「インセンティブ制度」とは?4つのメリットや事例をわかりやすく解説
「インセンティブ制度の導入で、社内メンバーの士気を高めたい」
「ところで、インセンティブ制度のメリットやデメリットって?」
「ついでに、事例や役立つツールなどについても知りたい」
このようにお考えの経営者・人事の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、インセンティブ制度のメリットとデメリットを中心にご紹介していきます。
- インセンティブ制度のメリット・デメリットがわかる
- インセンティブ制度を導入した企業の事例を学べる
- インセンティブ制度に役立つツールがわかる
最近耳にすることが多くなった「インセンティブ制度」。インセンティブ制度を導入する企業も増えているようですが、いきなり導入する前にメリットやデメリット、企業事例、ツールを事前に知っておくとよいでしょう。
インセンティブ制度についての理解を深めておけば、スムーズに導入できるはずです。
インセンティブ制度とは?
インセンティブ制度とは、端的にいえば「社員のモチベーションを上げるためのシステム」のこと。固定給や決まったボーナスだけでは、社員の生産性・モチベーションの向上は難しいのが現状です。そこで、個人の行動や実績を「プラスαの報酬」というかたちで評価し、給与やボーナスに反映させます。
またインセンティブ制度は、必ずしも「金銭的な報酬」だけではありません。会社に貢献した社員を表彰する、土日出勤したら特別ポイントを付与する、など社員に対して「プラスになる何か」を与えるのが特徴です。ただ、「それなら最初から給料やボーナスを上げた方が良いのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、最初から給料やボーナスを上げれば、社員のモチベーションも飛躍的に高まるでしょう。
しかし、固定給は一度上げるとなかなか戻せないことが多いため、会社側の負担が大きくなってしまいます。同様にボーナスも、ボーナスの計算式をその年その年で変更するのは負担となります。一方のインセンティブでは、個人の行動や実績を評価でき、また金銭以外の報酬としても付与できるため、会社側の負担を減らしつつ、社員のモチベーションを上げられるのです。
インセンティブ制度のメリット
それではさっそく、本題である「インセンティブ制度のメリット」を見ていきましょう。具体的なメリットは以下のとおりです。
- 社員のモチベーション向上につながる
- 社員の実績を正当に評価できる
- やるべきことが明確化される
- 会社理念・ビジョンの浸透につながる
社員のモチベーション向上につながる
インセンティブ制度は、給与やボーナスのプラスαとして付与されるため、社員のモチベーション向上につながります。また、社員が結果を残すたびにインセンティブが与えられるため、モチベーション向上に「即効性がある」ともいえるでしょう。
より高い効果を狙うなら、月ごとに営業成績を表彰するなど、より短いスパンでインセンティブを与える取り組みをおこなうのがオススメです。
社員の実績を正当に評価できる
社員への報酬が固定給や決まった額のボーナスだけだと、「自分はもっと結果を出しているはずなのに…」と不満をもつ社員も少なからずいることでしょう。
その点、インセンティブ制度は、社員が結果を出すたびに「目に見えるかたち」で付与されるため、一人ひとりの実績を正しく評価できます。
やるべきことが明確化される
インセンティブ制度を導入する際には、明確な評価基準を決めるため、上司によって評価が異なるなど、あいまいな評価を避けられます。そのため、社員自身も評価に対して悩むことがなくなり、目標達成のための「やるべきこと」が明確になるのです。
やるべきことの明確化によって、社員の生産性アップにもつながるでしょう。
会社理念・ビジョンの浸透につながる
インセンティブは、給与やボーナスとは別のプラスαとして与えられます。これは、「会社がどのような人材・行動を評価しているのか」を明言しているともいえるのです。
社員に対して、会社が求めている人物像や行動に沿ったインセンティブが支給されるため、結果的に「企業理念・ビジョンの浸透」にもつながります。
インセンティブ制度のデメリット
一見メリットばかりがあるように見えるインセンティブ制度ですが、実はデメリットもあります。
良い面・悪い面、どちらも加味した上で制度を導入するのが成功へのポイントです。具体的なデメリットは以下のとおり。
