている人です。「ノラクラ」に影響されて他の社員がやる気を失ったり、否定的な意見で取り組みを阻害したりします。

チェンジモンスターは、どの企業にも現れる可能性があります。変革への理解を促し、取り組みに巻き込んでいくことがチェンジマネジメントの重要な役割のひとつです。

チェンジマネジメントが必要な理由

チェンジマネジメントが必要になった大きな理由は、「VUCA時代」と表現される現代社会の状況です。

「VUCA」とは、「Volatility(不安定)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧さ)」の頭文字を取った言葉で、変化が多く読み取ることが難しい状況を指しています。例えば、ある商品を開発しようとしたときに、ニーズが目まぐるしく変わり明確なターゲットを設定できないといったことが起こりやすいため、企業は変化に対応しなくてはいけません。

変化のスピードや内容の複雑さも顕著であるため、これまでのマネジメントでは上手く組織が機能しなくなりつつあります。そこで、変革に注力するチェンジマネジメントの必要性が叫ばれているのです。

また、変革を進める上で対応を求められるのは、経営層だけではありません。一番の犠牲者は社員であり、変革を社員が現場で実践することによって、真の変革の成功と言えます。経営層が推し進めるだけの変革では、再三の変化に辟易したり、被害者意識を感じたりしやすく、表面的には変わっていても、長い目で見ると生産性や定着率の低下といった問題が出てくるでしょう。

チェンジマネジメントは、経営層と現場をつなぐ役割も果たす必要があります。現場の声を取り入れて賛同を得ることによって、企業一丸となって変革を遂行することが可能です。

チェンジマネジメントのメリット・デメリット

チェンジマネジメントには、メリットとデメリットの両方があります。どちらもしっかり理解することによって、正しくマネジメントすることが可能です。ここでは、チェンジマネジメントのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。

メリット

チェンジマネジメントの主なメリットは、以下の通りです。

  • 変革が成功しやすくなる
  • 変化への反発を軽減できる
  • 変化による影響を軽減できる

チェンジマネジメントによって、最適な組織を編成したり、進捗を管理したりすることで、変革が成功しやすくなります。トップが推し進める形では失敗しがちですが、現場との橋渡しを意識することによって、成功する可能性はさらに高まるでしょう。

変革において、対応を求められる従業員からは反発が起きることもあります。これまでのやり方にこだわる人もいる中で、変革の意義やメリットなどを丁寧に共有することで、反発を軽減できるでしょう。

また、変革を実施した後に、影響が出る可能性もあります。一時的に生産性が落ちたり、変化に組織が混乱したりするケースがありますが、チェンジマネジメントによって影響を想定しておけば、混乱を最小限にして組織に新しいやり方を浸透させることが可能です。

デメリット

チェンジマネジメントで気を付けたいデメリットは、以下の通りです。

  • 社員を軽視すると失敗しやすい
  • 反発が起きたときのリスクが大きい

チェンジマネジメントは、経営層が求める変革を推し進めることではありません。日々の仕事や考え方などの変化を求められるのは社員であり、置き去りにしてしまうと変革は失敗に終わりやすいです。表向きは組織やプロセスが変わったものの、社員の意識は変わらず、かえって効率や成果が落ちる場合もあるでしょう。

変革に対する反発が起き、上手く賛同を得られなかったときのリスクが大きいこともデメリットです。理解してもらえなかったり、理解を得られないまま実行したりすると、優秀な人材が退職する可能性があります。現場の賛同を得た上で実行に移すのがチェンジマネジメントの鉄則です。

チェンジマネジメントの具体的な手法

チェンジマネジメントの特徴やメリット・デメリットを理解したところで、具体的な手法を見ていきましょう。

  1. 【ステップ1】緊急性を明確に伝える
  2. 【ステップ2】変革を推進するチームを作る
  3. 【ステップ3】変革のビジョンを設定する
  4. 【ステップ4】ビジョンを全体に周知する
  5. 【ステップ5】働きやすい環境を整える
  6. 【ステップ6】短期的な目標を設定・達成する
  7. 【ステップ7】変革をさらに進める
  8. 【ステップ8】新たなアプローチを定着させる

