
1on1ミーティングとは、「部下の成長」を主な目的として実施される、上司と部下が対面で話しあう面談のこと。社員のエンゲージメントを向上させるために有効ともいわれており、1on1を導入する企業もじわじわと増えています。
「1on1ミーティングを導入したいけど、うまくいくか不安…」
「失敗しない方法を知りたい」
このようにお考えの経営者・人事の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、1on1ミーティングの目的をメインに解説します。
- 1on1ミーティングの目的がわかる
- 1on1ミーティングを効果的に行う方法がわかる
- 1on1ミーティングの導入事例がわかる
1on1ミーティングを社内で始めるにあたり、うまくいくかという不安もあろうかと思います。「1on1ミーティングを導入して、自社の風向きを良くしたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
【本題】1on1ミーティングの目的とは?
1on1ミーティングに失敗しないためには「目的」を明確にしておくことがもっとも大事なことの一つです。1on1にはいくつかの目的があります。ここでは、1on1における目的を複数ご紹介します。
部下育成
1on1ミーティングを導入する一番の目的ともいえるのが「部下育成」です。上司に求められるのは、自分だけが成果を上げることではなく、「成果を上げる部下をたくさん育てること」でもあります。一人ひとりの能力を底上げすることで、チーム全体のパワーも高くなります。人を動かし、成長を促進することはとても大変なことですが、ここが上司の腕の見せどころ。部下の育成にはさまざまな方法があり、1on1ミーティングもその一つ。組織をパワーアップさせるキッカケとして有効といえるでしょう。
従業員エンゲージメントの向上
従業員エンゲージメントとは、社員が会社に対して「もっと貢献したい」と考えている状態のこと。エンゲージメントの高い社員は「より良い商品やサービスを生み出そう」と考えるため、それに伴いチーム力も高まります。そのキッカケとして1on1ミーティングが有効です。
1on1ミーティングにおいては、上司が部下のエンゲージメント向上を促してあげるアプローチも必要です。部下の現在の状態にあった、コミュニケーションをとってあげましょう。具体的には下記の記事で解説しています。
【関連】 【目的別】1on1ミーティングの7つのテーマ。面談の効果の高め方 徹底解説
公平で公正な評価
会社として成長するためには「公平で公正な評価」は重要です。上司が部下に対して公平感をもってマネジメントできなければ、部下のモチベーションが下がってしまうことも。1on1ミーティングは、上司が部下全員と同じだけの時間を共有するため、部下も「平等に見られている」と安心できます。
また1on1は、週1回〜月1回のペースでおこないます。短いスパンでのコミュニケーションをとることで、年に数回の人口かの面談で評価がひっくり返ることも少なくなるでしょう。このように、1on1によって公平で公正な人事評価ができるようになり、チームとしてのパフォーマンスも上がるでしょう。
1on1ミーティングのメリット、デメリット
続いて、1on1ミーティングのメリットとデメリットを見ていきましょう。
1on1のメリットは?
1on1ミーティングのメリットは以下の通りです。
- 部下から上司に相談しやすくなる
- 成果への達成レベルを確認できる
- チーム全体のパフォーマンスが上がる
上司は、部下が抱えているさまざまな「悩み」を聞けるため、信頼関係の構築ができます。また、部下の「自分がどれくらい目標を達成できているか?」という状態に対しても、上司が客観的な評価をしてあげることで、部下の疑問解消や気づきを与えられたりします。
そして1on1で上司が部下一人ひとりと話しあうということは、「全員に対して公平に時間を使っている」とも言い換えられます。公平感は従業員エンゲージメントにもつながり、チーム全体のモチベーションも高まるのです。
1on1のデメリットは?