- 社員のモチベーションが下がる可能性もある
- チームワークを阻害するケースがある
- 仕事に対する視野が狭くなる
社員のモチベーション低下につながる可能性もある
先ほど「インセンティブ制度はモチベーション向上に有効」とお伝えしましたが、逆に社員のモチベーション低下を招いてしまうこともあります。
それは、「社員が努力しているのに結果が出ない」というケース。仕事に限らず、受験、スポーツなど、頑張ったからといって必ずしも結果が出るとは限りません。
インセンティブ制度は、あくまでも「成果を出した社員に対して与えられるもの」なので、努力が成果につながらなかった社員に対しては与えられません。努力が実を結んだ社員ならモチベーションアップにつながりますが、当然そうでない社員はモチベーションが下がってしまう可能性があるのです。
チームワークを阻害するケースがある
インセンティブ制度は、基本的には「個人の実績」を評価するものです。制度上、個人のパフォーマンスが求められる場面が多くなるため、社内にライバルが生まれることも。お互いに切磋琢磨できる状態なら問題ありませんが、「ライバルを蹴落そう」「あの人が嫌い」といった、ネガティブな感情が生まれると、結果としてチームワークが悪くなってしまいます。
そのため、個人だけでなく「チームとしてのインセンティブ」を用意しておくのがオススメです。
仕事に対する視野が狭くなる
たしかに、インセンティブを用意することで社員のモチベーションは上がりますが、「インセンティブしか見えない」という社員が生まれてしまうケースも。目の前のノルマや報酬ばかりに気を取られると、仕事全体を俯瞰して見られなくなってしまいます。
社員の仕事への視野が狭くなれば、上司と部下の関係が悪くなったり、チームワークがうまくいかなかったりといった問題が生まれてしまうでしょう。
インセンティブ制度事例3選
インセンティブ制度はすでにさまざまな企業で実施されており、「高い効果を実感している」という声も多いです。ここでは「インセンティブ制度に成功した企業事例」を取り上げ、具体的に解説していきます。
【事例1】株式会社エストコーポレーション
株式会社エストコーポレーションは、「最高を更新し、新しい未来を創る」という企業理念のもと、医療機関検索サービス「EST Book」の運営、生活機能評価のデータ作成・電子化業務などをおこなう医療IT企業です。
オリジナル表彰制度
数字だけではわからない「社員の人間力」を評価するために、「笑顔で太陽で賞」「チャレンジピカイチ賞」などの表彰会を実施。全社員からの投票によって受賞者が決められ、サイコロを振って出た目に応じてインセンティブ(報奨金)が与えられます。
エストクエスト制度
上司(役員や事業部長)からの「お題」にチャレンジできる制度です。誰でも任意で参加でき、それぞれチャレンジしたいクエストを受注します。クリアするとポイントが付与され、会社が用意するさまざまな商品と交換が可能です。
インセンティブ制度に「サイコロを振る」や「クエストに挑戦する」といったエンタメ性をもたせることで、社員の好奇心をくすぐりつつ、モチベーション向上へとつなげている事例といえるでしょう。
【参照】 株式会社エストコーポレーション
【事例2】株式会社ソラスト
株式会社ソラストは、全国の医療機関から依頼される「医療事務」や、一人ひとりのお年寄りに寄り添った「介護サービス」、地域の子育てをサポートする「保育サービス」を展開する会社です。主に首都圏・関西圏・名古屋地区でサービスを展開しています。
ソラストポイントの導入
同社では、社名にちなんだ「ソラストポイント」を使ったインセンティブ制度を実施しています。ソラストポイントとは、社員の「勤続年数」や「サービス品質向上への取り組み」などに対してポイントを付与する制度です。
その他にも資格取得、研修での成績、誕生日など、さまざまな場面でポイントが与えられます。貯まったポイントは、会社が用意するさまざまな商品と交換することが可能。アイテム数も豊富で、21カテゴリー、約20,000アイテムから選べます。
さらに社員がポイントをいつでも見られるよう、専用のWebページも用意されています。勤続年数から誕生日まで、幅広い場面に対応したインセンティブ制度といえるでしょう。
【参照】 株式会社ソラスト | プレスリリース
【事例3】株式会社メルカリ