ポイントを一つひとつ押さえて実践することによって、効果的にチェンジマネジメントを実践できます。

【ステップ1】緊急性を明確に伝える

チェンジマネジメントの始まりは、社員に対して緊急性を明確に伝えることです。変革が必要な理由、自社の課題と危機をすぐに解決しなければならないことなどを、企業全体に周知しましょう。

このステップをないがしろにしてしまうと、大きな反発が出てしまい、変革どころではなくなってしまいます。危機意識や切迫感を社員に伝え、意識改革から取り組むことが大切です。

【ステップ2】変革を推進するチームを作る

チェンジマネジメントを担当する人だけでは、組織や社員を一挙に動かすのは難しいです。そのため、変革を推進するチームが必要になります。

変革を推進するために必要なスキルを持っていることはもちろん、社員が一緒に取り組みたくなるような信頼や評判がある人物が適任です。自社のメンバーを見極め、変革のパワーを持ったチームを編成しましょう。

【ステップ3】変革のビジョンを設定する

次に、変革によって何を実現するのかを示したビジョンを設定します。ビジョンが曖昧だったり抽象的だったりすると方向性を見失いやすいので、明確なビジョンが必要です。

ビジョンを設定する上で、変革後の姿がわかること、企業全体にメリットがあること、実現可能なことなどの要素が必要になります。これらの要素を取り入れた上で、説明しやすくわかりやすいと、ビジョンへの賛同を得やすいです。

【ステップ4】ビジョンを全体に周知する

ビジョンが決まったら、推進チームが中心となって社内に周知します。説明会やミーティングなどの機会をつくり、全体が共有している状態にするのが目的です。一度で浸透するとは限らないので、ビジョンを継続的に発信すると良いでしょう。

【ステップ5】働きやすい環境を整える

変革を形にするためには、変化に対応した社員の行動が不可欠です。環境を変えずに新しい指針で働いてほしいということは不誠実であり、意欲を失うきっかけになる場合もあります。

社員が新しいビジョンの元で主体的に行動できるように、働きやすい環境を整えましょう。適切な組織編制を行ったり、アイデアや主体性を受け入れる雰囲気をつくったりするなど、取り組みやすい環境が変革の力になります。

【ステップ6】短期的な目標を設定・達成する

変革をより前に進めるためには、成果やメリットがわかる短期的な目標が必要です。数値などわかりやすい指標があれば、組織が変わってきていることが可視化されます。

次の目標を達成することがモチベーションになり、変革はさらに進んでいくでしょう。目標達成に対するインセンティブなど意欲を刺激する仕掛けをするのも良い方法です。

【ステップ7】変革をさらに進める

短期的な目標を達成していくことによって、着実にビジョンの実現に進んでいきます。このステップでは、さらにビジョンに近づくために変革を進める段階です。

ここまで進むと変革への反発は起きにくくなっています。阻害要因の改善・修正を行ったり、達成した目標を業務に活用したりして、より強固な体制を整えていきましょう。

【ステップ8】新たなアプローチを定着させる

変革が一時的なものにならないように、新しいアプローチや手法を組織に定着することを目指しましょう。

推進チームや部署のリーダーが中心となって定着に努め、組織に変革を落とし込んでいきます。メンバーに関わらず推進できるように、新たなリーダーの育成や採用なども効果的です。

チェンジマネジメントの難しさを乗り越えていこう

チェンジマネジメントとは、変革を成功に導くマネジメント手法のことで、「VUCA時代」と呼ばれる現代で注目されています。

変革に反発するチェンジモンスターの対処やビジョンの設定、変革の推進を上手く実施することによって、時代に対応した組織に変化することが可能です。

社員を軽視すると失敗しやすく、反発に対処できないと大きなリスクが起きやすいなど難しさもあります。具体的な手法とステップを参考に、難しさを乗り越えて、チェンジマネジメントを成功させましょう。

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