1on1ミーティングのデメリットは以下の通りです。
- 上司の時間的負担が大きい
- 効果が見えにくい
- 軌道に乗るまでに時間がかかる
15〜30分程度で行われる1on1ミーティング。部下にとっては1回きりの短い時間ですが、上司にとっては部下全員に対して時間を割かねばならないため、負担が大きくなってしまいます。また、1on1はなかなか目に見える効果がないことが、継続のハードルになることも。それにより、「軌道に乗るまでに時間がかかる」ということもデメリットとしてあげられるかと思います。
そして1on1ミーティングは、軌道に乗るまでにそれなりに時間がかかります。まず1on1ミーティングが全社員に浸透し、メンバー全員が自走できるようになった状態が完全に軌道に乗ったといえるでしょう。1on1ミーティングを「必ず月1回は実施する」と決めて、継続的におこなう必要があります。まずは3ヶ月は継続しましょう。
1on1ミーティングの効果を高める方法・質問
続いて、1on1ミーティングの効果を高める方法・質問をご紹介します。
定期的に実施する
1on1ミーティングで効果を出すためには、定期的に実施する必要があります。先述したように、1on1は定量的な効果が見えにくいのが特徴。1回きりのミーティングで部下のモチベーションを向上・維持させるのは難しいでしょう。
1on1が社内に浸透し、社員が自走しはじめるまでに3年かかったという企業もあります。
会社によって効果が現れるまでの時間は異なりますが、「月1回」「週1回」などとルールを決めて、最低でも3ヶ月間は続けるのがオススメ。また、1回あたりの時間は15〜30分程度が良いでしょう。長すぎると、だらだらと話して本来の議題から逸れてしまう上に、上司の負担も大きくなります。「短いサイクルで定期的に」を意識しましょう。
話す場所を変えてみる
最初から会議室やミーティングルームを使うのも良いですが、時には「話す場所を変える」のもオススメ。企業によっては、散歩しながら話したり、ランチに出かけたりするところもあります。
上司と1対1で話すので、部下の中には緊張して人もいることでしょう。誰もいないシーンとした会議室で実施すると、さらに緊張感が高まり、「部下の本当の思い」を引き出せずに終わってしまう可能性も。かといってオープンスペースでおこなうと、他の社員の邪魔になってしまうこともあるかもしれません。社内の雰囲気や部下の状態に合わせて1on1の場所を変えると、お互いに有意義な時間となるでしょう。
事前に質問を用意しておく
1on1ミーティングの効果を高めるには「事前に質問を用意しておく」ことも重要です。何も決めないで実施すると、会話に詰まってしまい、聞きたいことを聞けないケースがあります。最初から何でも相談できる信頼関係があれば問題ないですが、必ずしもそうとは限りません。そこで、事前に質問を用意しておきましょう。たとえば下記のような質問は有効です。
「最近うれしかったことは?」
→ 部下がどういったことに喜びを感じるのか? を聞くことで、価値観や性格を知る
「最近、何か困っていることはない?」
→ 緊急ではないが部下にとっては重要な課題を聞くことで、本当の思いを知る
「どうして成功/失敗したと思う? そこから何を学んだの?」
→ なぜ成功/失敗したのか考えるキッカケを与えることで、部下の成長につなげる
「やりがいを感じることは?」
→ 仕事観について触れることで、部下が「どんなキャリアを積みたいのか」を知り、そのサポートへとつなげる
以上の質問は、シンプルながらも「部下の本当の思い」を聞くために有効といえるでしょう。部下の言葉によく耳を傾けながら、深く掘り下げてあげましょう。
【事例】1on1ミーティング導入企業事例
続いて、1on1ミーティングの導入事例をみていきましょう。
1. ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、ポータルサイト「Yahoo!JAPAN」をはじめ、広告事業やeコマース事業など、幅広い事業を手がける会社です。
2012年から1on1ミーティングを導入しているヤフーは、日本における「1on1ミーティングの先駆け」ともいわれています。社員約7,000人のうち9割で1on1ミーティングを実施しており、「部下の成長」を重要視した取り組みを実施。部下の思いを引き出すことを最優先とするべく、1on1を「部下のための時間」と明確に定義づけています。また、上司の部下に対する「傾聴力の高さ」は参考にしたいところ。
- 社員の成長スピードを上げるべく、必ず週1回の1on1ミーティングを実施
- マネージャー陣(上司)がコーチング研修を受けることで「傾聴のスキル」を身につけることで、部下に対して適切なフィードバックを与えられるようにした
- 1on1ミーティングを定着させるために、部下が上司を「点数化」する仕組みを作った
会社全体で「部下の思い」を最優先に考え、マネージャー陣が研修を受けるなど、質の高い1on1ミーティングを実践している事例といえるでしょう。
【参照】 ヤフーはなぜ6000人の社員を巻き込む「1on1ミーティング」を続けるのか?