株式会社メルカリは、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションのもと、フリーマッケットアプリ「メルカリ」を運営する会社です。今では、日本のみならずアメリカ市場へも展開しています。
mertip(メルチップ)の導入
同社では、社名にちなんだインセンティブ制度「メルチップ」を実施。メルチップは、ビジネスチャットツールを用いて、社員同士が感謝の気持ちとして一定の金額を贈りあう仕組みです。
実際にメルチップがやり取りされる様子は他の社員にも共有され、それを見ている人もオンライン上で「拍手」ができます。メルチップの導入によって、社内に「承認文化」が生まれ、社員満足度の向上にもつながったといいます。普段なかなか言えない「ありがとう」を、お金というかたちで表現し、社員のモチベーション向上に役立った事例といえるでしょう。
インセンティブ制度導入にオススメのツール
「さっそくインセンティブ制度を導入したいけど、具体的に何から始めれば良いかわからない」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、「インセンティブ制度にオススメのツール」をご紹介します。インセンティブ導入に役立つツールを3つあげているので、ぜひ参考にしてみてください。
THANKS COLECT(サンクスコレクト)
THANKS COLECT(サンクスコレクト)は、旅行会社であるJTBの子会社「JTBベネフィット」が運営するサービスです。
日本語に訳すと「ありがとうを集める」を意味するサンクスコレクト。ポイントを活用したシステムで、社員のモチベーションを継続させるために、さまざまな工夫がされています。
- 導入の手間がかからない
- ポイント付与実績・ポイント交換履歴を簡単にチェック可能
- 自由にポイント設定可能
- 約10,000点のアイテムと交換可能
- 全国のJTB店舗での旅行商品と交換可能
自社に合ったポイント設定はもちろん、旅行商品を含む豊富なアイテムを選べるなど、JTBならではのサービスが充実しています。
【参照】 THANKS COLECT
Unipos(ユニポス)
Unipoc(ユニポス)は、「貢献を見える化し、組織を強くする」というコンセプトのもと開発されたWebサービスです。社員の成果や行動に対する感謝・賞賛をメッセージで送るとともに、ポイントが付与されます。
- コミュニケーションツールから気軽に投稿できる
- 貯まったポイントは給与に上乗せして支給可能
- 共感する投稿にスタンプで拍手ができる「拍手機能」
- 行動指針にタグをつけられる「ハッシュタグ機能」
貯まったポイントは、給料への上乗せだけでなく、Amazonギフト券と交換できるなど、各社自由なかたちで設定できます。幅広い選択肢があるため、社員のさらなるモチベーションアップに期待できるでしょう。
【参照】 Unipos
incentive plus(インセンティブ・プラス)
incentive plus(インセンティブ・プラス)は、イーウェル株式会社が「 ”はたらく” を楽しくする!」というテーマのもと運営するサービスです。
社員同士の「認めあう文化」を醸成するべく、感謝メッセージを送れたり、報奨制度の効率化をはかれます。
- 一般的なSNSに近いシンプルな使用感
- メッセージにポイントを添えることが可能
- ポイントを「今すぐ付与」「付与日を選ぶ」から選択可能
- 60,000点を超えるポイント交換商品
- コンビニやカフェで使える電子クーポン、Amazonギフト、旅行商品まで幅広い商品がそろう
若い社員から年配社員まで、どんな年代でも使いやすい「シンプルなUI」は魅力的。ポイント交換商品も多彩なので、社員のモチベーション向上にもいっそう役立つツールといえるでしょう。
【参照】 incentive plus
【まとめ】インセンティブ制度メリット
本記事では、インセンティブ制度の概要や事例、ツールとともに以下のメリットをお伝えしてきました。
- 社員のモチベーション向上につながる
- 社員の実績を正当に評価できる
- やるべきことが明確化される
- 会社理念・ビジョンの浸透につながる
インセンティブ制度には、社員側、会社側ともに魅力的なメリットがたくさんあります。また、同制度を導入する企業も増えており、その成功事例も多いです。
社員のモチベーション向上をはじめ会社の理念共有にも役立ち、最終的には自社の業績アップにもつながるでしょう。ぜひ今回ご紹介した事例やツール、インセンティブ制度の導入にお役立てください。