2. 株式会社テモナ
株式会社テモナは、「ビジネスと暮らしを ”てもなく” する。」という企業理念のもと、クラウド型通販システム事業をおこなう会社です。2019年に東証マザーズにも上場しています。
以前まで、CS(カスタマーサポート)チームでは離職率が20%近くあったという同社。テモナではBtoBの基幹システムを提供していることもあり、一般的なCSチームよりも社員の「業務量」や「精神的ストレス」が多かったそうです。そこで1on1ミーティングを実施することに。
- 8人のチームメンバー全員と1時間ずつの面談をおこない、現状を細かく把握した
- 「チームの良い点」「チームの課題点」「その課題は改善可能かどうか?」など明確なアジェンダを用意し、徹底的に話し合った
- 1年後には離職率が20% → 0%に
1on1ミーティングで、現状を細かく分析し、課題の解決方法を話し合ったことで、離職率をお幅に下げた事例です。
【参照】 1年で離職率が20%⇒0%に!CSチームの組織力を高めたヒミツを大公開
3. 株式会社スペースマーケット
株式会社スペースマーケットは、イベントスペースや会議室など、あらゆるスペースを貸し借りできるWebプラットフォームサービスを提供する会社です。ミッションは「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」。
レンタルスペースの予約サービスを提供している同社では、個人・チームにおける「PDCAの高速回転」を目的に1on1ミーティングを導入。直属の上司が部下に適切なフィードバックを与えているため、メンバーの課題解決もスムーズになったといいます。
さまざまなレンタルスペースの予約ができる同社では、1on1に対して3つの目的を設定しているそうです。
- 期待と評価のすり合わせ
- 成果への支援
- 成長への支援
1on1を隔週で30分行ない、直属の上司が、部下に適切なフィードバックを与えているため、メンバーの課題解決もスムーズに。
- PDCAを高速化させるべく「週1回・30分」の1on1ミーティングをおこなう
- 成功点や失敗点をはじめ課題の反省、翌週の課題設定までおこなう
- 「組織が社員に求めていること」「個人の取り組み」が一致するように、マネージャーが部下の「強み」「弱み」について細かいフィードバックをする
社員の「PDCA」にスピード感をもたせるために、1回のミーティングでさまざまなフィードバックをおこなっている事例です。
【参照】 1on1をより有意義にする3つの目的設定
手段を目的とせず、
従業員エンゲージメントを高めよう
これまで、1on1ミーティングについさまざまなことをお伝えしてきました。しかし、やはり念頭に置いておきたいのが、1on1はあくまでも「手段」であり「目的」ではないということ。「1on1を実施すること」それ自体を目的にしていては、社員の本当の気持ちを引き出すことは難しいでしょう。
もし、1on1ミーティングを実施したことに満足してしまっていたら、部下のモチベーションも変わらないままになってしまうかもしれません。本当に大切なのは「メンバーの本当の気持ちを聞き、部下の成長をサポートし、従業員エンゲージメントを高める」ことです。また先述したように、1on1にはメリットもあればデメリットもあります。両者を踏まえた上で、「部下の成長のためにはどんな工夫をすれば良いか?」を考えましょう。1on1ミーティングという「手段」にとらわれることなく、自社でできることを柔軟に考えていく必要があるといえるでしょう。
【まとめ】ミーティングの目的
本記事の本題としてお伝えしてきた、1on1ミーティングの目的は以下の通り。
- 従業員エンゲージメントの向上
- 部下育成
- 公平な人事評価
会社によって、1on1ミーティングの目的はさまざまかと思いますが、個人・組織のモチベーションを上げるために、1on1は非常に有効な手段だといえるでしょう。「社員のエンゲージメントを高めて、自社のさらなる成長を目指したい」とお考えの経営者・人事の方は、ぜひ今回の内容をお役立てください。
【社内SNS製品紹介】社内コミュニケーションツール「Talknote」

社内コミュニケーションツールとして、弊社が提供している社内コミュニケーションツール「Talknote」をご紹介させてください。Talknoteは、社内コミュニケーションの解決をはじめ企業理念の浸透、業務の効率化を期待できます。
使い方はいたってシンプル。Talknoteは「グループ」「メッセージ」「タスク」の3つの機能のみで構成されているため、SNS慣れしていない方でも簡単にお使いいただけます。その利便性から、すでに約1,000社の企業様に利用いただき、多くの企業様が高い満足度を感じています。

テレワークご検討中の方へ WEB相談会開催中!
Talknoteの機能やテレワークでの活用例など、デモ画面とともご説明します。
まだ検討段階という方も歓迎ですので、お気軽にご参加下さいませ。
全力でサポートさせていただきます!
【こんな方にオススメ!】
・テレワークの導入を検討している方
・テレワークで起きている問題について相談したい方
・色々なツールを比較してみたものの、違いがよく分からない
無料ダウンロードできます